雪が降っていた。
結構、強かった。
前が・・・修ちゃんの顔が、見えなかった。


『お前が今までやってたのは違うんだよ、今やめちゃダメだから!』


オレは、何も応えられなかった。






変わらぬ思い、変わる思い




3年間・・・3年間も。


投げたい。


それしかなかった。
どうして思えたんだろう、負けても、負けても、投げたいって。


・・・理由はわかってる。
投げるしかなかったから。
マウンドを降りたら、もう2度とボールに触らせては貰えない。
もうみんなと、野球はできない。
野球をするためには・・・投げるしかなかった。


「修ちゃん、あの、ねっ、すごいんだよっ」


修ちゃんが、廉って呼んでくれた。
オレたちは、会わない時間を埋めるように、たくさん話した。


野球のこと。
今の、チームのこと。
仲間の、こと。


「打たれてもいいんだ、って、後ろは任せろって・・・」


修ちゃんは、いつも笑って聞いてくれた。


「修ちゃんが、言ってたこと・・・今なら、わかるっ」


修ちゃんは、昔のままの、優しい修ちゃんのままだった。


「オレっ、やめなくてよかった、野球、楽しいっ」


修ちゃんは、変わらず修ちゃんだった。











廉が、楽しそうに野球の話をする姿を見て、心底よかったって思った。


やめちゃダメだって、野球の楽しさ何にも知らないままやめちゃダメだって、それじゃ廉が可哀想だって思った。


廉は、やめなかった。
新しいチームで、新しい仲間と、野球をちゃんと楽しんでる。
それが野球なんだ、な?野球って楽しいだろ?


顔中に笑顔浮かべて嬉しそうに話すんだ、あいつ。


新しいチームのこと。
新しい仲間のこと。
バッテリーのこと。


なのに・・・オレは、なんか、悔しいんだ。


『ずっと一緒だったのに、転校までしちゃって、お前 一人でさみしくねーのかよ!』
『ないっ、よっ』


まさか、即答されるなんて思ってなかったんだ。


さみしいって、言えよ。
ちょっとくらい、戸惑えよ。


安心したよ?お前をわかってくれる仲間に巡り合えて野球やってること。
楽しそうな廉の顔。


それは、嘘じゃない。


それでも・・・トモダチとして?
オレは、廉がいなくちゃさみしいんだ。
なのに廉はオレがいなくても平気ってさ・・・悔しいじゃん。


廉と話すとき、廉の話を聞くとき、必ず思うんだ。


オレも、お前と野球がしたい。
楽しく、ちゃんと野球がしたかったよ。


なぁ・・・どうしたらこの気持ち昇華できる?
お前勝手に一人で転校なんかしてオレを置いていなくなってさ・・・
責任とれよ、廉。
戻って・・・こいよ・・・









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カノミハです。カノミハ修廉叶三。いやー・・・とあるMAD様に巡り合ってから一気に堕ちました。
ほのぼのしてるカノミハも大好きです。



2009/8/16


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