告白する勇気 「そりゃおまえ、そいつのこと好きなんだろ?」 「・・・・・・へ?」 花シマダに言われたその言葉は、オレにはとーてー理解できないような予想外のものだった。 考えてみりゃそうだ。こいつの言うことは大抵理解できない。だから今回も理解できないのが当然。うん、そうに違いない。 「そいつを見てると、胸がドキドキ。心がウキウキ。顔が熱くなって、他には何も考えられないくらいそいつのことで頭がいっぱいになって、訳が分からなくなる。それはモチロン、恋!ちなみにオレ様は真さんのことを思うと夜も眠れんぞ!」 「・・・それは知ってる」 花シマダのことなんて今のオレには関係ない。花シマダがサガミのことしか考えてないのが恋だってことも分かる。オレだって一ノ瀬やサガミのことを考えると夜も眠れない。(眠るけど。) でも、一ノ瀬やサガミのことを考えて夜も眠れなくなるのが恋なら、アイツのことでドキドキしたりすんのは恋とは違うんじゃないのか?! 「おっ!天野、悪いがオレにはスウコウなる使命ができた。そーゆー質問は日下の守備範囲だから日下に教えてもらえ。じゃあなっ」 「は、ちょっ・・・」 「マーーーコーーートーーーさーーーーー・・・」 「花シマダぁーー!!コラーー!!っ・・・覚えてろよーーーっ!!」 ・・・ったく!!分かってるよ!分かってるけど万里に聞けないから花シマダに聞いてるんじゃないかっ!! 「・・・はぁ・・・どうしよう」 頼みの綱の花シマダに置いていかれ、オレは放課後のザワついた教室の中で1人どうしようもなく途方に暮れていた。 パタンッ 「遅かったな」 「・・・・・・」 万里の部屋に入ると、机の上にはいつも通り受験勉強の用意が整っていた。 オレは無意識にそれが置いてある辺りを見つめながら、花シマダに言われたことをハンスウしていた。 「・・・平?どうした?」 その時のオレには万里の言葉なんて聞こえちゃいない。だって、“どうすればいいのか”まだ分からないんだ。 「へーいー?」 「え?」 気がつくと、万里の顔が覗き込むようにオレの顔の近くにあった。 「うわぁあぁぁあぁ!!」 オレは思わず叫びながら壁に張り付いた。と言っても元々壁際にいたんだから、実際にはほんの少し身体が動いた程度だけど。 「?何だよ変な奴。ほら、オベンキョーするぞ、座れよ」 そう言いながら万里は元いた所まで戻る。オレは、動けない。 「・・・平?」 訝しげにオレの方を見る万里。・・・どうしよう。言ってしまおうか。 「平・・・」 「あのさっ・・・」 声が重なる。それだけでも全身に緊張が走る。 「オレ・・・・・・オレっ・・・・・・」 万里がオレを見ている。なんか・・・胸が、痛い・・・・・・。 「花シマダに聞いたんだ。この気持ち、何なんだろうって。そしたら、花シマダは“恋”だって言って・・・だから、それで・・・」 全身が心臓になったみたいに、身体中からドキドキしてる音が聞こえてくる。もう訳が分からない。 「オレ・・・・・・恋をしてるらしいんだ・・・・・・」 身体が、熱い。 「万里に」 ―――――告白するのって、やっぱ勇気がいる・・・・・・そう思った。 |
平の口調で行間を埋めるのが楽しかった作品です・・・でもこの続きは平の口調じゃ書けなかった・・・や、書いたけど途中で終わってるし書いてるこっちが恥ずかしくてたまらないし・・・。 ということでこの続きには「やっと告白してくれたお子ちゃま平ちゃんにオトナのやり方を教えてあげる万里」というストーリーがあるのですがUPできなかったのでぜひみなさんで補完してやってください(笑) |