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福星遊戯 2

白雀 ◆T2r0Kg7rmQ氏

「まあ簡単に言うとだな、引っかかったんだよお前は」
 壁に寄りかかりながら、レンの頭に軽く手を乗せくしゃくしゃと髪を撫でるファン。やや乱雑に撫でられるその感触に半分身をゆだねながらも、レンはファンの解説にもう半分の身を強張らせる。
 裏道を少し進んだ先は行き止まりであり、今はみんな市に出かけているのか粗末な家々にも人気は感じられなかった。
「引っかかった?」
「つまりだ、イカサマっつー奴。お前が選んだのは間違いなく最初に当たりを隠した茶碗だったけど、途中で答えをすり変えるとか金貨をもう一枚袖に隠すとか、あの店主、最後の三回とも正攻法以外でお前を煙に巻いたってことだ」
「……むー、それってずるいよっ」
 単純といえば単純な真実に、レンは唇を尖らせて不満を露わにする。
「ずるくない。ああいう賭け事では胴元は絶対損しないような技を身に着けるのは当然のことだ」
「でも……うー、悔しいよっ」
 本当なら今すぐに戻って文句の一つでも言いたいところであったが、渋々レンはその気持ちを押さえ込む。ファンは見破っていたのだから要するに、見破れなかった方が悪いのだと認めざるを得ない。
「前にも言ったように、そこがお前の弱点なワケだ。確かに実力はすごいが、正攻法以外の手で来られても馬鹿正直に突っ込んでいくだけで変化に対応しきれない」
「でもボクは……!」
 何かを言いかけたレンを、ファンは黙って手のひらを突き出して静止させる。その顔には、なぜか喜んでいるような微笑が浮かんでいた。

「分かってる。何も、どんな卑怯な手を使ってでも勝てって言ってるわけじゃない。
 どんな状況、どんな戦法にも流されること無く対応できるだけの広い視野と、たとえ自分が有利に見えても最後まで油断しない心構えと、常に相手の裏の裏を読めるようになる経験を持てるようになれってことだ。
 お前はまだこれからいくらでも強くなれるんだから、ただ肉体を鍛えるだけじゃない。時には一歩引いた視点から相手の本質を見抜ける器量ってやつも、お前ならきっとでかくできるはずだ」
「…………う、うんっ!」
 染み入るようにファンの言葉を頭の中で反芻した後、勢いよくレンが頷く。その瞳にはやる気を取り戻した精気が満ち溢れていた。
 レンにとっては、ただ心の中の靄が晴れただけではない。ファンが、初めて自分を認めるようなことを言ってくれたのが嬉しかった。
 ファンが自分の成長に期待していることをハッキリと告げてくれたことが何よりも嬉しかった。改めて、レンは自分の父にすら勝ったこのファンと言う男の器の大きさを垣間見たような気がした。


「ボク、今日からまた頑張るよ。まっすぐ突撃するだけじゃなく、いろんな戦い方が出来るように」
「よし、その意気だ。なら俺が一発元気をつけてやろう」
「え、何を……」
「確か、勝負に負けたお前は俺の言うこと何でも一つきくんだったよな?」
 普段の無愛想な表情からは想像もつかない、妙に楽しそうなファンの声色に冷や汗が一筋流れるレン。
「あの、ボクなんだか嫌な予感がしてきたんだけど……」
「さて、あんな単純なイカサマに引っかかる子にはお仕置きだな」
 籠を地面に下ろすと、ファンは背後からレンを抱きしめるように羽交い絞めにした。とっさのことで逃げられもせず、レンの小柄な身体はすっぽりとファンの腕の中に埋まってしまう。
「うわーん! こんなところでなんて、けーだーもーのー!!」
 じたばたともがきながらレンが非難するような叫びを上げるが、人気の無い裏通りでは誰もその声を聞くものはいない。
 もっとも人気が無いだけであって、いつ人がこの通りに通りかかるか分かったものではない。もし誰かに見られたら……と思うと、レンはいつもの期待に加え、いつも以上の緊張で胸が激しく脈打つのであった。

