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 仲良し雛鳥 おまけ 【18禁】






 夏の苛烈な陽が沈んだ。
 砂地ばかりのガグルエ王都は、夜になると急速に冷え込む。

 リューは薄い夜着を翻らせ、高いベッドによじ登った。
「えへへ」
 先に横になっていた夫に抱きつく。布団から伝わる優しい体温。
「嗚呼、アージュ様、アージュ様……。どうしてこんなにふわふわ滑らかな毛をお持ちなのですか」
 とろけるような感触。夢見心地で擦りつくと、大きな手が頭を撫でてくれる。
「リューが毎日撫でてくれるから、毛並みが良くなったんじゃないか」
「!!」
 ……僕の手が、この至高のもふもふの一端を担っている……。
「だから……」
 アージュはリューを抱き寄せ、その耳に口付ける。
「毎日触ってくれ」
 低く艶のある声がリューの鼓膜を震わせる。
「……はい……っ」

 そろそろと手を伸ばす。足も伸ばして、やがて全身を使ってアージュに擦りつく。
「ん……」
 夢中になりながら、アージュの夜着をどんどん崩していく。
 喉元に見える人肌。胸元のふかふかの獣毛と、腰の短めの獣毛。股の間の熱……。
 アージュはリューのしたいようにさせながら、リューの服の肩についているピンを外した。肩からするっと夜着が落ちて、平らな胸をアージュの前に晒す。
「あ……」
 リューは服を押さえようとするが、アージュの手によって止められた。
「隠すな。私と同じようにな」
「……―」
 見下ろす視界には、アージュの裸体。薄明かりが照らす筋肉の隆起。その上に乗り上げたリューを、アージュは優しく見つめている。
「リュー……」
 優しいだけじゃない、熱を帯びた視線。上の一対の目はリューと見つめ合い、もう一対の目はリューの下腹部に……。
「……っ」
 リューの尻に何かが触れた。魔力の蔓ではない。この熱さは……アージュ自身の……。
 少しずつずらされて、谷間を伝う。
「あ……ぁ……」
 体の中がアージュを欲しがって、ひくひくと入口を示してしまう。
 触れた先っぽに、吸いついてしまった。
「……ッ……」
 きゅうっと胸が高鳴り、下半身がびくんと震えた。
 アージュが微笑む。
「いつまでも慣れないな。これはお前のものなんだぞ」
「だって……」
 アージュと触れ合う時間はいつだって刺激的で、リューをすぐに熱くしてしまうのだ。
 ぐりぐりと、リューの穴の縁に押しつけられる。
「っ……アージュ様……、……気持ちいいとこ、入れるのですか……」
「ああ……、すごく入れたい」
「僕も……、っ……」
 待ちきれなくて、足から勝手に力が抜けてしまう。自らアージュの上に腰を落とそうとした。
 だが、腰を押さえられ、離れていくアージュのもの。
「あ……、なんで……っ」
「リューの中はすぐ引き締まってしまうからな」
 膝立ちの状態にされ、腰からアージュの手が離れた。その手は、リューの股の下に伸ばされる。視線で追って下を見る。自分の体で隠れたアージュの手元が、ぼんやりと光っているようだ。
「……ん……っ」
 リューの中にじんわり温かいもの……アージュの魔力が入ってくる。リューは思わず目を瞑った。
「……しっかり解そう」
 細い蔦の先の、球状の魔力。ゆっくりと入ってくる、鈍い快感。その物足りなさが、記憶の中の蜜の味に餓えさせる。どうにか膝立ちのままでいるが、ゆらゆらと腰を振ってしまう。
「……そう。いい子だ、リュー」
 そんな……。大好きな声で褒められたら……。
 アージュの手のひらの上で、腰を上下させる。アージュは中の魔力を静止してくれている。リューが動いた分だけ、体内が擦られる。
「……ん……―」
 耐えきれなくてリューがアージュの手の上に座り込んでしまう。
「無理はしなくていいぞ」
 そこを、すりすりと優しく撫でてくれる。
―ッ……」
 動けないまま震えていると、アージュは魔力の動きを再開させた。
「ああんっ……!」
 球状のこぶが奥の方へ入り込んで、膨れたり、ぐるぐると回ったり。
「ちゃ、ちゃんと入口を……広げてください……」
「ふふ」
 もう一つ魔力のこぶができて、入口で膨れだす。
「二つ!? あっ……、やっ……」
「リューが魔法の練習を手伝ってくれるから、上手くなっただろう。タマゴの絵を描いているとき思いついて、試したかったんだ」
 ほのぼのとした食事の時間に何を考えているのだろう。
「……こんなのされたら……、アージュ様が魔法を使うたび……、オムレツを食べているときだって……やらしい気持ちになっちゃいます」
「そうなったら、いつでもおねだりしていいぞ」
 アージュがリューの頭を撫でた。二つの魔力も呼応するように優しくお腹の中を撫でる。
「やぁ……っ……、甘やかさないで……」
「私を受け入れてくれる大事な体だ。たっぷりと甘やかして……」
 耳に彼の唇が触れた。
「虜にしてやる」
「ッ―……!」
 耳元で直接囁かれて、思わず中を締めつけてしまう。
 背をしならせると、アージュに抱き寄せられた。
 アージュの腕の中。彼のもう片方の手は、リューの股に差し入れられた状態。
 込み上げてくる快感を耐えようと、両足に力が入って、アージュの腕を太腿で挟みこんだ。
「……ァ……!」
 アージュの獣毛が太腿に擦れる感触によって、リューは絶頂を迎えた。

