地元の高校を無事に卒業して、都会の短大に進学した。地元から短大まで電車で通うとなると、お金を大量消費することになるから、一人暮らしをしようと決意した十八の春。本当に大丈夫と心配する親と、あっけらかんとして笑顔でいってらっしゃいを言った妹を地元に残し、あたしは大丈夫だよと言って笑顔で家を出てきた。短大に程近いマンションを親名義で借りて、近場のコンビニでバイトを始めた。何もかもが初めてで、周りのものが新鮮で、いつになく目が覚めていたのはそのせいなのかもしれない。
そして今日は短大に入学してから、初めての授業だった。あたしは授業開始より大分前に着いてしまって、一人で後ろの方の席に座っていた。
「―――なあ」
「はい?」
「名前は?」
これからどうしようと悶々と考えていたあたしは、いきなり声をかけられて酷く驚いた。返事の声が裏返った気がしたけど、気付かれたかな?声をかけてきたのは髪を茶色に染めた、あたしと同じ歳くらいの男の人だった。右耳にピアスをして、今時流行りのファッションをしている。これはデジャヴだ。クラスにいた男子を思わせる。ただ違ったのは、顔がそこいらにいる男子と違ってとてもかっこよかったこと。
「聞いてる?俺、名前聞いてんだけど」
「…、です」
「お、マジかよ。俺は。宜しくな」
「はあ、まあ…」
あたしの名前のどこがマジかよだったのか分からなかったけど、にっこり笑った君はそのまま自然にあたしの隣に座った。
「………」
「ん?何」
「や、別に…」
不思議な、人。それが第一印象だった。
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