ホーム JRの環状線に乗って降駅に着いた時、 俺は視線の端に『知っている人物がいる』、と感じた。 辺りを見まわして線路を1本分挟んだ向こう側にいる奴の姿を見つけた時は あまりの唐突さに信じきれずに実際に見ているのに幻かと疑うほどだった。 「服部・・・だよな・・・」 グレーのニット帽に、緑と白のストライプ柄のマフラー。 足元には旅行用にいつも使っているスポーツバッグ。 ベンチに腰掛け、その手には最近話題になっている 新人女性ミステリー作家の小説と思われる赤茶色の背表紙の本を開いていた。 ホームに流れる発車のチャイムに俺は慌てて外に飛びすと 今一度、通過する電車越しにその姿を確認した。 奴は周りの喧騒に動じることなく読書に没頭している。 俺は携帯電話を取り出した。 着信履歴はない。 東京に来た際には必ず連絡をしてくる彼にしては珍しいことだ。 俺はいたずら心が疼き、奴から死角になる看板の裏側に隠れて電話をかけた。 『もしもし?』 「俺だけど」 『なんや、珍しいなァ。工藤の方から電話かけてくるなんて』 「ちょっとな・・・」 俺は物影から奴の様子を伺いながら笑いを噛み殺していた。 『今オレ東京に来ててなァ。そんで毛利のオッサンとこ電話したら 誰もおらんかったから、もう帰ろう思とったとこやで』 「お前なぁ、そのアポなし訪問はやめろよ。こっちにも都合があんだからよ」 『ははは、そやかてオレも自分の用事が何時に終わるかわからへんかって 事前に予約できひんことが多いからなァ』 「だからってよ」 『ま、都合が良かったら付き合うてもらえればええんやから』 そんな、奴の性格に苦笑しつつ俺はこの後の夕飯のことを考えた。 「で、今すぐ帰らなきゃいけねーのか?」 『いや、今すぐってこともないけどなァ・・・。ん? そーいえば工藤、今どこにおんねん? なんだか後が騒がしいなァ』 アナウンスが鳴り、服部のいるホームに電車が来ることを知らせた。 「なぁ、お前が今手にしてる小説の犯人、教えてやろうか?」 俺は電車が駅に滑り込んでくると同時に、看板の裏側から姿を現した。 『あァ?! どこにおんねん、工藤!』 「さっきからずっとお前の目の前にいたぜ?」 『目の前って、・・・』 1分後。 電車が出発してしまった人気のないホームには 「やられた」という表情を浮かべた服部の姿だけが一人残っていた。 ひびきさんとのメール交換中に添えられていたSSSです 平次に対していたずらをしかけるコナン君がたまらんない。 やられちゃったという平次はもっと…!! 即効脳内でみなみ様ボイスに変換して妄想したらクラックラしました 電話越し、って萌える。 メールの萌トークもさながら こちらの本文を食い入る様に堪能して、ハァハァ息上がってしまいました ひびきさん、承諾ありがとうございますv 04/08/11UP |