03
ちゅんちゅんと可愛く鳴く小鳥の囀りと嘴で窓をつつく音。隣で急かすようにに鳴ってる目覚まし時計。一呼吸後に危機的状況に立たされていることに気付く。
「…ッ寝坊した!」
朝ご飯の食パンを急いで食べて紅茶を一気飲み。着るのに時間がかかる制服に着替えてス、洗面所へ駆け込む。顔を洗ってから歯を磨き、髪の毛を梳かしながら身嗜みを整える。全ての工程を終了してから一目散に自転車に乗って学校へ出発した。また遅刻なんて嫌だよ。
思い切り自転車を漕いだら余裕を持って登校することができた。
「くん、おはよう」
「さん、おはよ。自転車飛ばして来ましたって顔だな!」
大正解だ。私はアハハと苦笑いをする。本当は漕ぎ疲れていたけど、くんの笑顔を見たら疲れなんて吹っ飛んでしまった。
「そういや、さんは聞いた?選択教科の授業について」
「何それ?」
ああ、やっぱり知らないんだ。くんはそう言うと額を両手で覆った。
「いつもなら希望を取って決めるらしいんだけど…」
内緒話をするように声のトーンを低くしてくんは話し始めた。彼の話によると、今年は諸事情が重なって時間が取れない為、本来なら希望制の選択の授業を小学校の成績順に一年生を受け持った教師陣が適当に割り振ったと言うのだ。
「え!?何それ!」
「しーッ、声デカい!」
私の大声でクラス中の視線を買ってしまった。くんがあわあわと焦っている。
「あくまで噂だからな、本気にするなよ!かく言う俺も本気では信じちゃいないから」
「誰から聞いたの?」
「C組の奴から」
呆れたようにくんがそう言った瞬間に教室の扉が開いた。
「はーい、席に着いてね。朝のホームルームするよ」
ガタガタと椅子に座る音がする。担任の先生はクラスの皆が着席するのを待ってから話し始めた。
「えーと、席替えをしたい所なんだけど、面倒なので出席番号のこのままで行くことにしました。隣同士の子ととりあえず仲良くなっておこうね」
「えー!」
何で変えないんだ、ありえない、最悪、ケチと皆は罵声と共に騒ぎ立てたるが、私は少し嬉しかった。だって席を替えないって言う事は隣は前期の間ずっとくんだってことでしょう?毎日が楽しそうだ。隣のくんも一言も文句を言う素振りを見せていなかったんので、その事実も凄く嬉しかった。
「じゃあ次に、選択教科の希望調査するから隣同士席離してー」
「何だ!やっぱするんじゃん!!」
「うん?何がどうしたの?」
「いえ、こちらの話ですぜ、先生」
くんは冗談半分で軽く敬礼をすると私に向かって舌をちょっと出した。私は構わないよと微笑み返す。選択は国語、数学、理科、社会、英語の基本五科目。私は専らの文系で国語か社会で迷ったものの第一希望は国語に決めた。第二希望は社会とし、第三希望は英語とした。くんの希望が気になったけど、おそらくも国語だと思うのでこれで行くことにしよう。
「さん、何にした?」
紙を先生に提出して席に着いた時、くんが私に言った。
「国語だよ。私これしか自信なくて」
「国語かあ」
「くんは?」
「俺?数学」
しかもブイサインのおまけ付き。大体予想はついてたけど少しガッカリした。
「ったく」
「どうしたの?」
「嘘ついたC組の奴のこと。あー、もう、ムカつく!アイツのことだから絶対俺をからかったんだ!俺、簡単に信じちゃうし!」
正直そうに見えるくんのことだ、騙しやすいんだろう。
「その人ってよく人をからかったりするの?」
「アイツは人をからかって笑ってる奴だよ。仲良くなれば日常茶飯事だよ」
ふうとくんは溜息をついた。それでも嫌がってるようには思えなかったから、その人の人望は薄くはないんだろう。選択教科のクラスの割り振りは明日発表されるらしい。その日は面白おかしく早足で過ぎていった。
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