妄想ShortStory

えいじーさん作 妄想SS第6弾! (最終更新 04/12/23)

"MANTIS" 第6話
文:えいじー


――自身を含むあらゆるものを犠牲に、より高い「利」を追求する事。
  富を得る為の秘訣とは、結局はその繰り返しであるらしい。


アルデバラン特別アジト、PM1:20。
普段は静寂が包むエントランスホールに、午睡を妨げる騒音が響く。
不機嫌そうな表情で個室から出て来たウィザードは、ホールの様子を見て唖然となった。

「ちょっと、マー子……何よそれは?」

ホールの中央に配置された金属製の土台。
数体のホムンクルスがその上に何か巨大な物体を取り付けようとしている。
物体は大きな布で覆われており、ウィザードにはそれが何であるか識別も推測もできない。

「あ、ごめん。うるさかった?」

ホールの隅で工事の様子を見ていた商人は、ウィザードの声に気付き2階を見上げる。

「まあ、いい加減起きようと思ってたから別にいいんだけどさ。で、何それ?」
「この間の人達、多分次の日曜にまた来ると思うから…その対策を、ね」
「いや、だから中身は何なのよ」

ウィザードの問いに商人は答えず、にんまりと笑うだけである。
その様子に焦れたのか、階段を駆け下りて土台の側から物体を覗き込むウィザード。

「はぁ!?」

布の中身が見えた瞬間、彼女は驚嘆の声を上げて商人に詰め寄った。

「……あのさ。これ、いくらで買ったのよ」
「土台も合わせると20Mくらいかな?相場はもう少し安いけど、安いのを探してる時間もないし」
「にじゅ…って、あんたねぇ……こんなの買わなくたって、前みたくアサ子に任せればいいじゃない」
「クロス一人にコテンパンにされた相手が、また同じ戦力で攻めてくると思う?」
「その時はあたしのメテオストームで一掃してあげるわっ!」
「んー、屋外ならそれでもいいんだけどねぇ。アジト内でウィズっちが暴れると修繕費が凄そうでさ」

商人の言葉にそれ以上言い返せず、ウィザードはむぅ、と腕組みする。

「まぁ、お金は使う時に使わないとね。それじゃ、わたしはちょっと出かけるよー」
「ん、行ってらっしゃい。このホム、作業が終わったら一体借りるわね」
「あはは、えっちはともかく、ケミさんに許可得ないで殺したら駄目だよ?」

笑いながら、商人はカートを引いて出口の奥へと消えた。



「誰もがかぶってる、話題のアニバーサリーハット!期間限定、早く買わないと消えちゃうよ!」
「靴下リボン包装紙、今が旬のプレ箱セット!そこの騎士さん、彼女への贈り物にどうだい?」

石畳を埋める雑踏と喧騒、そして商いの声で賑わうプロンテラ中央通。
その隙間を潜り抜けながら、雑多に並ぶ商品や人々の活き活きとした表情を眺めるのが
商人の楽しみであり、日課だった。

全ての露店を一通りまわり、消耗品や掘り出し物を仕入れてアジトへ戻る。
――そんな普段の日課に、「別の日課」が加わる事も時々あった。


中央通から裏道を抜け、段々と喧騒から離れていく彼女。
陽の活気が薄れていくにつれて、次第に陰の活気が姿を見せ始める。

その活気の焦点、街外れの古ぼけた旅館風の建物。
そこが「別の日課」の舞台である。


「いらっしゃいませ――あ、支配人。お疲れ様です」

木製のカウンターで帳簿を開いていた男は、入口をくぐった商人に気付くと背筋を正して丁重に迎える。
帳簿には数名の男性客の名前と入場時間、そして応対している女性の名前と部屋番号が記載されている。

表向きは個人接待式の酒場兼休憩所となっている建物。
しかしその実体は彼女が管轄する娼館のひとつである。
彼女が持つ人脈と莫大な資産により、プロンテラやモロクに水面下で展開された数多の娼館。
それらを定期的に視察するのが彼女の「別の日課」であった。

「もー、いつも言ってるでしょ、そんなにかしこまらないでって」
「いやぁ、やっぱり支配人は支配人ですから。タメ口で話せってのが無理な話っすよ」
「んー…まあいいや。女の子達の調子はどう?頑張ってる?」
「ええ。今日はやけに客が多くて、どの娘も休む間もなく頑張ってますよ」
「うんうん。後で差し入れ買ってこなくちゃね」

