邪魔者を撃退し、これでやっと二人きりになれたと安堵の笑みを浮かべた カカロットが目にしたのは、布団をかぶりもう寝る体勢に入っているベジータの姿だった。 慌ててそばまで駆け寄り、己が身の情けなさなど顧みず必死に説得する。 今夜だけは外せないのだ。 だって今夜は。 「何やってんだよ、ベジータ!」 「もう寝る。する気も失せたしな。」 記念すべき初夜なのだから。 「初夜だぜ、初夜。今日ヤらねぇでいつヤるっつうんだ?」 「だって・・・・・・・出るだろ。」 「何が。」 「・・・・・・・声。」 彼が気にしていたことの可愛さに思わずにやりと口角を上げ、 ベジータの姿を隠す布団を思いきり剥ぎ取った。 どちらにしろあんな男二人に、いつまで経っても可愛らしい妻の声を 聞かせるつもりなどなかったのだ。 「わっ、バカ、盛るな獣!!」 「こんな嫁さんもらって盛らねぇ方がおかしいって。」 「何言って、んんっ!・・・ふぅ・・・・ぁ、カカロ・・・ット。」 冷たいことを言う口をふさげば、ジタバタと往生際悪く抵抗していた ベジータの身体から力が抜けていく。 生憎、妻の身体は妻以上に知っているのだ。 自分の身体に覆いかぶさってくる夫を押しのけようと 男の肩を突っ張っていたベジータの腕は、 いつしか弱々しく彼のパジャマを掴んでいた。 耳に届くしめった音とくぐもった嬌声が、まるで秘めごとを犯しているようで、 ベジータの口腔で絡みあわせた舌もそのままに、 カカロットは薄い寝間着(ねまき)越しに小さく自己主張する胸の突起を擦った。 その刺激に、まとわりつかせた彼の舌までもが痙攣をおこす。 敏感な妻の反応に思わず漏れ出た笑いは、すぐさま淫蕩な口づけに溶けていった。 「はぅ・・・ん、ひぁ・・・・ッ。」 突然愛撫を止め、ベジータの口中から暴れていた舌を引けば、 おずおずと震える彼のそれが差し出される。 関係をもってから1年も経つというのに未だ初々しさを残す態度に煽られ、 カカロットは思わずベジータの真新しい寝間着を引き裂いていた。 ぷっくりと膨れた乳首を軽く爪ではじくだけで、ビクビクと震える身体に愛しさが湧く。 「あっ、カカロ・・・・ット!」 「・・どうした?」 「ん、もっ・・・は、やくっ。」 ぐりぐりと乳首をいじると、舌足らずな声が不満を告げる。 堪えきれず、煙草を吸わないベジータの甘い唾液をすすった。 「早く・・・・何だ?」 「ハァッ・・・・ん、さわ、てっ。」 強請る言葉に名残惜しげに唇を離すと、諦めの悪い銀糸が二人を繋ぐ。 軽く唇を触れあわせ、パジャマ越しにも分かるほど立ち上がったベジータの 股間に顔を寄せたカカロットの髪を、突然ベジータが静かに掴んだ。 訝しげに顔を上げたカカロットの下に横たわるベジータは、 しかし顔を赤らめたまま、何も言おうとしない。 待つことの苦手な男は堪えきれず声を発していた。 「・・・・どうしたんだ?」 「・・・き、さまも・・ふく、ぬげ。・・・・・さむい。」 「・・そうだな。オレが暖めてやらねぇとな。」 「・・・バカ。」 視線を逸らしながら出された可愛らしい要求に挑発的な笑みを返し、 俯いてしまったベジータの額に口を寄せる。 それからすばやく服を脱ぎ捨てたカカロットは、 未だベジータの下肢を覆うズボンに手をかけた。 「おいっ、誰も俺の服を脱がせとは言ってないだろうが!」 「いいじゃねぇか。お前の服脱がすの好きなんだ。」 「・・・・変態。」 「何とでも。」 小憎らしいことを口にする唇を甘く食み、枕もとに置かれた白熱灯の鈍い光に 照らされた身体をまじまじと見つめると、ようやく彼を手に入れたのだという実感が湧く。 緩やかな陰影を描く妻の身体の艶かしさにごくりと喉を鳴らせば、 思いの外響いたその音に彼がピクリと震えたのが見えた。 「・・・・・・ぁ、カカロ、ットぉ。」 「ああ、悪ぃ。まだこんなイイ嫁さんがもらえたなんて信じられなくてな。 