「だ、誰か来ちゃったらどうするの……んんっ」
 最後まで言わせず、ファンはレンの唇を奪う。
 むさぼるように唇を押し付け、舌でレンの唇をこじ開け口内へと侵入する。生えそろった小さな前歯を舌先で舐め、歯茎をつつく。
 おずおずと口を開き伸ばしてきたレンの小さな舌を感じると、それに舌を絡ませる。お互いの唾液を交換するように二つの舌が絡み合い、身を躍らせながらぬるぬるとした感触を楽しむ。
 しばらくお互いの舌同士を刺激しあった後にようやくファンが口を離すと、舌先から伸びる唾液が二人の間に一本の透明な糸を引いた。 
「大丈夫だ、誰か来たら俺が気配で分かる」
「そ、そういう問題じゃなくて……」
 すでに熱に冒されたかのようにレンの頬は真っ赤に染まっており、目つきもどこかとろん、とし始めていた。街中でする、という予想外の展開への不安に、ファンへの愛おしさが徐々に勝利しつつあった。
 ふくらみの無い胸の部分が、荒いだ息に呼応するかのように激しく上下する。
「なら手早く終わらせるさ。レン、壁に手をつけ。そうだ、そのまま腰を突き出すように……うん、可愛いぞ」
 ファンの言うまま、壁に手をつき腰をファンのほうに突き出すようにするレン。元の小柄な体格もあいまってか、まるで子馬が四つんばいになるような体勢でレンは壁に体重を預ける姿勢になった。
 正面には壁があり、背後に回ったファンの姿はレンには見えない。この姿勢から何をされるんだろう、と不安げな表情を浮かべ首を後ろに向けるレン。
 レンと目が合うと、ファンは安心させるようにその無愛想な顔に微笑を浮かべる。そしてそのまま一気にレンのズボンを下ろす。

「ひゃあぁっ!?」
 一気に膝元までずり下ろされる道着のズボン。レンの可愛い尻と未成熟な秘所が露わになった。恥ずかしさから思わずまた声を上げてしまうレン。
 動物のように腰を大きく折り曲げて尻を突き出す姿勢になっているせいか、外気に晒され尻の中央でひくひくと動いている菊門もファンからは丸見えであった。
 そこを間近で見るのは初めてのファン。もっとよく見ようと顔を近付ける。汗の匂いとかすかなアンモニアの匂い、それに少女の甘い匂いの混じった不思議な匂いを微かに鼻で感じながら、今はぴったりと閉じているそのもう一つの穴を凝視する。
 周囲のまだ熟れていない桃のような白い尻の双丘と比べるとやや濃い色をしたその小さな穴にはいくつもの皺があった。


「や、そんなとこ見たらダメだってばっ」
「大丈夫だ、可愛いから」
「そういう問題じゃなくて、恥ずかしいんだよ……んあっ」
 つん、とその窄まった穴にファンの指先が触れる。指先よりもさらに小さな菊門をつつかれ、思わず悲鳴に似た声が出てしまう。
「さ、触っちゃダメだってばぁ……汚いよ」
 抗議を無視し、人差し指をさらに前に押し出していくファン。狭い穴をこじあけるように、つぷ、と先っぽだけがお尻の中に吸い込まれた。
「やっんぁっ……だ、ダメだってばっ」
 おかまいなしに指を進めようとするが、本来入れるために出来ていないそちらの穴はかなりきつい。異物の侵入を拒むかのように押し出そうと収縮する内壁が、ファンの太い指をきつく締め付ける。 
「はぁっ、んんっ……だ、だめ……動かさないでよぉ」
 仕方なく、奥への侵入はひとまず預ける。そのかわりに侵入した指先だけをぐりぐりとほじくるようにかき回す。
 菊門の周りをかき回される刺激に、レンは力が抜けたかのような甘い声を上げる。
「ダメとか言ってる割には気持ちよさそうだな」
「気持ちいいけど、でも、恥ずかしいんだよっ」
「まあそうかもしれないな。普段はこっちを使ってるしな」
「あうっ!」
 空いていた左手の人差し指を前の穴へと入れる。いきなりの不意打ちに嬌声を上げるレンだが、すでにその中はしっとりと濡れていた。
 左手の指を抜くと、全体には幼い秘所から分泌されていた愛液がとろりと絡みついていた。
「けど知ってるか? こっちでもできるんだぞいちおう」
「んっ……ひゃんっ」
 右手人差し指を引きちぎらんほどに締め付けていた菊門から指を抜くと、今度は愛液の絡み付いた左人差し指を即座に差し込む。
 そして、柔らかい菊門の周りにレン自身の愛液をぬりたくるようにまた指をぐるぐると回してかき混ぜていく。
「ん――っ、んあっ、で、できるってまさか……」
「……なあレン、お前が女の子に戻れるのは俺と二人っきりのときだけとか言ってたが……いつ誰か人がくるか分からないこの状況だと、お前は男なのか女なのかどっちなんだろうな?」
「え? 急にそんなこと言われても……」
「ああ。つまりこんな所で女になるのはまずいよな。女じゃないなら、『する』時はこっちでするものだろう」
「わ――――っ! お、女の子でいいから、普通にして欲しいよ――っ」 
「だが断る。何事も強くなるための経験だ。こっちの穴でするのもな」
「ぜったい違う――っ!」
 抵抗するように下半身を激しく振るレン。しかし菊門に刺さったままの指は、下半身が揺れる振動で小刻みに震えさらにレンに刺激を加えてしまい逆効果である。
 やがて、緊張がほぐれてきたのかしだいに菊門の収縮が若干弱まってくる。少し強く力を入れると、ファンの指はもう少し奥へと進んだ。
 初めて侵入するレンの後ろの穴は膣内のように濡れてはいないものの、お腹の中の温かさが直接指へと伝わってきて非常に温かかった。


