澄み渡った青い空。太陽の光に照らされて輝く、ナルトの金色の髪、白い肌。
「サスケー」
「ん?なんだ、ナルト」
満面の笑みで手を振りながら、サスケの名を呼んで駆け寄ってくるナルトに爽やかに微笑み返すサスケ。
が、実際のところでは「嗚呼・・・眩しいぜ、ナルト・・・」などと考えている内なるサスケがいたとか・・・


ともあれ、よく晴れたある日の昼下がり。それはナルトの純粋な疑問による発言から始まった。
「なーサスケ?子どもってさー、どー作るんだ?」


・・・その瞬間、サスケの背後にベタフラが見えたとか見えなかったとか。




よく晴れたある日の昼下がり






それはまさにサスケにとって青天の霹靂であった。
(ど、ど、どうする!?ここは正直にありのままを伝えるべきか?!それとも・・・それとも、実践で・・・!!っしゃーんなろー!!)
内なるサスケの意志は、自問自答をするまでもなくすでに固まっていた。
「ナ、ナルト・・・?」
「ん?」
「うっ!!」
だが、その固い意志をぐらつかせるものが一つあった。
ナルトの期待に満ちたキラキラ顔である。
(こんな純粋な瞳を向けられて、それでも俺はナルトにあーんなことやそーんなことをヤってしまえるというのか?!そんな非道なことを俺は、俺は・・・!!)
と自問自答しながらちらりとナルトの顔を伺う。
ナルトは、「う?」という効果音でも浮かべていそうな顔でサスケを見つめ返した。
(・・・いーかもしんない)
その顔がサスケの中の鬼畜心をくすぐったのか、サスケの想像もとい妄想の中のナルトは、まるでサスケにそうされることを望んでいるかのように艶やかに微笑んだ。
なんと素晴らしい妄想力。これもうちはの血が成せる技だろうか。
「ナルトっ!!」
サスケはナルトの肩をガッと掴むと、顔を上げ、ナルトを見つめた。
ナルトも、きょとんとしたままサスケを見つめ返す。
「・・・子どもの作り方、知りたいか?」
「だからさっきっからそう言ってるってばよ」
「ナルト・・・」
そう囁きながらそっと顔を寄せ、ついに口づけを・・・――――しようとした瞬間、まるで天がそれを許さないかのように邪魔者は現れた。
「天下の往来で何やってんだよおめーら・・・」
「あ、シカマルだってばよ〜」
途端にそちらへと駆け寄るナルト。
「よぅナルト」
「キバにシノも!久しぶりだってばよ!」
「ああ」
盛り上がる4人をよそに、サスケの行き所のなくなった手が静かに握り拳へと変わる。
(あいつら・・・肝心なところで邪魔しやがって・・・!!)
怒りもあらわにシカマルたちの方を睨みつける。
とその時、シカマルがちらりとサスケの方を見た。
目線が交わり、火花を散らす。一触即発状態だ。
やがて、シカマルが不適に微笑ったかと思うと
「ナルト」
「んー?」
ナルトの耳元で何か囁き、後ろから抱きしめた。
「Σ!!!?」
本日二度目のベタフラが飛び交う。(つ いでにキバとシノの背後にも。)
サスケの目には「いきなり何するんだってばよー」などと、ほんのり顔を赤らめつつ抗議するナルトの姿が映っている。
(シカマルの野郎・・・!!!)
シカマルはそんなサスケを挑発するかのように、ナルトを更に強く抱きしめた。
・・・実はこの行為のせいで後にキバやシノからまでも「抜け駆けだ」などと散々文句を言われることになるのだが・・・。
とにもかくにも、今の段階におけるシカマルにとっての敵はサスケであるらしい。シカマルはサスケに挑戦的な目を向ける。
あわやサス ケVSシカマル(+キバ&シノ)の戦いはますますヒートアップしていく――――・・・のかと思いきや、意外なことに事態は早期解決を迎えることとなった。
何しろ、周りがいくら争ったところで渦中のナルト本人の気持ちはすでに定まっているのだから。
「もーっ!いい加減にしろってば!!」
ボグッ
小気味のよい音が響く。
―――っ!!」
先程から散々放って置かれたナルトの会心の一撃がシカマルのみぞおちにクリーンヒットしたのである。
「あ・・・」
「あ、じゃねーっ!!お前っ・・・みぞおちに来たぞ!?」
「あ、わ、わ、悪かったってばよ?」
涙ながらに訴えるシカマルに、顔中に「やべぇってばよ」と書いてあるナルト。
「いー音したな〜?」
「天罰だな・・・」
キバとシノは、ナルトを独り占めした罰だとシカマルをからかう。
「てめぇら少しは心配しろよ・・・」
「バッカ言ってんなよなー」
「抜け駆けしたお前を心配してやる義理は無い」
どうやらナルトがからむと、普段は仲間思いの二人も途端に冷たくなるようである。哀れシカマル。
「あ!!」
と突然声を上げたのはキバである。
「どうした?」
「ナルトがいねぇ」
「・・・サスケもいないな」
そう、三人は気付か なかったようだが、ナルトがシカマルのみぞおちに肘鉄を食らわせたあと、サスケはこっそりとナルトを取り返して、さっさとその場を離れていたのである。
「やられたな・・・」
悔し紛れにつぶやくシカマル。
そして
「やられたな・・・じゃねーよ!」
「覚悟は、できているな・・・」
シカマルの背後には、怒りマークを浮かべたキバとシノがいた。
「あ・・・まあ、なんだ、落ち着けよ」
「「落ち着けるかーーーっ!!」」
ぬけるような青い空の中、シカマルの断末魔の叫びが響き渡った・・・