満足そうに笑い、商人は建物の中を見渡す。

左右の通路にはいくつかの扉が並び、左の通路に並ぶ扉には「花」と書かれた青色の明かりが、
右の通路に並ぶ扉には「春」と書かれた赤色の明かりが取り付けられている。
そのうち「花」の明かりは全て灯り、「春」の明かりは一つだけ灯っていた。

「…あれ?」

右の通路の奥に一つだけ灯った「春」の明かりを見て、商人は首を傾げる。

「ねぇ、何で昼間のシフトなのに春が使用中になってるの?」

「花」は挿入行為を伴わないサービスを、「春」は挿入行為及び膣内射精まで許されたサービスを示す。
政府の査問捜査や従業員の勤務体系を考慮し、夜中以外は「春」のサービスは行われていなかった。

「ああ、あの部屋でお客さんが一人待ってるんですよ。
 空いてる女の子がいないと説明したら、あの部屋で待ってると言い出しまして……」
「フロントで待ってもらうように言わなかったの?」
「言ったんですが、部屋で待つと言って聞かないんですよ。フロントで待ちたくないらしくて」

商人につられるように男も首を傾げる。
客の多い時は順番待ちになる事もあったが、わざわざ未使用の部屋で待つという話は聞いたことがない。

――その客をそのまま待たせておくのは好ましくない。
何となく、彼女はそう感じた。


「よっし、久しぶりにわたしがお相手しようかな」
「えぇ!?…支配人が、ですか?」
「なによー。わたしじゃお客が満足しないって言いたいの?」
「いえいえいえ、めっそうもないです…が、何も支配人自らサービスしなくても……」
「ふふ、これでも昔は売春宿にその姫あり!とまで言わせたんだからっ」

言いながらテキパキと荷物をまとめ、髪型や衣装を整える為に化粧室へ向かう商人。

そんな彼女を苦笑いで見送りながら、男は帳簿の最下段、
唯一空欄になっていた応対女性名の欄に「姫様」と記入した。





およそ二十分後、彼女は商人の雰囲気を崩さない程度に整えられた衣装と化粧で現れた。

「お、いい感じっすねぇ」
「へへ、そうでしょ?それじゃ行ってくるねー」
「お客さんにはもうすぐ来ると伝えてありますんで。頑張ってください!」

男に笑顔で応え、商人は通路の一番奥で唯一明かりの灯っている「春」の部屋に向かう。


「大変お待たせいたしまし――」

ノックの後、部屋に入りながら笑顔で言った言葉。
その言葉が、止まる。


「……へぇ」

部屋の中で煙草をふかしていた男は、商人の顔を見てにやつく。
男は彼女の顔を知っていた。
彼女も、男の顔を知っていた。

「MANTISの財政を担う商人様が、こんなところで売春業とはね」
「アジトを襲撃した相手が、こんなところに入り浸ってるなんてね」

商売人の笑顔が消えた険しい表情のまま、彼女はローグの男を睨みつける。

「まあ、そう怖い顔すんなよ。可愛い顔が台無しだぜ?」
「……襲撃した相手を前にして、良くそんな風に言えるわね?」

表情を変えない彼女に対し、ローグは煙草を揉み消して肩をすくめる。

「おいおい、今はそんな話どうだっていいだろ。ここは娼館なんだろ?
 せっかく此処の噂を聞いてやって来たんだ、楽しませてくれよ」

そう言いながら上着を脱ぎ、ベッドに腰掛けるローグ。
憎らしさに拳の力を強める商人だが、ここで仕事を拒絶するのはプロの精神に反する。
第一フロントの男に啖呵を切った以上、何もせず引き上げるのは彼女のプライドが許さなかった。


覚悟を決め、商人はローグの座るベッドに歩み寄る。

「……お客様が選択なさったサービスは「花」ですので――」
「あーわかってるわかってる、本番はなしだろ?フロントの兄ちゃんに聞いたよ」

言いながらローグはくいくいと指で商人を招く。
その様子に一瞬顔を険しくする彼女だったが、すぐに表情を戻しローグの前に跪いた。

「……失礼します」

黙々とローグのベルトを外し衣服を取り去っていく彼女。
ズボンや下着を脱がされ全裸になったローグは、ベッドの上に上がり商人を招き寄せる。

「それじゃ頼むぜ、お嬢さん」

ローグの言葉に彼女は頷き、無言でベッドに上がる。
目の前で股を広げ不敵に急所を晒しているのは、
彼女の憎むべき敵であると同時に、金銭を払いそれに見合ったサービスを求める客である。
その客に満足してもらう為、彼女は男への憎しみを振り払い奉仕を始めた。