「まあ、お前がどうしても嫌だってんなら、もちろん無理にとは言わないけどな」
「……い、いじわる……ボクだって、そんな優しいこと言われたらイヤなんて言えないよ」
「ん、いい子だ。緊張してると痛いから、力抜いてな」
 一度指を入り口付近まで引き抜くと、菊門から指が抜けるか抜けないかの寸前でまた中へと指を推し進める。
「っあああぁぁっ」
 今度は一気に、第二関節のあたりまで埋没する。無意識に反応してしまうレンの身体は侵入物を排除しようと再び収縮し、指全体に強烈な圧力がかかる。
「すごいな……お前の中、きつくてあったかくて……」
 また引き戻し、押し進み、戻し、進み、と前後に指を何度も何度も動かす。
「あっ、んっ、やっ、ふあぁ……」
 指の動きに合わせ、レンが切なそうに声を漏らす。元々が排出のための器官なせいだろうか、入れるときよりも引き抜くときのほうが若干気持ちよさそうな声のように思えた。
「……」
 ファンは無言で、今度は空いていた右手人差し指をレンの秘所へと伸ばす。
 菊門の周辺と内部を攻められて感じていたのか、既に外側まであふれた愛液によりそこはぐっしょりと濡れていた。
「ん――っ、くっ、はぁぁっ!」
 縦のスジをなぞりながら、大量の蜜を指に絡めて行く。指の腹が敏感になっているレンの小陰茎をこすると、さらに指をくわえている菊門の締め付けが強まった。
 十分に指に愛液を絡め取ると、また攻める指を左から右へと交代させ、新鮮な蜜を再びレンの小さな菊門へと塗りこんでいく。今度はさらに第二関節を越えて奥まで指が入っていった。
「くぅぅぅっ、んっ!」
 ファンはだいぶ余裕の出来た指を、直腸内部で折り曲げる。外からの侵入を許したことの無い未開の直腸内を、指で押したり擦ったりしながら刺激していく。
「だ、ダメだよぉ……お腹のなか、すごい……」
 身体の内部を直接攻められる刺激にレンはがくがくと膝を揺らしながら耐える。少しでも気を緩めればその場に立っていられないほど、初めて味わう肛虐の刺激は新鮮で、強烈だった。

「ひゃんっ」
 にゅぽっという小気味良い音を立てて指が引き抜かれる。レンの後ろの穴は、小さな穴をぽっかりと開けながらひくひくと攻めの余韻に浸っていた。
 だが、それでも前の穴と同じようにファンの男性器を受け入れるかと言うと、後ろから観察しているファンには疑問だった。
(このまま入れたら相当苦しいか……いや、その前に入んないだろうな)
 