金なんか持ってねぇし、家もボロいし、おまけに親父がアレだぜ。」 「でも、俺、は・・・好き、だぞ。」 「うん・・・オレも愛してる。」 お互いに抱きしめあい、微笑みを交わす。 これから共に生きていく時間の長さに、二人はただ漠然と幸せを感じていた。 二人分の体重に古びた家があげる悲鳴も、 お互いを貪るように欲する彼らには届かなかったようだ。 ぐちゅぐちゅと卑猥に響く粘着質な音に聴覚が、 薄明かりにぼんやりと浮かぶ姿に視覚が犯される。 口中から伸ばした舌を絡めたまま、あぐらをかいた腿の上に乗せた ベジータの熱い秘所に己の男根を突き上げた。 ベジータの口腔から漏れた、どちらのものとも分からない唾液を舐めとる。 「死んでもオレのそばから離れるな。お前がいねぇと・・・。」 「ひあぁ!」 「おかしくなっちまいそうだ。」 片方の膝裏を持ち上げると、ベジータの秘所を穿つ肉棒がより深く食い込む。 ざわめき己を締めつける襞の動きにさえいとおしさが湧きあがり、 カカロットは堪えきれずベジータの口腔へと押し入っていた。 「んっ、は・・・カカ・・ット!もっ・・・・ふぅ。」 「ああ・・・分かってる。」 抱えた身体を布団に横たえ、膝が胸につくほど脚を折り曲げる。 そのまま前立腺を押しつぶすように猛った男根を突きたてた。 「あぁっ、ん・・・カカ、ロット、カカ・・・ロット!」 「・・ベジータ、好きだ。愛してる。」 「うんっ・・あ、も、だめぇ・・・・ひ、ああぁぁぁ!」 背を反らしながら、最奥に叩きつけられた精液にビクビクと 身体を震わせるベジータを、カカロットはただきつく抱きしめた。 幸福感とも満足感ともつかぬものが胸に渦巻く。 穏やかな表情で自分の髪を撫でられ、しかしベジータは 荒い息遣いのまま恨みがましい視線を向けた。 「・・・せ、かく・・・・っく、ふろはい・・・た、のに・・。」 「オレが入れてやろうか?連れてってやるぜ、このまま。」 「じょ、じょうだん・・・だろ。」 「・・・さぁ。」 にやりと含み笑いを浮かべた男の顔を目の当たりにし、 蒼ざめながら逃げようともがくベジータの身体を鷲掴んで、 怯えるベジータも可愛いなとにやける夫を必死に説得する。 それでもすっかり陰茎を立ち上がらせた男に、 果たして説得する意味があるのかは分からなかった。 「あ!バカ、貴様何を考えてるんだ!!」 「しょうがねぇだろ。抜いてねぇんだから。」 「だから早く抜けって言ってるだろうが!!」 「い・や・だ。」 妻のわめきを受け流したカカロットは、ぐっと腕に力を込め、 つながりを断たぬまま立ち上がった。 華奢ではないが、自分よりも小さな身体が腕に与える負担が 幾分か少なくなっていることに、カカロットは思わず顔をしかめた。 「・・・お前また痩せただろ。あ、そういや明日休み取れたぜ。 午前中だけだけど、先送りにしてて悪かったな。」 「ひぁっ、ほんと、に・・いくっ、のか・・・?んんっ・・ふく、は?」 「風呂に入るんだぜ?いらねぇだろ。」 適当に頭に浮かんだ質問を問いかければ、 真面目な顔をしたカカロットが絶望的な言葉を口にする。 夫がふざけている訳ではないと悟ったベジータは、今更ながら必死に抗うのだった。 「やっぱ、り・・いやだっ、ぁん・・・おろ、せ・・・・ッ!」 「いいだろ、たまには俺のワガママも聞けよ。」 「はぁん・・い、つも、きいて、ひあぁっ。」 「・・・・・可愛いフリしてあの子、わりとやるもんだねと、ってか♪」 にぎやかに階下へ降りていく二人へと向けられたバーダックの楽しげな呟きは、 幸か不幸か誰に聞かれることもなく、紫煙とともに闇に消えていった。 「おはよう、ラディッツ。」 「わっ、お、おはよう!」 「・・・どうしたんだ?」 背後からかけられた声にやたらと驚くラディッツを訝しみ、 覗き見るように顔を寄せてくるベジータに、 まさか昨夜の声が原因で眠れなかったのだと言うこともできず、 ラディッツは一人顔を赤らめ、不自然に話題を切り替えた。 