「…………」
 アージュにもたれ掛って息を整える。
「かけちゃって……ごめんなさい」
 アージュの腕が、リューの精に塗れている。恥ずかしくって、目元が熱くなる。
 アージュの腕を拭こうとすると、アージュの手が頬に添えられて、上を向かされた。
「可愛かったぞ」
 口付けをくれたので、リューはうっとりと目を閉じる。アージュの柔らかい唇に、あやすように啄まれた。
(アージュ様……)
 大事にされているのが伝わって、体から力が抜けていく。
「落ち着いたか」
「はい」
「続けるぞ」
「……はい」
 リューは枕を頭に敷いて寝かされ、再び魔力で後ろを広げられる。すぐにまた体が熱くなりだす。
「アージュ様……、どうしてこんな、上手なの……? こんな、気持ちいいこと……だめぇ……」
「私だってリューと同じだけの経験しかないぞ。リューの育て方が上手なんだろう」
「僕、教えられることなんて何もないです……」
「可愛いリューにいっぱい触って、私も気持ち良くしてもらうだけで、”気持ちいい”って褒めてもらえるんだ。勝手に育つさ」
「だって、気持ち良くって声がでちゃう……」
 体の中から魔力の蔦が抜けていく。腰を掴まれた。くる……。
「アージュ様も、気持ちいいの?」
「ああ、すごく……」
 アージュの四つの目が、柔らかく細められる。
「一つになるって、こんなに幸せなことなんだな。リューがいてくれるから……。体だけでなく気持ちもくれて……幸せだ」
(気持ち……)
 リューも、とても欲しかったもの。そして今は―、リューの側にあると、心から感じられるもの。
「僕もアージュ様に好きになってもらえて、すごく幸せです」
 リューの気持ちを伝えると、アージュの目が潤んだ気がした。
 ぐっとアージュの手に力が入り、準備の整ったリューの入口に、熱い欲望が触れた。
(アージュ様のお嫁さんになれてよかった)
 中に入ってきたアージュを、いっぱいいっぱい食んで幸せにする責務。どんなに拙かろうと、この役目だけは譲れない。
(大きい……)
 少しずつ入ってくる、大好きなひと。
 ハーフノームの回復力のため、すぐ狭くなってしまう中を、いつも丁寧に解してくれる。リューが痛みを感じることなくいられるのは、アージュが優しいおかげだ。
 リューは息を吐いて体の力を抜く。リューの尻肉は、つがいとなる肉棒によって、筒の形にされていく。
「あ……んっ……」
「は……、……っ……」
 彼と繋がることにこんなにも陶酔してしまうのは、アージュがあまりにも格好良いせいだ。リューの視界には、汗に湿った筋肉と、それを覆う獣毛。
「……っ……」
 広げられた股に、アージュの腰がくっついた。すごい大きさと、みっちりと中を埋める質量。自分のお腹が、外側からでも分かるくらい膨れている。アージュの形に……。
「……アージュ様、気持ちいい?」
「ああ、気持ちいい……」
 感じているアージュの表情。赤みさして、口から零れる耐えるような息づかい。リューの胸がうずく。
 リューは、リューをダメにする美味しい肉棒の味に耐えて、アージュを癒して甘やかさなくてはいけない。頭を巡らす。
(……いいこいいこして、育ってもらう……)
 気持ち良くって少し頭がぼーっとしているけれど、多分これで合っている。
 リューは自分のお腹を……、アージュの性器を外側から撫でてみる。中の彼が、ぴくっと動く。
 自分のお腹をじっと見て、撫でるイメージを頭に描きながら、中を収縮させてみる。
 中のアージュがさらに膨れた。
「……っ!」
「リューっ……」
 気づかうような動きだったアージュが、ぐっと勢いをつけて押し込んできた。そしてがつがつと中を何度も突き出した。
―あッ、あん……!」
 赤みの広がりかけた目。興奮している。
「リュー、リュー……! 出したい……。お前の中で、いっぱい……」
 リューの優しい支配者が、珍しくわがままを言っている。
(……可愛い)
 愛しさが込みあげてくる。
「はい、アージュ様」
 リューを覆う大きな体。手を伸ばしてその頭を撫でる。
「いっぱい出してください」
 リューが言ったとたん、中の熱がどくんと脈打った。
 ビュー……っと中に広がる液体。
―んんッ……」
 奥の奥に注がれる刺激に、リューも体をしならせてビクビクと震えた。
 リューの射精が終わっても、アージュの射精は続いている。とても長いのだ。
 巨体に見合った大量の粘液。際限なく中を満たされる感覚に、終わったばかりのリューも、また湿りを帯びた気分になっていく。