「ひっ?」
 顔を近付け、両手で左右のお尻を掴むとそのまま左右へと広げる。大きくレンの尻を割るようにしてから、ファンは少しずつもとの小さな穴に戻っていく菊門へと顔を近付けた。
 そのまま舌を出すと、舌先で穴の中心をつつく。
「やぁっ、舐めちゃダメだよ、汚いよっ」
「レンのなら汚くなんかないさ」
 つつ、と唾液をたっぷり絡ませながら、菊門の皺を一本一本数え上げるように舐め上げていく。
「やぁ……恥ずかしいよぉ……」
「恥ずかしいだけか? 気持ち悪いならやめるが」
「……くすぐったいけど……少し気持ちいい」
「ん、素直でよろしい」
 菊門の周囲をすっかり舐め終えると、舌先を尖らせ中心部の奥の見えない穴へとねじこんでいく。入り口から少し奥までしか入らなかったが、外側と内側のちょうど境となる部分を重点的に舌で攻め、濡らしていく。
「ああっ、ファンん……」
 レンが下半身をさらに後ろへと突き出す。ファンの鼻先までが柔らかい小桃のようなレンの尻にはさまれ、気持ちが良かった。


 舌ですっかりねぶり上げても、レンは健気に壁に手をついたままの姿勢を保っていた。
 すでに菊門の周囲は前の秘所と変わらないくらいに濡れててかてかと光っていた。
(……まあ大丈夫だと思うが……念には念だな)
 ファンは懐から小さな竹筒を取り出す。その筒の栓を開け、中身を手のひらに出すとその中からは黄金色をした液体がとろりと流れてきた。
 それを指先に塗ると、またレンの菊門へと塗りつける。
「ひっ? な、なに?」
 唾液でも愛液でもない、冷たく粘りのある奇妙な感触が体内に流し込まれる感触に驚いてレンが声を上げる。驚いて振り向くが、レンの体勢ではファンがなにかごそごそとやっているところしか見えない。
「いや、こういうこともあろうかとさっき買っておいた蜂蜜だが」
「……ま、まさか」
「少しでも滑らかに入れやすくするようにと思ってな」
 ……ファン、食べ物は大切にしよう。
「にゃっ、つめたっ……」
 筒から直接、菊門の周りへと蜂蜜を豪勢に垂らす。動物が喜んでむしゃぶりつきそうなほど、レンの菊門の回りは唾液と愛液と蜂蜜が混じって甘い匂いを放っていた。
 残りの蜂蜜をファンは自身の陰茎へと垂らす。これまたレンが喜んでしゃぶりそうな甘い匂いを放ちながら、十分すぎるほど屹立した陰茎は黄金色に輝いていた。
「それじゃ、そろそろ入れるぞ……力抜けよ」
「う、うん」
 ファンにしてもらうのは嬉しいが、やっぱり尻に入れるなど初めてである。レンも期待以上に不安の混じった声で、後ろを振り向きながらこくんと頷いた。

「んっ……」
 現代の加工された蜂蜜よりはややサラサラとした蜂蜜は、潤滑油代わりとなって侵入を楽にさせる。
 それでも、異物を受け入れたことの無いレンの小さな後ろの穴は堅く侵入を拒んでいた。
 陰茎の先端だけがゆっくりと菊門に埋没していく。
 力をこめて、腰を前に押し出すファン。少しずつ、指よりも遥かに太い陰茎が奥へと入っていく。
「レン、大きく息を吸って吐いてみろ」
「ん……すぅ……はぁ――――――――はあぁぁぁっ!!」
 レンの身体から一瞬力が抜けた瞬間、一気に根元まで侵入させる。一瞬遅れて、レンはすさまじい圧迫感を腹の中に感じた。
 肺の中の空気を全て出しつくさんばかりに息を吐き、酸素を求めて苦しそうに喘ぐレンの頭をファンは愛おしそうに撫でた。


