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■ ジョジョ(仗億)2016. 5. 7

突発小話放り投げー。
エロが書きたい今日この頃。

***

 億泰は東方家によく遊びに来るようになっていた。しかし泊まることはごくまれで、泊まっていけばいいじゃないのと朋子が言っても、オヤジがいるからと大半は自宅に帰っていた。
 しかし今日の億泰はどうやら泊まる気だったらしく、オヤジの飯の準備はしてきたからよぉと言う。その手にあす提出らしい宿題を持って。
 仗助は苦笑いを浮かべながら、オレも役に立つかわかんねーぞと言いつつ部屋に招き入れた。

 終わったのは深夜も近かった。朋子は既に眠ってしまっている。あっているかどうかは分からないまでも、すべての空欄が埋められたプリントを手に、億泰はぐったりとテーブルにうつ伏せになる。
「おい、もう寝るぜ」
 夜ふかしはするものの、勉強をしての夜ふかしなんて初めてで眠さマックスの仗助は、さっさと自分のベッドに潜り込む。
「うう、頭いてぇ……」
 ベッドの横の布団、億泰が倒れ込んだことを確認した仗助は、スタンドの手を伸ばして部屋の明りを消した。




「……?」
 どれくらい時間が経っただろうか、ベッドに入ってまもなく眠っていた仗助は、なにかに気をひかれ瞳を開く。
 時間はわからない、けれど夜はまだ明けていないのだろう。カーテンの隙間から朝日はまだささない。
「う……」
 仗助ははっとして身を起こす。それは音、いや声だった。咄嗟に立ち上がり電灯をつけた仗助は、かたわらの億泰に視線をやる。
「おい、億泰!」
 身を乗り出し腕を伸ばし、仗助は億泰の肩を揺さぶる。
 開かれた瞳はうつろで、覇気がない。何度か瞬いた瞳は、ようやく目の前にいる人物を捉えたのだろう、かすかな光をその奥に灯す。
「じょ……すけ?」
「……お前、うなされてたぜ。大丈夫か、億泰」
「う……ああ、わりい、起こしたか?」
 仗助同様に身を起こした億泰は、脳内の何かを振り払うよう、頭を左右に揺らして額に手を当てる。しっとりと濡れている肌は、きっと冷や汗に違いない。
「気にすんな……初めてってわけじゃぁ、ないのか」
「……まあな」
 億泰はそれ以上何も言わないし、仗助もそれ以上踏み込まなかった。


「お前今から寝れんのかよ」
「ん、また同じ夢見ちまいそうだからよぉ、もう起きとく……つーか、帰るな。お前も眠れねぇだろ、オレがいると」
 いって立ち上がろうとする億泰の、手を仗助が掴む。
「帰らせるかよ、そっちが心配で眠れねぇし。傍にいたほうが安心できるぜ」
 眠れなくても横になっとくだけでも違うだろ、そういっても億泰は困った顔するだけだ。迷惑をかけられない、その顔は物語っている。

「……わかった、帰るって言うならよぉ」
「!」
 掴んだままの手を引っ張ると、億泰は仗助のベッドに倒れ込む。そして億泰が体勢を立て直す前に、仗助は彼の身体を引きずり込む。
「俺から逃げられたらよぉ、帰ってもいいぜ?」
 背後からぎゅっと抱きしめた格好で、仗助は億泰の耳に囁く。
「おい、じょうすけ」
「抱き枕ってやつか? ちょっとかてぇけどよぉ、暖かくていいんじゃねぇの?」
 いってあくびをした仗助は、本当にこのまま寝るつもりだ。どうしようかと思った億泰は、仗助の手の拘束が柔いこと、そしてすでに彼が寝息を立て出したことを知って、動かないほうがいいだろうと思う。
 それに、お互い普段の制服ではない薄着だから、互いの体温が布越しに感じられて思いのほか心地よかったから。

 もう今日は眠れないだろうなと思っていた億泰は、しばらくすると彼自身を気づかぬ間に寝息を立てていた。