あたしたちはたまに喧嘩をする。今日の朝も喧嘩したばっかり。
ーあんた本当に喧嘩好きだね」
「別に好きじゃないよ!何か…すぐ口に出ちゃうのっ」
「いやいや、あんたの場合手が出るんでしょ」
「うっ…で、でも…あっちも悪いし!あたしだけの問題じゃないし!」
 毎朝、あたしはを迎えにいつも彼の家に行くの。だけど今日の朝は珍しく寝坊しちゃって、少し家に行くのが遅れてしまった。「ごめん、寝坊した!」と素直に謝ったのに、は嫌味っぽく「のせいで遅刻確実だよなあ」とかほざいた。それが何だか妙にイラついて、気付いたら手が出てた。が頬を押さえながら、びっくりしてこちらを見てたのを覚えてる。そしたらもイラっと来たらしくて、今度はの平手が飛んできた。彼女を殴る彼氏なんて、どんだけドメスティック・バイオレンスなんだ、と突っ込みを入れたくなる。
 その後はご想像にお任せします。とりあえずあたし達は殴り合えるというちょっと変わった人達なんです。そして思っていたけど、本当に学校に遅刻してしまいましたとさ。
「懲りないねえ」
ーあたしが謝るべきなのかなあ…」
「謝った方が早く元に戻れるだけだと思うよー」
「…だよね。から謝るなんてまずないしね」
「それは言えてる」
 は見た目ばっか大人になって、心はまだまだ子供のまま。「ごめん」の一言すら言えない奴だから、あたしが謝るしかないんです。そんなことは始めから分かってることだったけど、やっぱり彼女からしてみれば、彼氏から謝ってもらいたいもの。だけど早く笑い合いたいから、あたしから謝ることにするよ。ね、。あたしお母さんみたいだね。
「じゃー謝ってこようっと」
「行ってらー」
「気の抜けた言い方だね、もう」

 隣のクラスにいるはずのお子ちゃまの元へ。あたしがのクラスに顔を出すと、は少しびっくりしたようだった。よっしゃ、謝っちゃえ。「、俺」と何かを言おうとしてたようだったけど、言葉を遮ってあたしは話し出す。
「ごめんね!朝あたしが寝坊したせいでまで遅刻させちゃって…。叩いたのも、ごめんね?あたしすぐ手出ちゃうからさー」
「…いいよ、全然」
「今日放課後一緒に帰ろうね!あたしが来るまでずっと待ってるから」
 言うだけ言ってあたしは自分の教室に帰っていった。その後のは知らないけど、絶対後悔してるんだろうな。「何で俺謝れなかったんだ」とか、言ってそうだ。
「ただいまー」
「おかえりー」
「勝ったよ」
「何に?」
に」
 に「アホか」と笑われた。今日はあたしの圧勝だったね。

 放課後、バツが悪そうにあたしの前に立った。振り絞って言った「ごめん」を、あたしは一生忘れられないと思う。あなたの赤く染まった頬が、全てを物語っていたような気がしたから。
 喧嘩するほど仲がいいっていうけどさ、喧嘩する時間があるなら、もっと一緒になれる時間を増やしたらいいと思うんだけど。どうかな、
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