「っんだ・・・あれはっ!」


目を疑った。
何だあれは。何だあれはっ!


あれが、銀時、だと・・・?






あれが、俺の白夜叉?




違うっ、あんなのは・・・違うっ!




ただの腑抜けに興味はねえ。
俺が欲しいのは・・・―――――








只々俺は。








人を殺して。殺して。殺して。
苦しかった。
死にたかった。


死に場所を探して。
けれど、いつも、生き残る。




誰も、死にたくねぇんだ。
ただ、耐えられなかった。


こびりつく血の臭いと、死の気配。
いつでもそこに、死がある。






怖かったんだ。


自分が人間じゃなくなっちまったようで。


人間だって、まだ、人間だって思いたかった。






だから・・・あれは、ただの慰め合い。


身体を重ねて、熱を放って・・・




なんだ、生きてんじゃねーかって思い知る。




ただの人間じゃねーかって、思い知る。




もう、ほとんど壊れかけてたんだよ、俺たちは。






だから、あの時も。


銀時に首を絞められた時も、ああ、いいかって思ったんだ。
このまま死ねたら、人間のまま死ねたら。


いい、人生だったじゃねーか。






目を閉じて、銀時が殺してくれるのをただただ待った。
でもなかなか苦しくなんねーから、目を開けたら




―――――泣いてるんだ。




すげー綺麗だって思ったよ。
涙が滴り落ちてきて、やっぱり、生きてるって思い知る。


「俺に・・・」


かすれた銀時の声がひどく頭に残ってる。




「何で・・・抵抗しろよっ高杉ぃっ、俺に・・・お前を殺させんなぁ・・・っ!」


狂気じみた顔。
その顔に似つかわしくない、涙。






俺しか知らない、白夜叉の、実に人間らしい姿。




ああ・・・わかったよ。


銀時の涙を指で掬って、舐めとった。
それが誓いであるかのように。




塩の味が、した。










俺は・・・あの時の銀時を求めているんだ。


笑わなくていい。
俺にだけ見せればいい。
笑顔も、泣き顔も。




俺の前でだけ、生きればいい。






だから・・・ひどく許せねぇんだ。


今の、腑抜けた銀時が。


知らねえ野郎に笑いかける銀時が。




戻れよ・・・


あの頃の白夜叉に。




俺の・・・俺だけの白夜叉に。








あいつは、俺のなんだよ。









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高→銀です。幸せな銀さんが許せない高杉。
いつか感じた繋がりを欲している高杉。
そんな高銀が大好きです。



2011/8/14


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