いつも言えなかった言葉
いつも言いたかった言葉
「ミアは僕のこと好き?」
僕のことが好き?
エルクが好き?
それとも―――――






言えなかった言葉




その日、僕たちはいつものようにエノコロ草を探してフィールドを歩き回っていた。
「ここにも無いねぇ、エノコロ草」
エノコロ草が何なのか、僕にはよく分からない。
知っているのは、ミアがエノコロ草を好きであること。
そしてミアがエノコロ草を好きなのは「司」のせいであること。
・・・せい、って言い方は違うかもしれない。
とにかくミアは「司」からエノコロ草を貰ったから、だからエノコロ草が好きなんだと、そういうこと。
それって・・・
「ねぇミア?」
「ん?何だいエルク」
ミアは優しい。
けれどその優しささえも、僕に与えられているものじゃないのかもしれない。
「ミアは僕のこと好き?」
だってミアは・・・―――――
「好きだよ」
そう言って笑うミア。
その仕草はすごく人間的で、NPCだなんて信じられないくらい。
・・・ううん、NPCとかそんなの、関係ないんだ。
だってミアは生きてる。
『The World』の中で、生きてる。
だから、人を好きになったって不思議じゃないんだ。
けど――――――――
「ミアは・・・僕が好きなの?」
「?そうだよ?」
僕だけが?なんて、さすがにそこまでは言えないけど。
「どうして?」
ねぇ、どうして・・・?どうして僕が好きなの?
「どうしたのさエルク」
「答えてよっ」
どうして僕が好きなの?
僕だから好きなの?
僕が・・・エルクが好きなの?
それとも・・・・・・!
「ミアは・・・僕が「司」に似てるから好きなの・・・?」
―――――いつも言いたくて言いたくて、でも言えなかった言葉。
僕は「司」の代わり?
僕じゃなくても、良かったの・・・―――――
だったら僕は何?
僕はミアにとって、「司」でしかないの・・・・・・?
「違うよ」
凛とした声。真っ直ぐな瞳。
ミアは嘘をつかない。
だから、信じられる。
「違う、の?」
「そう、それはきっかけ。確かに最初はきっとそうだったんじゃない?でもエルクに会ったときって、ボクは司のこと覚えてなかったし」
言葉を区切って、教えてくれるように言う。
「エノコロ草がいっぱいあるエリアを教えてくれたのはエルクだし」
そう言って、柔らかく笑う。
優しい笑顔。
嘘じゃない、ごまかしじゃない、本当の言葉。
「ボクが一度消えたとき、必死になって回復しようとしてくれたのもエルクだった」
司じゃない。マハじゃない。
“ミア”のパートナーとしての“エルク”。
ミアのことが大好きな、エルク。
「ボクはエルクが好きだよ?」
優しいミア。
ボクの大好きな、ミア。
「うん・・・僕も、大好き!」
ミアの一番じゃなくても、ミアが僕を好きでいてくれるなら、それでいいと思った。
「ミア」
また一緒に、エノコロ草探しに行こう。
一緒に冒険しよう。
ずっと一緒に―――――
「大好き」









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ミアが別人だ〜(笑)←笑い事ではない。
一応ゲーム終了後のイメージで書いてますが・・・終了後ってミア元通りになってるんですかね?(えぇ?)まだvol.2の途中までしかやっていないので最後の展開があやふやで仕方ありません。(あはは〜;)
まぁ間違っていたら「アホやなーコイツ」と温い目で見てやってください。
ともかくエルクを書くのは楽しかった!下書きで、「ミアは優しい」の辺りに「←この辺が盲目的(笑)」とか突っ込みを書き入れるくらいミア好きを意識して書きました(笑)好きだ!!



2006/3/20


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