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小十佐18禁SS「桃尻忍のいけない修練」01

・小十→佐
・捏造才蔵×佐助の18禁描写があります
・小十郎がめちゃくちゃ情けないです
かなり特殊です。どんな佐助受でも大丈夫という方のみお読みください。

続き

小十郎は岩出山城の廊下を足早に歩いていた。
主君である政宗から急に招集がかかったのだ。しかも政宗の私室に来いと言う。
私室でしか話せないという事は、もしや極秘の軍議……いずれかの国の情勢が急変したか?
あり得るとすれば、最上……
などとあれこれ考えを巡らせながら、彼は主君の私室の襖を開けた。
「小十郎めにございます、政宗様」
「Oh、よく来たな。まあ座れ」
文机に向かったまま政宗が言った。
小十郎は政宗の背後に静かに座す。
「極秘の軍議かと思い、急ぎ馳せ参じたのですが…」
何やら様子がおかしい。
主君は穏やかな手つきで文をしたためている。緊迫した雰囲気はどこにも感じられない。
「ちょっと待ってろよ、これだけ書き上げちまうからな……、よし」
政宗が筆を置き、ようやくこちらに向き直った。
「別に軍議なんかじゃねえ。急ぎの用ってほどでもなかったんだが、面白いモノが手に入ったんでお前と一緒に見ようと思ってな」
手には薄手の小さい木箱のような物を持っている。
「政宗様、それは……?」
「西海の鬼から手に入れたんだ。今武将の間で出回ってる超極秘のrare物らしいぜ」
政宗は楽しげに木箱をひらひらと揺らす。
「その箱がそれほどにも貴重な珍品なのですか?」
「rareなのは箱じゃねえ。中に入ってるモノが問題なんだ」
政宗は木箱の蓋を開けた。
中には金属製の円盤のようなものが入っている。
「これは……」
「電子情報記憶媒体…俺もよくは知らねえが、なんでも撮影機って奴で辺りの風景なんかをそのまま絵にしてこの円盤に入れ、後から何度でも見る事ができるらしいぜ」
小十郎は円盤をしげしげと眺めた。
そういえば聞いた事がある。西海の鬼は風景を絵師に描かせるのではなく、そっくりそのまま動きまでを特殊な巻物に保存する技術を持っているのだと。――この円盤がその巻物という訳か。
どういう理屈かはわからないが、もしそのような事が可能なら軍事にも大いに役立てる事ができる。
「なるほど…長曽我部からその技術を盗むのに成功したという訳ですな?」
「いや、盗んだんじゃねえ。これは奴が売り出してる物だ。しかも法外な値段でな」
そこで政宗は企むような笑みを浮かべつつ小十郎に近付き、耳元に口を寄せて囁いた。
「なんでも、この中には滅多に見られない面白い絵が入ってるらしいぜ」
面白い絵……
何だろうか。見当もつかない。
「ま、百聞は一見に如かずだ。さっそく見てみようぜ」
政宗は立ち上がり、部屋の片隅に積み上げられている機械の傍へと向かった。
懐から紙を取り出し、それを見ながら機械を組み立て始める。
「えーと何々…発電機を映像受像機と再生機それぞれに繋ぎ、受像機と再生機も配線で繋ぐ…随分とまどろっこしいな」
政宗はぶつぶつ呟きながら機械に導線のようなものを次々と挿していく。
「…よし、これでいいだろ。あとはこの円盤を再生機に入れるっと……配線が上手くいってりゃ、この受像機に動く絵が映し出されるはずだ」
政宗は木箱から円盤を取り出し、彼が再生機と呼んだ機械に挿入した。
それから受像機の側面に回る。
受像機は大きな箱のような形をしていて、正面のみ硝子を張ったような作りになっている。
政宗が側面にある小さな突起を押すと、この硝子張りの面にいきなり砂嵐のような模様が浮かび上がった。
「砂嵐…?これが珍しい絵なのですか?政宗様……」
「Be quiet…黙って見てな、小十郎」
二人は受像機の前に並んで座り、この箱のような機械を固唾を飲んで見守った。


と、いきなり画面が真っ暗になり、そこに
「桃尻忍のいけない修練」
という白い達筆な文字が現れた。
文字は直ぐに消え、代わりにどこかのみすぼらしい部屋が映し出される。
小十郎は驚愕した。
これは絵などという生易しいものではない。
肉眼で見る景色とそっくり同じ、緻密な光景が箱に映っているのだ。
まるで箱の中にもう一つの世界が広がっているような――
このようなことが可能などとは、まるで魔法のようだと小十郎は思った。
箱にはしばらくの間部屋のみが映っていたが、やがて脇から男が現れた。
男は狐の顔を模した面を顔につけている。口の辺りだけ大きく開いている、不思議な細工だった。
あの狐面、どこかで見たことがある……
小十郎は朧気な記憶を懸命に辿った。しかし上手く思い出せない。
「どうも、お初にお目にかかります。わたくし真田忍隊の副長を務めております、霧……おっと、名乗れるほどの名は持ち合わせておりませんもので、このくらいの自己紹介にてご容赦願います」
男はぺらぺらと喋り続ける。
まるで本人が箱の中に入って話をしているかのようだった。
「本物みてぇだよな…」
驚きを隠しきれない声で政宗が言った。
「まことに」
「だが、違うらしい。説明書には『再生機を用いれば、以前に録画した画像をいつでも再生する事が可能です』とある」
つまり、この箱の中に広がる世界は本物ではなく、以前にあった光景を再び映し出しているという事か。
まさしく魔法だ。西海の鬼、侮れぬ……と小十郎は内心舌を巻いた。
箱の中の男はなおも喋り続けている。
「そんなわけでね、今回は西海の鬼の方から機材を貸していただけたんで、ちょっと面白い趣向を凝らそうと思うんですけどね……ちょっと隊長、いい加減くさってないでこっち来てくださいよ。隊長~」
すると景色が横に滑り、部屋の隅にいたもう一人の男が映し出された。
男はこちらに背を向け、項垂れて座り込んでいる。
だがあの奇妙な草色の戦装束、なおかつ燃えるような赤い髪――
小十郎は息を飲んだ。
そこにいたのは間違えようもない。
彼がよく知る真田の忍――猿飛佐助だったのだ。