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被食

  • 2018/08/15
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エリウッドたんがえむっぽいかな~と思ったけど通常運転だった!!

 


節くれだった硬い指が収縮する肉をかきまわし、ひときわ弱い一点を擦りたてる。
気が狂いそうになるくらいの快楽に、エリウッドは身悶えせずにはいられなかった。

「こら、動くなよ」
「ひあぁ、っう、ッ、んぁぁっ!」

愉快そうに唇の端を上げたヘクトルは、エリウッドの腰をしっかりと固定しながら、容赦なく指を動かした。熱くて熱くてたまらない箇所から、ぢゅぷぢゅぷっ、ぐちゅん、ぎちゅっ、とはしたない水音が響く。聴覚までも犯されているようだった。潤んだ肉孔には、解すために使われた香油だけではなく、内腿に伝ったエリウッド自身の露までいたずらに塗り込められて、いやらしいほどにぐちゃぐちゃだった。
気持ちよさのあまり、どこもかしこもびくびくと痙攣する。快楽にどっぷり浸かった身体には、絶頂の境目が曖昧だった。気持ちがよすぎて力が抜けない。開きっぱなしの口の端から涎が伝うのも、いたいけに震える先端からとぷとぷ蜜が溢れるのも止まらない。きっとまた達してしまっている。
あまりの快楽に泣きじゃくるエリウッドとは裏腹に、エリウッドの内部は素直なものだった。侵入者への抵抗などはなから持ち合わせておらず、圧倒的な官能をもたらしてくれる指を、淫らに歓迎している。皮膚の分厚い指を心ゆくまで味わうように、粘膜は隙間なくぴったりと、強く甘く絡み付いた。鋭敏な部分を刺激されれば、あさましい柔肉はもっと欲しがってぎゅうぎゅうとうねる。それはたくましい男根から精を搾り取ろうとするときの蠢きそのものだった。交わうときにいつもその収縮を受けている当の本人は、すぐに肉の動きの意図に気付き、くつくつ笑ってたわむれに中をかき回した。

「ふ、ぁ、ああ、ッは…んんっ!」
「はは、すげえねだってんぜ。おまえってほんっと、美味そうにくわえるよなぁ……」

揶揄半分感心半分といった声音だった。羞恥を煽る物言いすらも悦んでしまう肉孔が、ぎゅうぎゅうと指を締め付ける。

「ったく、食いちぎる気か?これじゃろくに抜き差しも出来ねえよ、もっと緩めろって」
「ひ、ぁ…だ、って、きみ…が…っ!や、ぁ、む、り…だ…ッ、ぁうぅっ!」

エリウッドの敏感なところを的確になぶり続けているくせに、もっともらしくそんなことを言うのだ。ふわりと撫でられただけで泣きたくなるほど腰が砕けてしまう一番敏感なところを、さっきからずうっと絶え間なく、ぐりゅぐりゅと捏ねられ擦られ押し潰されている。責められているのはその一点だけなのに、雷に打たれたように全身がびくびくと痙攣し、目の前がちかちかと明滅する。頭も顔も腹も背中も足も全てが熱い。天井知らずに跳ねあがっていく快楽に、孔も肉壁もくわえこむ指を強く締め付けた。エリウッドは弱々しく首を振る。こんな風に責められて、こんな状態で、力を緩めることなどできるはずもないのに。




「できるだろ?なあ、エリウッド」

声音はどこまでも優しく、なのに有無を言わせない問いに、ぞくんっとした痺れが腰に走る。
喉元に牙を立てるその寸前まで獲物をいたぶる、獣のような貌をした男に、ひどくされる快感を骨の髄まで覚え込まされている。



「ふっ、んっ、うぅー…っ!」

ヘクトルの言葉に従って、ぎっちりとくわえこむ胎内へ必死に弛緩を命じる。従順になったエリウッドを、ヘクトルは熱の籠った目で見つめた。その姿がいじらしく懸命であるからこそ、ここまで雄を扇るのだと、必死なエリウッドは知る由もない。

「……かわいいなあ、おまえは」

囁きを耳元に落とされると、どうしようもなく感じ入って仕方なかった。エリウッドは濡れた睫毛を震わせる。

「あ、あぁあ、…はぁ、ふ、っぅ、ふッ…」

いくら息を吐いて力を抜こうとしても、上手くいかない。ゆるやかな責めを続ける指をきゅんきゅんと食んでいるそこを、意識すればするほど逆に締め付けてしまう。このままでは埒があかない。快楽で震える指先を叱咤して、エリウッドはそろそろと後孔に手を伸ばした。ヘクトルの指をくわえこんでぷっくりと盛り上がっている肉を、自らの指でくぱぁ、と拡げる。内から緩めることが出来ないなら、外から開くしかない。快楽に浮かされた頭では、他に思い浮かぶ手立てがなかった。だが、これでヘクトルは幾分か指を動かしやすくなったはずだ。


「……ヘク、トル…ぅ…」

名を呼んで、眼前の男の顔を見上げる。
ヘクトルは目を見張り、こちらを凝視していた。
彼がなにか言葉を発する前に息を吸い込む音が、やたら大きく聞こえる。



「分かってて……やってんのかよ、それは」

くぐもって低いのに、空気を震わせて妙にはっきりと伝わってくる声だった。
それまでの揶揄するような口調から一転して、怒気に限りなく近い凄みを帯びている。

言われてはじめて、エリウッドは自分の格好を意識する。

自分の意思であられもなく股を開いて。
秘めるべき場所を自身の指で見せつけるように拡げて。

これは、雄を悦んで迎え入れる雌の姿勢に他ならない。



「ぁ、…僕…ぼく、は…」

ちがう、と弁明しようとして、何が違うと言うのだろう、と頭のどこかで思った。少しでも躊躇いや抵抗があれば、いくら快楽に理性が溶かされ切っていたとしても、自ら進んでこんな真似は出来ないはずだ。



予兆もなしに、ずりゅっ、といきなり指が引き抜かれ、急な刺激にエリウッドはがくりとのけ反る。恋しい人の指との逢瀬から引き離された肉が、未練がましくひくついた。


「おまえは、俺にどうされたい?言ってみろよ」

危険な光をたたえて、蒼い瞳が問う。



この獣に食われたがって、望んで身を差し出したのは己だ。
欲望にぎらつく瞳で自分だけを射すくめて欲しい、かけらも残さず食べ尽くして欲しいと、心の底から願ったからだ。

しずかに、けれど決して冷めない熱を孕んだまま、エリウッドはすがるように吐露する。


「君に…食べられたい。君の好きなように、僕を……ぜんぶ、食べて、ヘクトル……」


上等だ、と獣がわらった。

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