ときどき無性に泣きたくなる日が訪れる そういう日はいつも眠れない夜を過ごす――――― 眠れない夜 (眠れねぇ・・・) 先ほどから、あれこれ試しては寝ようとするのだが、目が冴えて一向に眠れない。 (羊を数える・・・なんて誰が言い出したんだか) 真っ先に試して何の効果も得られなかった方法に対し、無意味に毒づくのももう6度目だ。 (嫌な感じ・・・) ごろん、と寝返りを打ちながら眉をひそめる。 眠くないわけではない。 エドの不満は募っていく一方だった。 (アル・・・) 視界の先に映っているアルの姿を見て、心の中で呼びかける。 その言葉が示すものは、謝罪。 (「オレを信じろ」だなんて、よく言えたもんだな・・・) 一つ下の弟に、溜まっていただろう不安をぶちまけられたのはそう昔の話じゃない。 (不安・・・だよな、やっぱ・・・) 不安要素を挙げれば切りが無い。 それは当然エドも感じている不安で。 けれど。 体を全て失っているアルフォンスと片腕と片足だけしか持って行かれていないエドワードでは、その大きさが違う。 巻き込んだ自分と巻き込まれた弟とでは。 罪の重さが、違う。 (当たり前だよな・・・) 目を閉じて、謝罪の言葉を述べる。 ごめん・・・ごめんな・・・・・・ 心の中で何度繰り返したか分からない言葉をまた繰り返す。 それが罰だから。弟を巻き込んだ自分勝手な罪への罰。 けれどこういう時、いつも置いてきたはずの感情に支配されそうになる。 家と共に燃やしてしまったはずの弱さに苛まれる。 ああ、自分はなんて弱いのだろう・・・ 本当に泣きたいのはいつだってアルのはずなのに。 アルには、アルにだけは自分を詰る権利がある。その理由がある。 けれど、言わない。 何よりも人の気持ちを大切にする奴だから。 誰よりも人の気持ちに敏感な奴だから。 優しい、優しすぎる弟。 そのアルが泣かないのに、泣けないのに、自分だけが泣くわけにはいかない。 それは、ずるい。卑怯だ。 弟の優しさに甘えるわけにはいかない。 それは、罪。 そうしてエドはその一言を繰り返す。 これしか術が無いから。 ごめん・・・・・・ その一言がエドを縛り付ける。 今夜もまた眠れない 月がひどく眩しい夜だった――――― |
初ハガレン。暗いっちゅーねん(笑) これ書いた日自分が眠れなかったのでエドにも同じ状況を味わってもらうことにしました。(鬼) 救いの無い話でホント申し訳ないです・・・でも私アニメハガレンなかったらハガレンなんて書かなかったと思うし。アニメハガレン救い無いし。暗いし。まぁいいやってことで。(いいのか) 何にしろ原作のテンションには私の技術では持っていけません。なので似非エド。でもアニメも似非だと思うし。(コラコラ!) ブームに乗ってみただけなの。許してっ! |