「全部……入ったぞ」
「うん。おなかが……すごい……いっぱいだよ」
 異物の侵入を許したレンの腸内は激しく収縮し、強くファンの陰茎を締め付ける。
 まだ幼いレンの膣とすら比較にならないほどの締め付けが亀頭の先から陰茎の根元まで全体を痛いほど刺激し、気を抜いたらすぐにでも果ててしまいかねないほどの射精感がファンを襲う。
「ゆっくり……動くぞ」
「う、うん」
 奥まで入った陰茎を、ゆっくりと引き抜く。
 そしてまた、狭い腸内を押し広げるように中へと戻っていく。
 十分にほぐし、濡らしたおかげで思ったよりはスムーズに動くことが出来た。
「はっ、んんっ、くうんっ」
 前後にゆっくりと動くたびにレンの口から声が漏れる。
「すげぇ……お前の中、気持ちいいぞっ……!」
「う、うん。ボクも、気持ちいいのっ」
 くちゅ、くちゅと卑猥な音を上げながら、次第に腰を動かす速度が早くなっていく。ファンの腰の動きに合わせるように、レンも自分で下半身をファンの方へと突き出す。
「ダメだよぉ……お尻で気持ちよくなっちゃうなんて、ボク、ヘンになりそうだよっ」
 パン、パンと肉がぶつかり合う音が響く。
 お尻でしていること、外でしていること、さらにいつ誰か人が来るか分からないこと。
 後ろから突かれるたびに緊張感と背徳感がレンを襲い、それがさらに快感を倍増させる。
 ファンの陰茎を締め付ける力もどんどん強くなり、まるでファンのモノを根元から引きちぎらんばかりである。
「あっ、はっ、あっ、はあぁ……ぼ、ボク……もう……っ!」
「くっ……そろそろ、いくぞっ」
 予想以上に早く、互いの限界が近づく。獣のような勢いでさらに動きを早める二人。
 太い陰茎が腸内を奥まで擦り、菊門を押し広げ、柔らかい尻の双丘を激しく叩きつける。
 幼い菊門が根元までくわえ込み、絞り上げるように強く締め付ける。
「うおっ……出るっ!」
「ファンっ、んっ……んあああ――――っ!!」
 果てる寸前、ファンはレンの中から急いで陰茎を引き抜いた。
 強烈な締め付けから陰茎が開放されると同時に、恐ろしい勢いで精液が放出される。
 溜まっていた分を全て吐き出すかのように、尿道のすぐ前にあるレンの尻めがけ大量の精液が飛んでいく。
(あ……熱い……よぉ)
 薄い桃色をしたレンの可愛らしい尻がみるみるうちに白濁液で汚されていく。
 その様は、まるでもぎたての桃にたっぷりの牛乳をかけた美味しそうな食後の点心のようであった。
 やがて尻の割れ目を伝い、ぽっかりと空いた菊門にも少し入っていきながら流れ落ちる精液はレンの秘所から溢れる愛液と交じり合い、地面に行く筋もの染みを作りながらぽたぽたとこぼれて行くのだった。
 まだ何かが入っているような異物感と下半身に伝わる熱を感じつつ、緊張の糸が切れたのかレンはそのままずるずると崩れ落ちるように気を失った。


「あー、ちょっとやりすぎた……かもな」
「く〜」
 帰り道。激しい運動とはじめての後ろでの性交を終え疲れたのか、レンは気を失ったまま寝入ってしまっていた。そのくったりとした様子に少しだけ罪悪感を感じるファン。
 仕方なくレンを背負い、道場へと足を向けるファン。買い物の荷物に加えレンという荷物が増えたものだから、彼をもってしてもなかなか大変だった。

 と、何かを見つけたように彼が足を止めた。
「あいやー、お兄さん奇遇アルね。今帰りアルか?」
 彼がレンとヤっちゃうきっかけになった遊戯の主催者、怪しさ爆発の露店の店主もファンを見つけたのか、気さくそうに話しかけてくる。
 だが、ファンから感じる敵意にも似た警戒心を感じ取ると店主は歩みを止めた。
「……なあオッサン、あんた何モンだ? レンが起きてるときは追求するつもりはなかったが、今こうしてあんたから近づいてきたのは偶然じゃねぇよな?」
「え? 見ての通り、私はちょっとした遊戯で稼いでる露店の……」
 レンを背負ったまま、ファンは斬るような視線で店主を見据える。
「普通の奴じゃ、あんな見事な手さばきは出来ねぇさ。あれは間違いなく達人級の手つきだ。そもそも、ちょっと腕のいい程度ならいくらなんでもレンがイカサマを見破れないわけねぇしな」
「いやいや、それは買いかぶりすぎアルよ」
「……決定的な証拠として、あんた一度だけ口が滑ってたぞ。レンをうっかり『お嬢ちゃん』と呼んでた……普通の露店の店主が、どう見ても男のカッコにしか見えないやつの正体を見ただけで見破れるのか?」
 あ、しまったとでも言いたげに慌てて口を塞ぐ店主。
「あんた何モンだ? もし俺たち……いや、レンに危害を加えるようなつもりなら、乗り気じゃないが容赦はしな……」
「いやいやいや、それは大丈夫アル……いや、大丈夫だってば!」
 一生懸命、否定するように手を振る店主。作り物のような陽気な声も、自然のままの声に戻したせいか途中からやや低い中年の声へと変わる。
「危害を加えるなんてとんでもない。なぜなら私はいつだってレンを影から見守る存在だからね。そう、ある時は露店の店主、またあるときは町一番の道場の師範……しかしその正体は!」
 帽子とメガネを放り投げる元店主。その下からは、若干年季は入っているがまだまだ若者には劣らない鋭い眼光と短く切りそろえられた髪、そしてつけ髭の下からはぼさぼさの無精髭が現れた。
 その逞しそうな顔つきにどこか子供らしさを残した顔をファンはすぐに思い出し、一気に警戒心が薄れ……どころか呆れ顔になる。
「そう、その正体はレンの父、虎中(フーチュン)ここにあり! なのだよはっはっはっ」
「…………どうも、お久しぶりっす……」
 ファンは過去一度、町の武道大会の決勝でチュンと対戦している。そのときの勝利が縁でレンと今の関係に至るのだが、まさかレンの父親が露天商に化けてレンを見守っていたなどファンですら夢にも思わなかった。
(つーか……こんな人だったのかよおい……俺と戦ったときはもっと厳格で激しい気性の人だった気がするが)
 あまりの予想外の正体と、自分の記憶と現実との差に思わず丁寧語になってしまうファン。
「うん、それは君も子を持ってみれば分かるぞファン君。武道家としての顔だけでは子育ては出来ないんだよ」
「……人の心読まないでください」
 ため息をつきながら、とりあえずレンを背負いなおすファン。
(やれやれ、まさかこんな人だとは……大方レンが出かけると言った時に、気になって後をつけてきたのか……ってちょっと待てよオイ?)


