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Z〜第6話〜 (2)

実験屋◆ukZVKLHcCE氏

「・・・・エリス?」
そうであって欲しくない思いを込めて呟く。
「えっ!?」
エリックはそう呼ばれて驚いて俺から離れる。確信を突かれた、という表情だ。
「やっぱり・・・・・エリスなんだな?」

(私エリスって言うの)

全ての記憶を思い出した・・・・・最悪だ。
「あ・・ゼット様・・・」
不安げにエリック、いやエリスが見つめてくる。

頼むそんな目で見ないでくれ・・・・・俺にはそんな資格・・・
ふとエリスに手が伸びる。あの時の手の感触を確かめたくて。
「!!」
触れようとした瞬間、エリスはビクッと身体を震わせた。
「エ・・・エリス・・・」
屈服なんかしてなかった・・・・拒絶された・・・・


・・・・・・嫌われた!!!


俺は部屋から飛び出た、いや逃げ出した。
「ゼット様!!」
背後からエリスの声が聞こえた。でも・・・・それは気遣うフリなんだろ?
その声に答えることも出来ずに俺は逃げた。

  何で気付かなかったんだ?
  見ればわかるだろ?
  大きくはなったがあの時のままじゃないか?

自分のバカさに嫌気がさす。本当に・・・本当に・・・・
「何やってんだよ!!!」
どうしよう・・・・取り返しの付かないことをしてしまった!!

  エリスにまた会いたかったのに・・・・
  カワイイなって思ったのに・・・・
  初恋だった・・・  
  好きだった・・・・

エリスを・・・・エリスを・・・・・

「愛していたのに!!!」


自分の部屋に逃げ込んだ。そのまま床に突っ伏す。
「クソッ!!クソッ!!クソッ!!」
床を殴りつけながら今までの自分に悪態をつく。そんな事をしても今更遅いというのに。

(その男に見せてやりたいなぁ・・・今のお前を)
今までエリスにしてしまった仕打ちが頭に流れる。
「何言ってるんだ俺!!」
(エリック、一人でシてみろ。)
「バカッ!!相手はエリスだったんだぞ!!」
(変態)
「違う・・・エリスは違う!!」
(変態)
「違うって言ってるだろ!!」
(変態)
「そうさせたのは俺じゃないか!!」

こんなはずじゃなかった・・・・こんなんじゃなかった。
こんな事のために今までやってきたんじゃない・・・・
こんな未来が欲しかったんじゃない!!

俺が望んだ未来はこんなんじゃなかった!!


「・・・・クククク・・・・ハハハハ・・・」
もう笑うしかない。だってそうだろ?王国に復讐する。それだけの為に
今までやってきたのに、そんな自分が手に入れたかったものを
傷つけてしまったんだから・・・・

ピシィィィッ!!!!

「ハハハハハ」
もうダメだ・・・
「クククククク」
俺の心は・・・・
「アハハハハハハ」
完全に・・・・・

完全に砕け散った。

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

                                 第6話〜完〜


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