「…ぁむ……」

ローグの前に四つん這いになり、半分ほど勃起した男根を一息に頬張る。
そして完全に勃たせる為、まずは全体的に優しく刺激し始める。

「っ……」

彼女の口の中でローグのモノがむくむくと膨らみ、性交を行うのに充分な硬さを帯びる。
しかしこの部屋で男根が膣内に収められる事はない。
その代償として、彼女は自らの口を膣内に見立て男根を満足させようと努める。

「む…んぅ……ちゅ……はむ…」

より硬い勃起を促すように指でくにくにと根元を刺激しながら、
舌で先端から溢れる粘液を舐め取り、そのまま亀頭全体を口内に含む。
そして愛撫に反応し男根がさらに硬くなったのを感じ取ると、
一度根元まで完全に咥え、強く吸出しながら先端までゆっくりと引き上げる。

「…く……さすがに、巧いもんだな……」

憎むべき敵とは言え、自分の技巧が褒められれば悪い気はしない。
調子を良くした彼女は、根元から亀頭まで数回往復させた後に唇を離し、
顔を傾けて竿の側面に口付けながら下に降りていく。

「…む……んぐ……」

根元の袋まで到達した彼女は、優しくそれを頬張りながら右手で亀頭を擦るように愛撫する。
そしてローグがびくりと反応した所で指を止め、そこを集中的に責める。

「っ、くぅ……っ」

奉仕に慣れていない男であればその時点で達してしまう所だろう。
しかしローグは軽く呻いただけでそれ以上の反応は見せない。


難攻の相手を堕とす為、彼女は再び唾液にまみれた陰茎を口一杯に頬張り、前後させる。
そこまでは何もせず彼女に任せていたローグだったが、
思いついたように上体を起こすと、自分の股間にうずくまる彼女の胸に手を這わせた。

「ぅむ……っ!」
「おいおい、止めないでくれよ。そのまま続けてくれ」

彼女の頭を軽く押さえて奉仕を促しつつ、胸に当てた手に力を加えるローグ。
服越しに描かれていた綺麗なラインはあっさりと歪み、彼女は肉棒越しにくぐもった声をあげる。

「俺だけ裸で嬢ちゃんが服を着たままってのは不公平だしな。ちょっと見せてもらうか」

そう言いながら彼女の上着をたくし上げ、下着の留め金を器用に外す。
露わになった胸は彼女の頭やローグ自身の股間の陰となって見えなかったが、
ローグは掌で覆うように直に触れ、表面や突起の感触を確かめる事でその存在を楽しんだ。

「ふっ、うぅ、んぅ……」

胸を揉みしだかれるたびに短く吐息を漏らしながら、彼女は赤らめた頬に肉棒を含み続ける。
彼女の抵抗がない事を幸いとしたローグは、更に上体を乗り出して彼女のスカートを捲り上げた。

「ん…んっ……」
「いいから、気にしないでしゃぶってろって」

自分の肉棒を咥え上下する彼女の頭を撫でつつ、ローグは露わになった彼女の下着を擦り上げる。

「んんっ!」

肉棒越しに悲鳴をあげる彼女の頭を押さえ、下着越しに彼女の秘所を何度もなぞる。
やがて下着がうっすらと湿り出したのを確認すると、ローグは指を下着の中へと侵入させた。

「む、うぅっ!…んっ、んむ……っ!」

始めは秘所へ指を2本挿し込み、愛液に溢れた膣内を何度も掻き回した後引き抜く。
そして絡みついた愛液を潤滑油にして、中指でアナルを丹念に刺激しながらゆっくりと挿し込んでいく。

「んっ……んーっ!」
「へへ、止めるんじゃねぇぞ……?」

後ろの穴を責められる苦痛や屈辱、そして快楽に身をよじらせながらも、健気に舌を動かし続ける彼女。
彼女の口内には肉棒から滲み出た苦味が少しずつ溜まり、ローグの絶頂が近い事を知らせていた。

