炎色反応 第五章・13



「ほら、やらしいだろ…? オレのとこすれて、入り口が泡立ってねちゃねちゃ言ってるぜ」
執拗な突き上げと共に降り注ぐ言葉に、ティスはぎゅっと目を閉じて懇願した。
「見ないで、お願い…!」
しかし口ではそう言いながらも卑猥な言葉を吐かれるたびに、中がひくつき向かえた男を締め付けているのは分かる。
当然ヴィントレッドもせせら笑うばかりだった。
「またそうやって誘う…………仕方がない兎ちゃんだ、本当に孕むまで犯してやろうか」
半ば本気のようなことを言われてぞっとした。
「ほら、目ぇ開けろ。ちゃんと見るんだよ、兎ちゃん」
頬を軽くはたかれ、思わず目を開けるとヴィントレッドは体重をかけてずんと奥まで深くティスを貫く。
「あぅっ」
脳天まで走った快感にあえぐと、男はそのままで動きを止めた。
「見てみろよ。真っ赤な中が、自分でよく見えるだろ?」
「……あ………」
刺激的過ぎる光景にティスは切なげに金の眉を寄せる。
ぱっくりと口を開け、濡れた肉がてらてらと光を放っていた。
ヴィントレッドから一度放出された精液は透明の魔法の効果範囲から外れるらしい。
吐き出された白濁は埋まった肉棒により周囲の壁に押し付けられ、どろどろと不規則に流れては卑猥な筋を作っている。
その状態で、ヴィントレッドはゆっくり自身を引き抜き始めた。
「…………ん、んっ」
じれったいような動きにぴくりとティスが体を揺らすと、魔法使いは低く笑った。
「見てなって……ほら、こうやって、閉じていく」
抜け出していく質量を失った肉の通路は奥からゆるりと閉じていく。
「や、あ…」
物欲しそうなその動きに目を逸らせずにいると、ヴィントレッドはぎりぎりまで抜き出したものを再び突き込んだ。
「ひうッ」
ぬちゅりと音がして、ほとんど閉じていた穴がまた広がる。
見えない肉棒を嬉しそうに頬張った赤い内部がはっきり見えて、ティスはふるふると首を振った。
「いや………、ヴィントレッド様、お願いします、もうこんなの…、あ、あっ」
唐突に乳首を摘み上げられる。
指の腹でくりくりと転がされると、またきゅっと中が締まった。
「分かってるよ、早く中に出して欲しいんだろう?」
いじられ過ぎて赤くなったとがりに悪戯をしながらヴィントレッドはうそぶく。
そして、また激しい律動が始まった。
「あっ、あっ、あああっ!」
掲げられた爪先が空を切り、結合部からは淫靡な水音と肉がぶつかり合う音が鳴り止まない。
「はあ……っ! あ、あっ! やめて、やめ、だめぇ……!」
突かれて開き、抜かれてすぼまる穴はヴィントレッドのなすがまま。
ティスのものから泉のように湧き出す先走りが平たい腹の上にしとどに流れ落ちる。
ぐんぐんと硬く太くなっていくものに間断なく攻められて、ティスは無我夢中で叫んだ。
「あふっ、やぁ、もう出さないでッ、ほんとに赤ちゃん出来ちゃう……ッ」
冗談事ではなくそう思った。
これ以上ヴィントレッドの精液を注がれたら彼の種を孕んでしまう。
それぐらい火の魔法使いの攻めは激しく、深く、甘い。
まるでオルバンのそれのように、征服される者を酔わせて被虐の快楽に突き落としてしまうのだ。
全身がどろどろに蕩かされていくような甘美な錯覚に飲まれてしまいそうで、ティスは切羽詰った声で主人の名を呼んだ。
「オルバン様……っ! あっ、あん、だめっ、だめ……!」
びくんびくんと体が跳ねた。
歓喜の涙ににじむ視界の中で、透明な肉棒にしがみ付くようにして広げられた直腸がきつく締まるのが見える。
そこに流れ込み、赤い内部を汚す大量の精液も。
「は…………、ぁっ……」
ため息が零れた。
「あ、あ………熱いよぉ………」
絶頂に達した後の肉体を、注がれる白濁にもう一度犯される。


   ←12へ   14へ→
 ←topへ