王の力はお前を孤独にする――――― それでも欲しいか?力が・・・ 深い悲しみを湛えその絶望の淵で嘲笑え 「ルルーシュはいつもそうっ」 ぷうっと愛らしい頬を膨らませ、桃色の髪の少女は言った。 「何かに夢中になると他のことなんてすぐに忘れてしまうんだから」 彼女は本に夢中で遊んでくれないルルーシュに言いたいことが山ほどあるらしい。 しかしその山を聞くよりも先に、ルルーシュは本を閉じて笑った。 「ごめん、今日は本は終わりにする。せっかくユフィといるのだから、何か一緒にできることをしよう」 その笑顔と言葉に、ユフィはころりと表情を変えた。 「ではルルーシュ、何をしましょうか?」 楽しそうにあれやこれやと考えるユフィを見ているだけで、ルルーシュの顔も自然と笑顔になる。 とても穏やかに、時間は過ぎていった。 「ねえルルーシュ・・・僕は君を許せない。ユフィを殺した君を」 やがて手に入れた力は、穏やかな時間を一瞬で真っ赤に染め上げた。 狂気を宿したユフィの姿を、ルルーシュは見たくなかった。 あんなもの、二度と見たくない。 ―――――ああ、わかるさ、その気持ち。だからお前は俺を許すな。俺を殺せ・・・いつか、お前が。ユフィを愛したお前の手で、俺を殺せ。 王の力は愛した少女をこの手で奪わせた。 王の力は親友を裏切らせた。 そして、今もまた――――― 「シャーリー・・・死ぬなっ・・・死ぬな・・・死ぬな・・・」 何故効かないのだ、このギアスという力は。いざという時にいつも役に立たない。 目の前が霞んで、シャーリーの姿がよく見えない。 ただ一つはっきりとわかるのは、彼女の纏う、赤。 赤。 ―――――同じだ。また、俺は失った・・・ この力を欲しなければきっと死ななかった。 失わずにすんだ。 こうしてまた失っていくのか、全てを。 あの男に奪われ、ギアスに奪われ、俺は何も手にすることはできないのか。 ならばせめて・・・ 俺は絶望の淵からでも自分を信じて笑ってみせよう。 最後まで、全てに抗って立ち続けよう。 それが犯してきた罪の重さだと・・・――――― |
シャーリーが死んだ直後くらいですかね、これ書いたの。 なんか本編で実際にスザクがルル君を殺す展開になってびっくりした記憶が。 ともあれルル君はユフィ殺してからずっとこんな葛藤をしていたんじゃないかなぁという妄想。 |