 中のアージュが動いた。リューを刺激しないようにゆっくりと出ていこうとしている。
(まだ硬いのに……)
 はっとする。
「あっだめ。抜かないで!」
 これは、あれをされる前兆だ。
「リュー、少しだけ。頼む」
「……うー」
 アージュの肉棒が完全に出てしまった。
 寂しい……。んん、そんなこと考えている場合じゃなくて……。
 栓を失った穴から液体が零れないよう、リューは引き締めようとするが、まだ感覚の戻らない体を上手く操れない。
 逆に大量の精液を一度に零してしまった。
―っ」
 恥ずかしくて顔を覆う。
 まだまだある液が、静かに伝い続ける。
「……可愛い」
 股に吐息が掛かる距離で、アージュの嬉しそうな溜息が聞こえた。リューは何も答えられない。
 アージュはこれを見るのが好きなのだ。四つの目で、優秀な記憶力で、存分に目に焼き付けている。考えないようにしようとするのに、あの赤い視線を想像してしまう。


 妾だった頃……、アージュの気持ちを知らなかった頃から、よく見られていた。
 暗い表情でじっと見つめながら、
「リューは誰のものだ」
 と訊いてくる。
「……アージュ様のものです……!」
 とリューが答えても、その暗さは消えなかった。


 今はただただ恍惚の表情で見ていて、嬉しくなってしまう。
 けれど恥ずかしさを克服したわけではないので、複雑な気分だ。

 やがてアージュが顔を上げて、
「リュー、もう一度……」
 とねだった。アージュの股間は、大きさを取り戻している。
(僕の恥ずかしい姿で、興奮したんだ……)
 くすぐったく喜ぶ心の奥。
 だが、頬を膨らませてその気持ちを隠す。
「アージュ様も恥ずかしい姿を見せてください!」
 アージュに広げられていた足を引いて、えいっ、と上体を起こす。
「リュー?」
「動かないでっ」
 アージュは立て膝して、股間を無防備に晒している。その前に陣取り、身を乗り出して観察する。
「…………」
 アージュが戸惑った表情をしたが、構わず顔をさらに近づける。
 獣毛に覆われている下半身。その中心で肌を見せている異質な肉棒。
 アージュの子種でたっぷり濡れている。
「アージュ様の、えっちな液……」
「……っ」
 アージュが体を揺らし、肉棒もふるふると揺れる。また少し大きくなった。とても美味しそうで、リューは見入った。リューの下半身も疼いて、食べたがっている……。
「……これは、恥ずかしいな」
 アージュが目を逸らしている。珍しい。リューの反撃が効いたようだ。
「そうですよ! 恥ずかしいんですっ」
 いままでの鬱憤を伝えようとする。
「だが、リューに恥ずかしいことをされるのは……悪くない」
 頬を染めながら、素直に言われた。
 その不意打ちに、リューまで真っ赤になる。
「……僕も、悪くはないです」
 つい白状してしまった。