「サスケーいきなりどうしたんだってばよー」
サスケに手を引っ張られる形で何とかあの場を逃げ出してきたナルトだが、本人はその辺りよく分かっていないようで、周囲には「?」が飛び交っている。
(追っ手はいないようだな・・・)
一方のサスケは今度こそ邪魔されてなるものかと周囲に気を張り、邪魔者がいないか念入りに確認している。
「なーなー」
事態から置いていかれているナルトは、することもなくサスケにちょっかいを出しては振り払われている。
「むー・・・」
構ってくれないことに痺れを切らしたのか、ナルトは不意にサスケの耳を掴むと一気に自分の方へと近づけた。
ちゅっv
ナルトの唇がサスケの頬に微かに触れる。
「構ってくれねーと浮気するぞ」
耳元でそう囁くナルトの顔は真っ赤に染まっている。
サスケはナルトの突然の好意にいまいち事態が飲み込めていないのか、その体勢のまま動かない。
ナルトとしては、意を決しての行動だったというのに全く反応がないというのはおもしろくない。
(くっそーこれじゃ俺ばっか恥ずかしいじゃんかよぅ!)
しかしサスケはサスケで頭の中では瞬時に様々なやり取りが行われていたため動くに動けなかったのである。
(こ・・・っこれはナルトの誘いだと受け取っていいのか?!・・・いやいや、落ち着け俺。相手はナルトだ、こいつに限ってそんなことはありえねぇ。だとしたら・・・)
ちらりとナルトを伺う。
ナルトは、真っ赤を通り越して最早泣きそうな顔をしていた。
(・・・何やってんだ、俺・・・)
1人で暴走してあらぬことを想像して、挙句の果てがこれだ。
(恋人失格だな・・・)
目が覚めた思いで、恋人として優しくナルトを抱き寄せる。
「悪かったよ、ナルト・・・」
「っ・・・ サスケぇ・・・」
サスケの胸に顔を埋めて、ぎゅうっとしがみつくナルト。
「ナルト・・・?」
泣いているのか・・・?
わずかな不安がサスケを襲う。
案の定、ナルトの声は微かに震えていた。
「俺、放っとかれる の嫌いなんだからな・・・覚えとけ」
「あぁ、もうしないからよ・・・」
澄み渡った青い空。よ く晴れた、ある日の昼下がり。
サスケの腕の中で満面の笑みを浮かべるナルト。
微笑み返 すサスケ。
「でさ」
無邪気なナルトの、言葉。
「子どもって、どー作るんだ?」


その瞬 間、サスケの背後にベタフラが見えたとか見えなかったとか・・・









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哀沢架罹様リクエストのサスナルです。


ごめん、最後力尽きた。もう無理だった。
ちょっと中途半端な出来になってしまいましたが、どうかもらってやってくださいませ・・・;;



2005/2/12


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