日常との交錯






青い空、白い雲、照りつける太陽、そして・・・・・・砂漠。
「あっちぃぃぃ〜〜〜!!」
「うるせーよ猿!暑いって聞くと余計暑く感じんだよ!」
「へっ、河童だから干からびちまうってか?」
「んだとこの猿!?」
いつもの如く始まるいつもの如き喧嘩。
いい加減進歩はしないのだろうかと思いつつ、八戒は隣に座っている三蔵をちらりと見た。
(この分だと、まぁそんなに経たない内に収拾がつきそうですね、後ろの2人)
三蔵の様子からそう判断すると、面倒なことは三蔵に任せて自分はジープの運転に専念することにした。
「このエロ河童!」
「救いようのねぇバカ猿!」
後ろでは語彙の少ない言い争いが続いている。
と、その時、三蔵が低い声で何事かを呟くと愛用の銃を空に向けた。
ガゥゥゥン!!
響く銃声。一瞬の静寂。
「うるせぇんだよ、てめぇら。このクソ暑い日に騒ぐんじゃねぇよ」
静かな、怒りを含んだ声。
「だってさぁ・・・あっちぃんだよぉ・・・」
物怖じしない悟空の、それでも控えめな言葉。
「うるせぇって言ってるんだよ!」
一喝。・・・そして、沈黙。
緊張を含んだ息の詰まりそうな沈黙の続く中、最初に言葉を発したのはやはり・・・と言うか何と言うか、八戒であった。
「ほら皆さん、村が見えてきましたよ」
「え!どこどこ?」
身を乗り出して辺りを見回す悟空の目に映ったのは、砂漠には到底不似合いな一面に咲く桜。
「うわ〜〜〜っ!!すげぇーーー!!」
「おっいいねぇ花見酒ってのも」
「・・・まぁな」
珍しいことに三蔵までもが機嫌を良くしている様なので
「あの桜並木が村の出入り口になっているようですから、せっかくですし、歩いて行きましょうか」
などと提案してみると
「賛っ成ーーー!!」
いつもならば真っ先に異議を唱えるはずの三蔵が静かなので、4人は桜並木を歩いて通ることになった。
「きれいですねぇ。ね、三蔵」
「あぁ」
答えはぶっきらぼうだが、表情は柔らかい。
「おい猿!んなに上ばっか見てっと転ぶぞ?」
「転ぶかよ!っと、うぁ!?」
見事に言葉通り実行する悟空。
「痛ってて・・・」
「さすがだね〜バ・カ・ざ・る♪」
「ちっくしょー!」
今回ばかりは反論できないと拳を震わせる悟空。
悟浄は勝ち誇ったような顔をして先へと歩いていった。
「大丈夫ですか?悟空」
笑いながら手を差し伸べる八戒をこんなに憎たらしく思うことも中々ないだろう。
「へーきだよ、別に。それよりさ!すっげーのな、この桜!俺こんなに桜がいっぱいなの初めて・・・」
―――――初めて?
悟空の頭に疑問が浮かぶ。
前にも・・・前にも無かったか?こういう光景が。
前にも、どこかで。
「悟空?どうかしましたか?」
「や、何でも・・・」
「悟空!八戒!」
前方から呼びかける聞き慣れた声。
引かれるように顔を上げると、桜吹雪の中をその人物が振り返る。
金色の髪と、紫暗の瞳―――――
「・・・・・・ッ!!」
―――――言葉にはならなかった。
けれど確かに言おうとした。
何て、言おうとした・・・?
「何してやがる、置いてくぞっ」
「っ待てよ!・・・三蔵!!」
そう言って何事も無かったかのように三蔵の元へと駆け寄る。
込み上げてきた想いを奥に押し込んで。
それは疑問?不安?それとも・・・・・・―――――


金色の髪をした、紫暗の瞳を持つあの人は・・・ダレ・・・・・・?









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すっっっっっごい昔に書いた作品です。多分“初めて書いた二次創作文章”みたいな勢い。でもネタは好きです。(趣味が変わらなすぎだお前。)
UPするにあたって多少は書き直しました。でも何だかんだ成長(?)しているのかなぁ。書き方自体が今と違っていたので大して手を加えることもできませんでした。成長・・・してるのかなぁ・・・。退化じゃないといいなぁ・・・(笑)



2006/3/20


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