「リュー……、リュー……!」
「あぁ…んっ……、アージュ様……」
 再び中を穿たれる。待ちわびていた中は、衝撃に驚きながらも貪欲に収縮する。きゅうっとリューの中が吸い上げたところを、アージュがさらに奥へと入ってくる。
「……ッ―!」
 観察なんてするんじゃなかった。
 アージュの肉棒と、絡みつく精子。激しい行為の中、尻に柔らかく触れてくる獣毛さえ、まざまざと思い浮かべてしまう。
(アージュ様、あんな風に張りつめていくんだ……)
 いつもアージュにされるままで、ただ鳴くことしかできないリューは、一つ大人になった気がした。
 目の前には、しなやかな胸筋。見上げれば、交わりに夢中になっているアージュの顔。
「……―アージュ様ぁ……!」
 ―愛しい。
 真正面からリューを穿つアージュ。
 大きな体で、立派な方で、テクニックも急成長中で……。そんな素敵なひとが、等身大にリューに欲情している。
 一糸まとわぬ姿で、一心不乱にリューと一つになろうとしている。
「気持ちいいのっ……!」
 自然と零れるリューの素直な気持ち。
「アージュ様、好きっ……。おちんちん、いっぱい……いっぱいください……」
 リューが願うと、
「ああ……」
 アージュはリューをぎゅっと抱きしめて固定した。
「あ、それ……、ッ……」
 抱きしめられたことで中の角度が変わる。そして、たくさん、……たくさん突いてくれる。
 アージュの腕や胸板の獣毛がリューを覆い、擦りつけられる。ふわふわの毛によって思考が緩んだところに、肉棒が一気に分け入ってきた。
「……―ッ!」
 リューは言葉にならない叫び声をあげた。くると分かっていても、受けとめきれないほどの快感。アージュの形になった中を、角度を変えて乱してくる。ゆっくりと抜かれて淋しげに引きとめる空洞に、巨大な肉棒を叩きつけて一気に広げてくれる。
(アージュ様……アージュさま……アージュさ…ま……)
 自分が腰を振っているのか、アージュの動きか分からない。アージュの性器がじゅぽじゅぽと音を立てて、幾度も出ては入っている。
 リューの柔らかなそこは広がり、―ベルニルの実を食べる理由……、アージュの陽物の巨大さを、精一杯包みこむ。
 敏感な性器と”性器”がぴったりと重なり合い、欲望のままに擦り合っている。
 下半身から湧き上がる快楽に、脳も指先までも支配され、その下半身はアージュの動きに完全に屈服している。
(こんな……や……、だめ……っ)
 いままでに無い感覚。全身に回る痺れるような快感。
「あぁんっ……、や……―っ!」
 リューは脚に力を入れて仰け反った。浮いた腰にアージュが性器を一番奥まで押し込んでくる。リューはかすれた叫び声を上げながら絶頂した。

「は……、くっ……」
 びくんと中で震える感覚。
「でたぁ……」
 ぼうっとした頭で、反射だけで呟く。
「ん……でた……」
 アージュも同じように鈍く答え、ぎゅっとすがりつくようにリューを抱きしめた。
(温かい……)
 アージュの長い射精。彼がリューの中に沁みこんでいく。至福の時。
「ん……」
 髪に触れる、アージュの口付け。
 リューが見上げると、優しく微笑んで、今度は口にしてくれた。

 疲れて、気持ち良くて、とても眠い。
「リュー、こんなに出して、体は大丈夫か?」
「大丈夫……、……?」
 ゆったりと撫でられて、落ち着いてきたリューは、自分の体を見て愕然とした。
「あ……僕、……もらして……」
 リューのお腹の上に散った、透明な液体。よくみるとアージュの腹も濡らしている。
「色がないから、違うんじゃないか」
「え……あれ……?」
「いっぱい出させたから、薄くなったのかもしれないな。体は辛くないか?」
 リューの背を優しく撫でてくれる。
(薄くなっただけか……)
 安心して、アージュの胸に頭を預ける。
 ほっとしたら、眠気が戻ってきた。
「リューのお漏らしなら、それも可愛いな」
「……?」
 意識が薄れていて聞き逃した。
「なんでもない」
 いやらしいことを言われた気がする。
(お腹の中、アージュ様の子種がいっぱいだ……。きっと、見られちゃう……。寝ちゃだめ……。こぼすとこ、見られちゃう……)
「おやすみ」
 優しい低音。
「おやすみ……なさい……」
 安心して、眠くなってしまう。けれど、釘を刺しておかなくては。
「アージュさま……、いっぱい射精してもらったとこ……とろとろ……見るの……?」
「ああ、もう少しリューのとろとろになった顔を堪能したらな」
「アージュさま……」
 怒らないと。
「いいだろう?」
「アージュさま……」
「お願いだ……。な、リュー……」
 耳がくすぐったくなる心地良い声。
「……はい」
 もー、眠い……。
 目を閉じると、お腹の中のアージュがまだ硬いことに気づく。
「アージュさまに、興奮してもらうの、幸せです……」
「……!」
「ふふ……」
 また跳ねた……。

〈終〉