ますます怪訝な顔を見せるベジータに、訳もなく流れてくる汗を拭う。 「え、えっと、和風なんだ、うちの朝飯。あ、あと皆すげぇ食うから!」 「・・・・そうか。手伝うぞ。」 「え、あ、ありがとう・・・。じゃ、味噌汁作ってくれ。」 静かにうなずく姿に何とかごまかせたと溜め息を吐いた義兄を尻目に、 渡されたエプロンを着込んだベジータは、ただ黙々と大量の食材を片付けていった。 「うわっ、カ、カカロット!!」 「そのエプロンすげぇ似合ってる。マジで可愛いぜ。」 突然腰に腕を廻され、耳に息を吹きかけられたベジータは 思わず大声をあげていた。 返された過敏な反応にフッと小さく笑いを漏らし、 叱責めいた声を無視して唇をふさぐ。 歯列を辿って上顎をくすぐり、甘い舌を舐めて、 チュッと無邪気な音を立てながらそっと愛撫を終えた。 「・・・ん、ふ・・・・ぁ、朝っぱらから人前で何やってるんだ!!」 「続きは夜な。」 「バカなこと言ってないで、さっさと顔を洗ってこい!!」 「はいはい。」 理性というものが、きちんと発達しているのかすら疑わしい男が 洗面所へ去ったあとの台所には、筆舌に尽くしがたい微妙な空気だけが残っていた。 すがすがしい印象をもたらす筈の小鳥の鳴き声も、 今はただ居心地の悪さを感じさせるだけのものに過ぎない。 「・・・・ゴメン。」 「い、いや別に・・・。」 何故か義兄に謝られてしまったベジータは、 内心カカロットを殴ることだけを考えていた。 「あの、さ・・・来たばっかりなのにこういうこと頼んで悪いけど、 親父、起こしてきてくれないか?あいつ一人じゃ絶対に起きないから。」 「ああ、別に構わんぞ。」 「もし身の危険を感じたら、俺かカカロットの名前を呼んでくれればすぐに行くから!」 「・・・・・・。」 再び訪れた静寂を破ったラディッツの言葉にうなずいたベジータは、 妙に力を込めて言外に頼りにしてくれと述べる義兄に、 どう反応していいものか悩んでいた。 大げさだなと思いながらバーダックの部屋のふすまを開ければ、 人畜無害な顔をした彼が、お世辞にも行儀が良いとは 言えない格好で惰眠を貪っている。 寝顔だけはカカロットにそっくりだと微笑みを浮かべ、 そっと男の身体を揺さぶった。 「・・お義父さん、お義父さん、起きて下さい。」 「・・・・・・・・。」 「おと、うわっ!ちょっ、はなし、」 「・・・もう少し、このままでいてくれねぇか?」 「・・・・お義父さん?」 「久しぶりに、死んだ嫁さん思い出しちまってな。」 突然もの凄い力で引っ張られ、いつの間にかバーダックの腕に包まれていた ベジータは、どこか寂しげな男の声に抵抗を止めた。 さすがに首筋に顔を埋めている男を引き剥がすことはできず、 どうすればいいのか途方に暮れる。 ただ眉間に皺を寄せていたベジータの耳に届いたのは、 何者かがすさまじい勢いでふすまを開けた音だった。 「まだお袋は死んでないだろ、エロ親父!!」 「おぅ、ラディッツ。」 「おぅじゃなくて早く放してやれよ!!お袋までこ、」 「・・・ベジータァ?」 しかし、宣言通り危機を救ったラディッツに感謝をする暇もなく、 階下から聞こえた自分を呼ぶカカロットの声にバーダックを突き放し、 ベジータはわき目もふらず狭い階段を駆け降りていった。 動きのすばやさに目を見張るラディッツの前で、 ベジータが去ってしまった方向を見つめつまらなげに呟く。 「あ〜ぁ、ベジータはカカロットと仲良しか。」 「もうベジータに何かするの止めろよな。・・・ハァ、お袋はどこ行ったんだか分かんねぇし。」 「ま、いいじゃねぇか。どこ行ったって、帰ってくる所はここだけなんだからよ。」 どこか得意げに話すあまりにも楽天的な父親の姿に、 ラディッツは大きな溜め息を吐いた。 