、私の名前を呼ぶ声を、もっと、もっと近くで聞いてみたい。
 あなたに侵され始めて一か月は軽く経った。未だにあなたへの熱は消えません。頭の中どころか、あなたは私の心の中まで入ってくるのです。ねえ、くん?
!」
「あ、
「あんた今日日直でしょ!!」
「そんなの俺がやるわけねーだろ?」
 ぐっ、と行きづまる自分。確かに日直なんかやらなそうに見える。て言うか絶対にやらない、自信を持って言い切れる。
「あたし一人になっちゃうじゃない」
「別にいいだろ?お前だし」
 あはは、とは笑った。くっそー…。あたしはこういうの最後までやらないと気が済まない性格なのよ!!
「日直とか何かと力仕事多いし」
「お前の怪力なら何とかなるだろ」
「あたしはそんなにも怪力じゃない!!」
「そうか?」
 っだー!何でこんな奴好きになったの?というわけで、その日の日直の仕事は全てあたしがやる破目に。

 そして、放課後。
「おっ、。ちょうどいいところに来たなー」
「先生」
「これ、頼むわ」
「えっ!?」
 どさっ、と手の上に乗ったダンボール。先生が手を離すと、その重さが増して腰に響いた。
「――なっ、何が入ってるんーです、か!?」
「あー、今度使う音楽の教科書だよ。えーっと、五十冊は入ってるかな、こんな分厚いのが」
 そう言って先生は親指と人差し指を二センチくらいの幅にした。二センチ…って分厚っ!!
「おおお、女の子ですよ!」
「大丈夫大丈夫」
 そして教室に持って行けのこと。…階段、上がるの?
、頑張ってんなー」
君…」
 ぜーぜー、と息が荒い。やっと職員室から玄関へと辿り着いたが、その距離約四、五メートル…切ない。部活の途中だったのか、君の息は弾んでいた。君と一緒の部活。
「それもこれも…アイツが日直やらないから…」
か?」
 うん、と頷く。声を出すのもつらい。
「ま、頑張れ」
 それもまた切ない。手伝うとか思わないのか、と愚痴りながらまた重たいダンボールの箱を持ち上げる。これで体格がよくなったらどうしよう?

!」
「…ああ!?」
 部活の最中、を引き止める。部活の途中に声を掛けられることが嫌いなは、それはそれは不機嫌で。あれだ、動物園の檻の中にいる虎が、見物人を威嚇しているような感じ。
が一人頑張って重いダンボール運んでたけど?」
「……え?」
「あ――何だろうな。ハリポタ並の本でも入ってんじゃない?」
「マジ!!?」
 俺、部活今日やらねー、とか叫んで走って行くはその姿を見送ってあとで笑っていたらしい。

「はああああ――――――――…」
 一階と二階の踊り場で竦む。腕痛いし、ダンボールと体を支えている足も痛い。
「しんどい――」
「…だ…大丈夫、ですか?」
「え?」
 振り向いてみると、がバツの悪そうな顔をして立っていた。少し嬉しかったけど、来るならもっと早く来て欲しかった。
「…日直サボるからいけないんだ」
「……ごめんな、謝るから」
 そんな顔して言われちゃ、怒ろうと思ったのも怒れなくなる。何でこんなときに限って優しいのよ!!
「むーかーつーくー」
「だーから、ごめんって!」
「そうじゃなくってー」
 重いダンボールをいとも簡単に持ち上げてしまう。こんな細いのに…どこにそんな力があるのやら。
「じゃあ何だよ?」
「…………こー言う時急に優しくなるとかさ」
「あん?何だって?」
「教えてやんないっ!」
 卑怯すぎてむかつくから。
「何だよそれ!卑怯だぞ!!」
「…自分の方が卑怯のくせにっ!」
「あんだと!?」
 が好き、大好き。だけどもうちょっとだけ、この関係でいさせて。
←脳内感染
心内感染