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番外編:ミイラとサキュバス 2

実験屋◆ukZVKLHcCE氏

気揚々と乗り込んだものの、すっかり返り討ちである。
升沢はトボトボと帰宅の徒についていた。
「よう啓じゃん。退院したんだ。」
声をかけられた升沢は振り向いた。
「・・・レオか。」
橘レオ。升沢の幼馴染兼セフレである。ちなみに彼女も升沢と
同じ穴のムジナで、男をつかまえてはオケラになるまで
弄ぶ為”サキュバス”の異名をもつ悪女である。

「ナニ辛気臭い顔してんの?」
「・・まぁ、いろいろあんだよ。」
「ついこの間はミイラ男だったモンな。」
「そのことに触れるんじゃねー!!殺すぞ。」


狂介にやられて運良く死なずにすんだ事は今思っても奇跡に近い。
あいつにとって何よりも大切であろう有紀を傷つけたのだ。
今自分が生きてるだけでも慈悲がもらえたのだろうか・・・。
「啓、ホントにどうしたの?」
レオが訝しげに顔を覗いてくる。
「イヤ・・・クスリ・・・毒が抜けたのかな、ってな。」
「毒?」
「真面目に働こうかなって思ってる。」
「・・・熱があるんじゃない?」
そういってレオは升沢のデコに手を当てた。

ドキッ

(なに!?)
眼前に迫ったレオの顔を見た瞬間、升沢の・・・啓の中に不思議な感情が生まれた。


「ぅむ!!」
気が付けば啓はレオの唇を奪っていた。
「んんっ、くぅ・・・ぷはっ」
たっぷりとレオの口腔を堪能し口を開放する。
「啓・・・」

バチィィ!!

いきなり頬を平手打ちされた。
「何すんだよいきなり!!」
レオは顔を高潮させ啓を睨み付けた。
「あ・・・その・・・スマン。」
啓は何も言えずにただ謝った。


「・・・啓。ホントどうしたの?絶対におかしいよ。」
「あぁ。・・・・そうだな。」
自分でも分らなかった。ただ、あの瞬間にレオを
自分のものにしたい衝動に駆られて・・・。
「はぁ〜。まったく・・・しょうがないなぁ。」
ため息をついたかと思うとレオは啓と腕組みをした。
「・・・・レオ?」
「溜まってるんだろ?解消してやるよ。」
そういうと啓とレオは連れ立って歩いていった。

(・・・コイツといる事がこんなにもいいもんだとはな。)
肉体関係でしかなかったレオを愛しく感じた自分に自嘲しながらも
啓はすべてを失った今の自分に初めて満足を感じた。


「なんでココなの?ホテルじゃないのかよ?」
「金が無いんだ。文句言うなよ。」
ココとは啓のアパート。啓の全財産は10万円チョイ、家賃や
食費、その他につぎ込んでも1ヶ月がギリギリの金額である。
「いいよ。ココで勘弁してやる。」
「どうも。」
そういうと啓はレオに口付けた。さっきは途中で中断した感があった為
今度は徹底的にレオの口内を貪り尽くす。
「ふぁ・・・んんぁ・・・あっ、ん!!」
レオに口付けながら、啓はある物に目をやった。
(アレは・・・・)
「はぁ・・・はぁ・・・。」
強烈に口腔内を吸い尽くされたレオは息を乱しながら横に目をやった
啓に声をかける。
「・・・啓?」
「レオ。・・・・頼みがあるんだけど。」
啓のまなざしは真剣そのものだった。




で?感想は?」
「マジサイコー!!」
そう叫ぶ啓の前にはかつて自分が通っていた学校、つまりは狂介と有紀が
着ている物と同じ制服に身を包んだレオがいた。
チェックのズボンにグレーのブレザー、有紀とは違い胸を隠していない為
ワイシャツはムネのふくらみでパンパンである。
「何がしたいんだか・・・」
レオといえば呆れ顔を見せていた。読者的にみれば狂介と有紀に触発された
事が丸分りだが、そんなことを知らないレオにしてみれば一風変った趣向を
取り出した啓に違和感むき出しである。
「何がしたいって・・・ナニがしたいのさ。」
言うが早く啓はレオに飛びついた。
「ちょ・・・啓やっぱりおかしい・・・」

「レオ!!好きだ!!」


その一言が発せられた瞬間、周囲の音が一斉に無くなった。
「な・・何言って・・・」
「俺にはもうレオしか・・・レオしか!!」
今までのすべてを失った啓。当然、レオも自分を捨てるのが当然と思っていた。
「でも、レオはいなくならなかった・・・。」
「当たり前じゃん。」
「え?」
さも当然のように言うレオに啓は唖然とした。
「啓みたいなジャンキー放っておいたら、絶対にのたれ死ぬにきまってるし。」
「それは言いすぎだろ。」
「啓〜。いい事教えようか?」
「いい事?」
「アタシってさ〜。アンタとしかヤってないんだよね〜。」
「・・・・マジで?」
「マジ。」

さあ、ご都合主義の時間ですよ。


「付き合った男は星の数だけど、そう簡単に股は開かないさ。」
「それはそれは。」
「それに、アタシもスキだよ・・・アンタのこと。」
「・・それこそマジで!?」
「だてに幼馴染なんて臭い関係続けてまで嫌いな男の傍にはいないさ。」
「・・・ドウモ。」
「あばずれてるとは思うけど・・・」

「カラダはアンタの物って決めてるんだよ。」
「れーーーーーーおーーーーーー!!!!!!」
喚起に包まれた啓はレオに飛びつくと胸に顔を埋めて泣き付いた。
「ったく・・・。よしよし。」
レオは啓の頭を抱きとめるとそう言って優しく撫で下ろした。


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