「いつまでも死にたないて思っとるだけやったら、あいつに顔向けでけへんやろ?」






生きる意味が欲しいから




たくさん苦しんだ。
たくさん泣いた。
あいつは今でも泣いてる。
俺は、もう泣かない―――――




病院のベッドの上で、何を考えればいいのか、何をすればいいのか、一つも分からないまま時が過ぎていく。
『知るか』
突きつけられた言葉は俺の心に重く圧し掛かり、痛みばかりを与える。
突き放されてしまったら、俺にはもうどうすることもできないのに。
絶望を抱え、暗闇に沈み、次第に思考は狭まっていく。
どうやったら死ねるのか。早く死にたい。死んで楽にして欲しい。
けれど歩がそれを許してくれない限り俺は死ねない。
歩が、許してくれない。
どうして。なんで。いかないで。
歩の背に投げ掛けた言葉すらも振り払われ、俺は何もかもを失ってしまった。
何がいけなかったのだろう。
カノン・ヒルベルトを殺さなければよかった?歩に会いに行かなければよかった?生まれてこなければよかった・・・?
きっと答えは出ない。
ただ分かるのは、歩を信じても信じなくても結果は変わらなかっただろうこと。
だって歩が勝とうとする限り、俺が歩の傍に居られなくなることには変わりないのだから。
でも・・・それなら歩を信じればよかった。自分に負けなければよかった。そうすれば、せめて歩の心は俺を見捨てないでいてくれたはずだから。離れていても、信じ合える関係でいられたはずだから。
後悔はいつまでも消えずに、ぼんやりとした頭の中をぐるぐると回り続ける。
そんな思考の渦に飲み込まれそうになったとき、ふと、歩のことを思った。
歩は怖くないんだろうか。全てを失っても歩いていけるのだろうか。
俺には、歩の考えなんて分からない。
けれど歩は確かに言ったのだ。俺といられたら幸福だと。
だとしたら、俺のしたことはどれだけ歩を傷つけたのだろう。
歩を裏切ったことは、どれだけ大きな絶望だったのだろう。
どれだけの絶望を、俺が、与えてしまったのだろう。
きっと歩は苦しんでいる。
負わなくてもいいものまで負って、それでも必死に足を踏ん張っている。
ならば俺はその支えになりたい。
罪滅ぼしだとかそんな大それた話じゃなくて。
俺が、歩の支えになれるならば。
歩が勝ち進んでいくための支えになれるならば。
それは俺を救う希望になり得るのではないだろうか。
それを、俺の生きる意味にしてはいけないだろうか。
例え歩がそれを望まなくても、俺がそう望むなら歩はそれを見逃してくれると、そう思う。
許して欲しいとかやり直したいとか、そんな気持ちはもう諦めた。
歩は俺を許してはくれない。
死ぬまで生き続けなければ、許してくれない。
だったらせめて生きる理由を歩に求めてはいけないだろうか。
歩が生きることが希望に繋がるのなら、俺は歩のために歩を生かす。
俺にしか、できないことがある。
そんな俺にとっての希望は、きっと俺を生かし、歩を生かす。
どうせ死ぬ命ならば、最後まで歩のために生きて、それから死ぬ方が楽だ。
生きる意味があるだけで、俺は生きられるはずだから。
死ぬのはまだ怖いけど、怖がっているだけでは進めないことも知った。
生きるための希望を歩に求めることで生きられるのならば、それくらい許してくれてもいいじゃないか。
後戻りできないのならば、嫌でも怖くても前に進むしかないのだから。
なぁ歩・・・・・・
俺、お前のために生きるから。せやから俺の命、お前が使ってや。
歩はきっと嫌な顔をするだろう。
それでも、こうでもしなきゃ俺はもう生きていられないんだ。
だから、お前のために生きたい。お前のために死にたい。
それだけ、許してくれへんかな?









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殺すとか殺さないとか絶望とか勝ち負けとか・・・「生きるほうが戦いだ!」ってな感じですか?これしかなかったんですか?
ホントに・・・どうしても火澄くんが可哀想でいられない。どうして火澄くんが絶望の底から這い上がってきて歩のためにーなんて思えるようになったのかが分からない。
これ書いてもまだ分かりません。所詮私の書く火澄は歩スキーなので。
あぁもう悔しいもどかしい。納得は、やっぱりいかない。言ってもしょうがないことですが。


文章的には3回しか出てきてないくせに上手くいかない関西弁が、ね。(いつものことですが。)誰か私に関西弁を指導してやってください(涙)



2006/1/29


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