「――っく、出すぞ!」

短く呻き、ローグはアナルを責めていた指を引き抜く。
そして両手で彼女の頭を押さえ、大きく上下に動かし始める。

「っ、んぅっ、ふむぅっ!」

喉奥に肉棒を挿し込まれ苦悶の表情を浮かべながらも、
彼女はローグの手に合わせて頭を上下させ、往復のたびに雁首を唇で弾く。

その刺激を与えるたびに肉棒は熱く張り詰めていき――そして、弾けた。


「く――ぅ!」

呻きながらローグは彼女の頭を限界まで沈め、喉奥まで納めた肉棒を暴発させる。

「――っ!んっ、んぐ――ぅ!」

舌で防ぐ間もなく、彼女の喉奥に撒き散らされる青臭い粘液。
脈打つ肉棒に塞がれ吐き出せぬまま、彼女は口内に溜まっていく精液をほとんど飲み込まされた。





「…けほっ、けほ……っ」
「巧いもんだな。気持ち良かったぜ」
「……ぁ、有難うございま――」

憎悪の表情のまま礼を述べようとする彼女の身体を、ローグは不意に反転させて押し倒す。
仰向けに倒された彼女は、はだけた胸や下着のずり下がった秘所をローグの視界に晒す恰好となった。

「きゃっ!……な、何?」
「まだ時間は残ってるだろ?今度は俺がお前を悦ばせてやるよ」
「……。」

挿入さえされなければ、客の愛撫を彼女が断れる理由はない。
商人は何も言わず、顔を背け目を閉じた。

それを許可の合図と認めたローグは、彼女の下着を完全に取り去った後に大きく股を開かせ、
内股に付着した愛液を舐め取るように秘所に吸い付いた。

「――ぅ!」

不意に膣内にざらりとした感触が走り、あがりそうになった悲鳴を飲み込む彼女。
その反応ににやつきながら、ローグは両親指で開いた膣口の間に舌を挿し込ませる。

「ぁ、ぅ……っ、ぅ――!」
「へへ…気持ちいいなら我慢しないで喘いだ方がいいぜ?」

ローグの忠告を無視し快楽に抗い続ける彼女だったが、
その想像以上の舌の動きに、娼婦としての仕事を忘れ没頭しかける。
少なくとも、目の前の相手に対する敵としての感情は既に霞んでいた。

陰核を細かく何度も弾かれ、膣口の裏をめくるようになぞられ、滴る愛液を全て舐め取られるうちに。


「いやらしい割れ目だな……たまんねぇ」

それまでとは違う、低く通る声が彼女の耳に響いた。


「え――」

その声と、太ももを抱えられる感触。
異変を感じ目を開けた彼女が見たのは、反り立った肉棒を握り膣口にあてがおうとするローグの姿だった。

「――っ!?」

咄嗟にローグの意図を理解し、ローグを振りほどこうともがく彼女。

「ちっ、暴れんじゃねぇっ」
「嫌ぁっ!言ったでしょ、挿れるのは駄目っ……!」

太ももを掴んでいたローグの片手を振りほどき、身体を反転させて逃れようとする彼女。
しかしすぐにその腰を背後から押さえ込まれる。

「やめてっ…誰か、助けてぇ……っ!!」

必死に叫ぶ彼女だったが、その声は外には届かない。
「花」のサービス中に強引に挿入しようとする男が稀にいる為、
「花」の部屋は異変や悲鳴が室外から察知できるよう、仕切りが薄く作られている。
しかし初めから挿入が前提となっている「春」の部屋は、
行為に集中できるように室外からの音声は遮断され、室内の音も室外からは聞こえない。

ローグから逃れ自力で部屋を出ようと、腰を掴まれながら必死でベッドを這いつくばる彼女。
その身体を自分の元に引き寄せ、性器を挿し込もうと試みるローグ。
二人の均衡がしばらく続くが、彼女に勝ちの目は、逃れる術はない。


――やがて、肉棒の先端が膣口に合わさる。
その感触に絶望する間もなく、彼女はローグに最奥まで貫かれた。

「ぃ…やぁぁあ――っ!!」

防音の壁に覆われた室内に、彼女の絶叫が響く。

「っく、締まるな……売女とは思えねぇ」

根元まで納め膣内の具合を確かめたローグは、彼女の腰をしっかりと掴んだまま
2度、3度激しく腰を叩きつけた。
パンパンと乾いた音が響くたび、ローグは快楽と支配感に、商人は苦痛と屈服感に包まれていく。

「やっ、あぁっ!…駄目、抜いて……っ!!」
「言っただろ、悦ばせてやるって、よ!」
「っはぁぅっ!」

もう一度強く腰を叩きつけた後、ローグはリズミカルに腰を揺すり始める。
膣口や最奥を的確に刺激され彼女の背筋に甘い痺れが走るが、
犯された嫌悪感と喪失感が痺れを掻き消し、彼女が快楽に墜ちていくのを許さない。