思わず今まで幾度となく思い浮かべてきた儚い希望を口にしてしまう。 「・・・俺も普通の親に育てられたかったな。」 「冗談だろ。俺に育てられたなんて、滅多にない幸せだぜ。」 「・・・・・あっそ。」 もはやラディッツには溜め息を吐く元気すら残っていなかった。 一方、カカロットのもとへと走ったベジータが目にしたのは、 別段変わったところのなさそうな、いつもの夫の姿だった。 「・・・どうしたんだ、ってスーツ着るのか?」 「当然だろ。それより兄貴が叫んでたけど、何かあったのか?」 「いや、大丈夫だ。」 「・・・・ふーん。大丈夫、ね。」 「何だ。」 「いや。」 お互いにどこか引っかかりを覚えながらも、曖昧に茶を濁す。 やはり今言い合うのは得策ではなかった。 これから待ち受ける一種の試練に、緊張と憂鬱を抱いているのだ。 二階から降りてきたバーダックとラディッツとともに、 四人は異様な静けさの漂う居間で黙々と朝食を終えたのだった。 「お父さんお母さん、息子さんを僕に下さい!!」 ガバッと勢いよく頭を下げた図体ばかりが大きな若者を前に、 立派な口髭を蓄えた男、ベジータはわなわなと震える拳をテーブルに叩きつけた。 外泊したらしい息子を今か今かと待っていれば、 帰ってきた息子はこんな訳の分からぬお荷物を連れてきたのだ。 これが怒らずにはいられようかと、男は大声を上げた。 「ええい、間違っても貴様なんぞにお父さんと呼ばれる筋合いはない!! そしてどこの馬の骨とも分からん男にわしの愛しいベジータはやらん!! いいか、よく聞け。ベジータを幸せにできるのはわしだけだ!!」 「父さん、何を言って・・・。」 「お前は黙っておれ!!・・・っま、まさか、子供ができたなんて言うんじゃないだろうな!?」 「俺は男、」 「大丈夫です!立派な子供を産みます!!」 「ベ、ベジータが、わしのベジータが汚された・・・!」 「・・・・・・もういい。」 何故か拳を握り、誇らしげな顔を向ける夫と頭を抱える父親を前に、 説明する気も失せたベジータは疲労しきった声を出した。 しかし、この崩壊しきった部屋の空気を立て直すために声を発したのは、 こんな時でも微笑みを絶やさぬ美しい女性、プリカであった。 赤く色づいたみずみずしい唇から漏れる透きとおった声が、 まるで部屋を浄化していくような気さえさせる。 「まぁまぁ、貴方ももう親バカは卒業なさったら。」 「嫌だ!!ベジータは死んでもわしのものだ!!」 「あら、元気がいいこと。」 にっこりと神々しさすら感じさせる笑みを浮かべながら、 早く行きなさいとドアへ向かって顎をしゃくる。 その合図をきちんと理解したベジータはわずかに頭を下げ、 隣でまだ爽やかな笑みを振りまいているカカロットの腕を掴み、 静かに、しかしすばやくその場を去ったのだった。 「プリカ!!わしは本気で言っておるのだぞ!」 「でも二人とも帰ってしまったみたいよ。」 「何!?わ、わしのベジータがあんな男と・・・!」 「いいじゃありませんか。別に一生会えない訳じゃないのよ。 あの子もまた帰ってくるでしょうし、ね?」 「・・・わしはいつもベジータのそばに居たいのだ。」 「あらまぁ、それは大変ね。」 すっかり気落ちした声を出す男の頭を撫でてやりながら、 プリカはそっと小さく吐息をついたのだった。 「よかったな、許してもらえて。」 「・・・・・・・ああ、そうだな。」 満足げに笑うカカロットが運転する車の、助手席のシートに力無くもたれたベジータは、 もう何も考えたくないと思いながら、ただ静かにてのひらで額を覆った。 今日は快晴。 |
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今回のカカは登場する度にキモさが増してますね(死)
何なんでしょう、立派な子供って・・・(貴方が書いたんですよ) |