「おっさ……じゃなかったチュン師範、あんたどこから見てたんすか、俺とレンのこと。というか知ってたんすね、俺とレンの関係」
「はは、これでも父親だからね。娘の変化を見れば色恋を知る年になったんだ、くらいは分かるよ。それでええと、君とレンが楽しく市を歩いているところからかな。あれだけ人ごみが多いと後をつけるのも楽だよね。
 あとは先回りして、あらかじめ用意しておいた変装をしてあたかも最初からいたかのように五福星の出し物露店を開いていただけだよ」
「なんでそこまで? 別にあんな店開かなくても尾行続ければよかったんじゃ?」
「ん、やっぱり間近で君とレンの関係を確かめてみたかったし、それに」
「それに?」
「私の仕掛けた遊戯のおかげで、レンとあんなことできるきっかけが出来たじゃないか」

 ふぁんは せきか してしまった!

「いやぁ、若いっていいねぇ。それでもレンを気遣って優しくしてくれたから私も見ていて安心したよ。
 君相手じゃ気配を消してこっそり覗けるか心配だったけど、あの子にぞっこんになるとやっぱり周囲への警戒心は君といえど薄れるみたいだね。あ、私以外には覗いてはいないから安心してくれ。
 いやいや、怒ってなどいないよ。むしろ私としてはレンには女の子としての幸せを掴んでほしいからね。男として拳の道に生きるとあの子が言ったときはどうしたものかと思っていたが、君のおかげでレンもあんなに女の子らしい表情をするようになってくれて感謝してるよ。
 レンを泣かせるようなことさえしなければ多少の無茶は許すから心配しなくてもいいよ」

 ふぁんは まだ せきかしている!

「……ありゃ、驚かせすぎてしまったかな……まあともかく、私は君たちの仲は認めているからそれだけは覚えておいてくれ。今回みたいなこともあまりしないようにするから……たぶん。
 じゃあ、レンは目を覚まさないうちに私が背負って帰ったほうがいいかもしれないね。……よいしょっと」
 すやすやと寝息を立てたままのレンをファンの背中から離すと、その大きな背中に背負うチュン。それだけ見れば、立派な父親の姿なのだが……。
「それじゃあ、今日はレンの面倒を見てくれてありがとう。これからもレンをよろしくお願いするよ」
 
 道場で厳しく指導する師範の顔とはうって変わっての優しい笑顔をファンに向け、チュンは立ち去った。
 今背負われているのが父親の背中とは知らず眠ったままのレンが満足そうな寝息を立てていた。

 ふぁんの せきかが とけた!
 あたりは すっかり くらくなっていた!

「……はぁ…………」
 これから大変なことになりそうだ…………とめんどくさそうに大きなため息を吐くと、ファンは購入した荷物を持って山へと戻っていくのであった。



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