聖域 それはきっと、触れられない聖域――――― (煙草をふかし、スバルに寄り掛かって佇む蛮) 「蛮・・・」 (蛮、振り返る)「・・・卑弥呼、か」 「また、兄貴のこと考えてたの?」 「・・・」 「・・・あたしが言うのもなんだけど、もう戻ってこない人のこといつまでも引きずっててもしょうがないよ」 「そうだな」 「・・・ねぇ、ホントは解ってるんでしょ?」 「・・・お前、似てるな」 「え?」 「アイツに・・・さ」 「・・・そう、かな」(困惑したような表情) 「あぁ」 (銀次が買物袋片手に現れる)「蛮ちゃーん!たっだいまぁ!」(と蛮に抱きつきつつ卑弥呼を睨む) 「おー」(少し残念そうな表情) 「じゃああたし帰るわ」(立ち去りつつ手を振る) (振り返す) 「・・・何、話してたの?」 「別に」 「教えてよ」 「お前には関係ねぇよ」 「そんなことない!」 「銀次・・・」 「そんなことないよ・・・だってオレ、蛮ちゃんのことなら何でも知りたいんだから」(どこか得意げに笑う) 「我儘な奴・・・」(照) 「蛮ちゃんだからだよ」 「ありがとよ」(照々) ―――――それはきっと、触れられない聖域 そこに触れられるのはきっとあいつだけなんだ――――― |