この度は「幾万の涙」を読んで下さってありがとうございます。 この本は、2006年12月29日の冬コミ用に作ったコピー本を、 ダウンロード販売用(結局販売手続きはせず)に 原稿をデーター化したものです。 このテキストでは、「幾万の涙」だけではわかりにくい 世界背景等を書きたいと思います。 ------------------------------------------------ 【執筆の経緯】 今回の漫画は、元々考えていた大きな物語の一部から切り取って描きました。 時代設定は、パイオニア2のラグオル到着から5〜6年後ぐらい。 元々考えていた大きな物語というのは、「Rの試作機」という7年越し(このテキストを書いた2007年当時) のPSO漫画(シリアス・否やおい・未執筆)の構想がありまして、 「幾万の涙」は「Rの試作機」の後のストーリーとして描いたものです。 「R」より先に後のストーリーを描くのは反則だと思ったのですが、つい手が動きました。 私はただの助平です。 元々は「R」を描き進めるつもりで色々準備をしていたのですが、 背景や世界観をイメージ通りに描けるか自信がなかった為、 きちんと描けるか一度原稿にしてみようと思い、 試し描きをしたのが「幾万」を執筆する事になった経緯です。 しかしその為、PSO本と銘打っているのに余りPSOらしくない話になってしまい、 PSO本として期待をしていた人にはその点を申し訳なく思います。 ストーリー面で至らなかった点は、いずれ「R」の執筆という形でリベンジできたらと思います。 ------------------------------------------------ 【話・キャラ補足】 「幾万」を読んだだけでは訳がわからない点が多いので、 言い訳がましく(笑)キャラ紹介や設定の補足説明をしたいと思います。 [フィオス] ヒューマーとしてハンターズに所属する少年です。 「Rの試作機」ではこの少年が主人公となり、 ラグオルで行方不明となった姉を探すストーリーになっております。 実家は小規模なアンドロイド製作メーカーであり、 ラグオルで事業の拡大を狙うべく一家全員で移住してきました。 「R」時代では、若さ故に人間的にはまだまだ未熟な少年で、 それ故に周囲の人間との衝突が多く、 漫画の中でもそういう描写が多くなる予定です。 「幾万」時代では少し大人になりましたが、しかしまだ二十歳そこそこの若造です。 人間的な器は決して大きくないキャラですが、 それ故に身近さを感じられるような心理描写を、 いつかこいつでしてみたいなと思っております。 蛇足ですが、彼が涙を流すシーンは「R」以外では描かないと決めていたのですが、 ホワイトがけをしている内についつい泣かせてしまいました。 せっかく腕で顔を隠したのに、やおい心とは全くいけないものです。 [ジョー] フィオスの親友であり、相棒。 PSOニューマンの設定によくあるように彼も天涯孤独の身で、 単身ラグオルへ移住してきた1人です。 フォニュームとしてハンターズに所属しておりますが、様々な事情があり、 「幾万」の頃はフィオスの実家のメーカーの技術者として所属しております。 天涯孤独の身であった所を、フィオス一家に家族同然で受け入れられて、 特にフィオスの父には深く感謝をしております。 蛇足ですが、このメーカーはフィオスの身内や知り合いばかりで成り立っており、 皆家族同然の付き合いをしております。 古き昭和の町工場みたいなイメージです。 彼の言うニューマン云々の下りは、PSOにおけるニューマンの設定が曖昧であったり、 プレイヤーによってニューマンの設定の解釈が違う事を考慮し、 ああいう表現になりました。 彼の場合は、ああいう設定なのだという解釈でよろしくお願いします。 尚、ジョーがフィオスとやおい関係になった経緯は、 「R」の構想を練っている内に、「こいつらやおったらいい感じかも?」 と思ってしまったのが全ての敗因です。 本当にフィオス達でやおいをやる気は全くなかっただけに、 私も色々とショックを受けております。(笑) 悲しい程にやおい人間でごめんなさい。 [ロゼッタ] 漫画の中で何回か出てくる「ロゼさん」とは、フィオスの姉のロゼッタの事です。 ラグオルで行方不明になった姉とは別人です。 アンドロイドメーカーの社長の任に就いておりましたが、 とある事情でその席を空けなければいけなくなり、後任を部下達に託します。 ジョーも彼女に仕事を託された1人です。 漫画の中ではまるで死んだ人扱いみたいになってますが、 ちゃんと生きていますので、彼女をご存知のお知り合いの方々はどうぞご安心下さい。 PSOの世界は後年、アンドロイド虐殺事件が生じ、 「幾万」の時代の頃もアンドロイド差別の影が彼等の周囲に及ぶようになります。 [ラヴィアン] この漫画には一切出てきませんが、行方不明になっている姉とは彼女の事です。 フィオスに槍を教え、ありとあらゆる影響を彼に与え、 人間としてもハンターとしてもとても慕われている人物です。 「幾万」の中のフィオスが失った大切な存在とは、彼女の事を指します。 また、漫画タイトルの「幾万」とは、彼女を含む、 ラグオルで消息の途絶えたパイオニア1の人々の事を指します。 また、彼女は「Rの試作機」のタイトルにも登場しており、 これら一連の物語で重要な位置にある人物であります。 ------------------------------------------------ と、ここまでが、2007年にこの本をDL販売をしようと思って書いたテキストです。 「Rの試作機」は2011年春に、第一章を執筆しましたが、その話の内容や設定は2007年当時に考えていたものとは異なり、2011年版は1から設定とストーリーを見直して描いたものです。