兄さんという人は、時々たまらなく我が儘だと思う。 木漏れ日の中で 「アル〜・・・これみよがしに食卓に牛乳を並べるなよ〜・・・」 「しょうがないでしょー?ハボックさんがせっかくくれたんだから、飲まなきゃもったいないよ」 「ったってなぁ・・・アルお前コレのために「今日の夕食はボクが用意するよ」なんて言ったのか?」 そう、今ボクたちは宿屋に泊まっている。宿の主人に言えば夕食だってちゃんと用意してもらえる。それなのにボクは今、兄さんのためにせっせと夕食の準備をしている。とはいえ料理なんてそう作れないから、用意されたものを並べているといった感じなのだけれど。 「はぁーあ・・・ぜってー嫌がらせだよな、コレ」 コレとはボクが先程テーブルの上に置いた牛乳。 ボクたちが泊まっている部屋の一室には、ベッドが2つ、机が1つと、部屋の真ん中にテーブルとソファーがどんと置いてあった。 そのテーブルの上に、ボクは夕食を並べている。兄さんはさっきからソファーの上で牛乳と睨み合いをしている感じだ。 「飲めば伸びるよ、背」 「わかんねぇじゃん!っつーか身長のためでもコレだけは嫌なんだーっ!」 何度となく繰り返されたやり取り。 別にそこまで嫌がらなくたっていいと思うけど。 「本当に背を伸ばしたいんなら、それと同等の代価が必要なんじゃないの?」 「そこで等価交換の原則を持ってくるなんてひきょーだぞ弟よ!」 「ひきょーってなんだよ、当たり前のことでしょ?」 「それでも嫌なもんは嫌だ!!」 「・・・意固地」 そこで素直に受け入れとけば背だって伸びるのにね。 「ボクが元の体に戻った時、兄さんとこーんなに身長差があったりしたらどうすんの?」 なんて、元の体に戻ったところで今の年齢のまま戻れる保障なんてないけど・・・ (でも、できるなら今の年齢で、兄さんと変わらない姿がいいな) 普通に年を重ねている兄に、1つ違いののはずの10歳の弟がいるなんて・・・そんなのは嫌だ。 ボクだけ取り残されたくなんてない。 「アル・・・」 兄さんが返してきた言葉にいつもの覇気はなく、むしろ少し落ち込んでいるような感じだった。 ・・・兄さんも、同じこと考えちゃったのかな。 でも、同じことでもきっと兄にとってはボクが思うよりずっと、重い。 だったら悪いことしたな・・・ ちょっぴり後悔をしつつ、兄がこれ以上考え込まないようにと気を取り直して声を掛ける。 兄さんのせいじゃないよ。 「ほら冷めちゃうよ。ごはん食べよう?」 「あ、あぁ・・・」 木漏れ日の中で いろいろなことを考えて ボクらは成長する それは時に辛くて 投げ出したいようなこともあるけど それでもボクらはきっと前へ進む いつか安らぐことを信じて |
最初に題名を書いてあとは雰囲気だけで進めていった作品です(笑) 木漏れ日と夕食の繋がりがよく分かりませんがそれは見ないふりで。 とりあえずほのぼの系が書きたかったらしいです、当時の私。 ということで書いたのは大分前ですがハガレンでほのぼのは珍しいのでUP☆(笑) ところでアルが身体を持っていかれた年齢って10歳・・・であってますか?(間違ってたらごめんなさい。) |