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番外編:ミイラとサキュバス 1

実験屋◆ukZVKLHcCE氏

「やった・・・体が・・・体が動くぞ!!」
一月半ぶりにシャバにでたその男は歓喜の声を上げた。

『番外編:ミイラとサキュバス』

「山崎の奴・・・今度こそぶっ殺す。」
先日、狂介に半殺しにされた(狂介的には全殺し)男、升沢。
無事に退院し憎き狂介に復讐すべき執念を燃やしている。
「アイツの所為で俺は・・俺は!!」
狂介に倒された際に流された”再起不能”のウワサが彼から
裏社会での権力、コネクション。すべてを失わせていた。
「復讐だ。まずは・・・・。」


「ここが山崎の家か・・・はぁ〜」
前もって調べていた狂介の家に到着する。目的は調査である。
入院中に送った刺客は皆、狂介に倒され、こんな下っ端の仕事まで
自分でしなければならない現状に升沢はため息を漏らす。
「まあいい。弱点、せめて弱みでも見つければ・・・」
正攻法で勝てないので、お約束どおり汚い手段を使う升沢。
でも逆にここまで真っ向な汚い手段を使うところがカワイイね。

「リビング・・・誰もいない。」
手始めに一階から部屋を覗き込む。気配は消しているものの
田代神のような巧みなテクニックは持っていないため、その姿はマヌケだ。
「二階はどうだ?」
壁伝いに二階へ移る。しかし、ここまでしても警察や「キャー!!」と叫ぶ近所のババァ
が現れない当たりが作者のご都合主義でもあり、この町の
治安の悪さを物語っている。



「山崎の部屋は・・・」
狂介の自室を目指す升沢。自分は偵察活動とカッコ良く思っているが
壁に張り付き、高所のため足がガクガクと震え腰が引けているその姿は
女性の前で勃起して前屈みになってる男性のようだ。

とその時!!

「あぁぁん!!」
女性の悩ましげな声が聞こえた。
「な?」
突然の出来事にビビる升沢。先に例えた状態が正に現実となった瞬間である。
(オイオイ。真昼間からサカってるのかよ。)
驚き反面、絶対に覗いてやるという決心が生まれた。


「山崎ぃ〜。ヤッてる姿拝ませてもらうぜ。」
コレならゆするネタになる。そう確信した升沢は声のする
部屋の外へとたどり着いた。幸いにもベランダがあるため自分のポジを固定しやすかった。
「どれどれ・・・」
カーテンが掛かっていたため見えないかと思ったが完全に閉められているわけではないので
隙間から部屋の中を覗く。
「やってるやってる。」
ソコには相手の女を抱きかかえ情事に勤しむ狂介の姿が・・・・
「へへ・・・」
自分を完膚なきまでに叩きのめした相手の色事を拝見し勝った気分になる升沢。
(相手は誰だ?・・・・・・何ィィ!!)
狂介と交わっている相手を確認した升沢は驚愕した。
(アレって・・・南?)
そう。狂介と交わっている相手は南有紀。しかし升沢が知る限り有紀は男のハズ。
(ホモ?・・・・でもムネでかい・・・え?・・えーーーー!!)
有紀は女。やっと辿り着いた答えに升沢はビビッた。そしてチビった。


(マジかよ・・・)
狂介と有紀。憎むべき二人の情事を升沢はただ見ているだけだった。
・・・つーか覗きは立派な犯罪である。
「スゲー・・・」
「まったくだ。」
「誰だ!!」
いきなり隣から声をかけられ振り向く。そこには・・・・
「うぃ〜っす。」
「藤澤・・・なんでココに?」
藤澤はジャージ姿にワンカップをもってと言うホームレスのような姿で立っていた。
「なんでって、二人の愛の育みを観察に。」
そう言ってワンカップをグビと飲む藤澤。ちなみに未成年の飲酒は違法である。
「いや〜若いっていいな。なぁ母さん?」
「そうね〜。」
「!!」
反対側を振り向くと七輪にスルメをあぶった狂介の両親が息子と恋人の
ニャンニャン現場を楽しげにのぞいていた。


「何なんだアンタら・・・」
「君も飲みなさい。」
そう言うと湯飲みに入ったお茶を勧める山崎父。
「あ、どうも・・・って違う!!」
やっと頭が状況を理解した升沢は叫んだ。
「オヤジさんスルメください。」
「おぉ、秀君。君はイケるクチだな。」
「イヤイヤ。」
(もしかして、ヤバいヤマに首突っ込んだのか?)
「あらぁ〜今頃気が付いたの?」
魅惑の笑顔を浮かべ山崎母が升沢の肩に手を伸ばす。
「ちなみにこの事、誰かにしゃべったら・・・分るわね?ニコ」
鎖骨を粉砕しそうな握力で升沢を”説得”する山崎母。
「ハイ・・・ワカリマスタ・・・」
升沢は誓った「こいつ等に関わるのはよそう。」と。


「チューしろって。」
「リードが甘い。」
「もどかしいわね・・・。」
人の情事を覗いておいて好き勝手のたまう三人。
「そんなに喋って聞こえるんじゃ・・・?」
作者自身忘れていた事を升沢は言い出した。(危ねぇ・・・)
「大丈夫。そんな時の・・・」
「そんな時の?」
「「「ご都合主義だ!!」」」

「・・・・帰ります。」
(山崎、南。・・・・俺が悪かった。・・・そして頑張れ!!)
敵対していた升沢が(マトモな)協力者になった記念すべき瞬間だった!!


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