「…はっ、はぁっ……へへ、いいぜぇ…あんたの中、たまんねぇぜ……」

使い込まれていない性器の肉厚か、それとも挿入を拒む彼女の意思か。
彼女の膣内はローグが挿し込むたびに強い抵抗を見せ、
最奥に到達した先端も柔らかな弾力に跳ね返されそうになる。

その抵抗を無理やり崩し、彼女の意思を瓦解させる事で、ローグはさらなる快楽を貪っていく。


「…やぁ、嫌ぁ……っ、だめ…だめぇ……」

うわ言のように抵抗の言葉を繰り返していた彼女は、
数刻前からローグが何も言わず黙々と腰を動かしている事に気付いた。

そして、その腰の動きが段々と速くなっている事にも。

「――っ!!」

「その時」が近づいている事を察し、激しく暴れ出す彼女。
しかしローグに腰をしっかりと掴まれ、上半身をじたばたと動かす事しか叶わない。

「駄目……っ!!お願い、それだけは、中だけは嫌……ぁっ!!」

彼女の必死の懇願も無視し、ローグは何も言わず腰の動きを速めていく。

「っ!?やっ、やだぁ、わたし、今日は、だめ……っうぅ!!」

ローグから逃れる事が不可能であると察した彼女は、
シーツにしがみつきながら制止の言葉を叫び続ける事しかできない。
その言葉がローグに届き、彼の僅かな良心に響く事を願う事しかできない。


――だが、その願いは打ち砕かれた。

「――く、ぅ!」

呻き声と共にローグは仰け反り、最後の一突きを彼女の最奥まで叩き込む。
その瞬間、2度目とは思えない勢いの白濁が彼女の膣内に注ぎ込まれた。

「――っあ!…や、あぁ、あぁぁ……っ!!」

最奥を肉棒が打ち付ける感覚と、そのさらに奥に粘り気のあるものが侵入する感覚。
断続的に襲うその感覚に、彼女はシーツを強く握り締めて絶叫する。

膣内は肉棒に隙間なく栓をされ、逆流した精液が溢れ出るのを許さない。
彼女の無防備な子宮内に、ローグの精子が大量に送り込まれていく。

「…は…ぁ……ぅ」

挿入と膣内射精を強要された屈辱、そして望まぬ受精への絶望。
ローグの射精が終わった後、彼女はシーツを握る力を無くし放心したままでいた。





「最高だったぜ。生で中出しさせてくれるとは噂以上だな」

商人から引き抜き上着を羽織ったローグは、煙草をふかしながら満足そうな顔でつぶやく。
対する彼女は服がはだけ秘所から精液を溢れ出させた状態のまま、いまだ動く事ができない。

「…どうして……」
「ん?」
「どうしてこんな事……わたしやカマキリが、何をしたって言うの……?」
「ふん」

涙を浮かべ声を掠れさせる彼女を一瞥し、ローグは面倒くさそうに煙草の灰を落とす。

「城のお偉いさんの中には、あんた等の事が気に食わない奴もいるってこった」

ローグの声に彼女は反応を見せない。
放心した彼女に構う事もなく、ローグは煙草の火を消して服を着直す。

「次の日曜にまたアジトに行くぜ。捕虜にしたらまた挿れてやるから楽しみにしておきな」

そう言い残し、ローグは部屋を後にした。



「あ、支配人。お疲れ様です」

ローグが部屋を出てから十数分後、彼女も服を正しカウンターへと戻った。

「あのお客さん、凄い余分に支払っていったんですよ。「春」の料金と同じ位まで」
「ぁー……そう。まあ、それだけわたしのテクニックに満足したって事かな?」
「なるほど、感服いたしました」

明るく振舞う彼女に対し、男は大げさに頭を下げる。

「それじゃ、ちょっと急用ができたからそろそろ行くね」
「あ、はい。お疲れ様でした」

室内での出来事は伝えず、商人は建物を出る最後まで笑顔を通し続けた。


「……。」

外に出た彼女の笑顔が歪み、機械のような無表情に変わる。
その頭の中では、今起こった出来事の客観的な分析が始まっていた。

「花」のサービス中に「春」のサービスを強要された事は、
ローグが支払ったチップによってほぼ同等に補填される。
残るのは妊娠する可能性と妊娠した場合の中絶費用を掛け合わせた期待損失だが、
彼が漏らした情報はその損失を補って余りある価値を持っている。


「黒幕の情報、次回襲撃の予告……これを喋った代償、絶対払ってもらうからね」

自身の悲痛な心境を度外視した採算を終え、次の行動の為に前を見据える彼女。
瞳の涙は、既に乾いていた。

back