- 2022/07/13
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美味しそうだったから
「キャプテンいっぱい刺されちゃったねー」
上半身ハダカになって背中を向けているローを見て、サヤは気の毒そうに言った。
「急に暑くなったからな。油断してた」
忌々しい思いでローはうなずいた。背中だけでも3箇所はかゆいところがある。虫刺されだ。
ローは蚊に刺されやすく、例年はあらゆる対策をしているのだが、記録的な熱波が急に来たせいでこの有様だ。
「ひやっとするよ」
赤く腫れたローの患部に、サヤが虫刺されの薬を塗ってくれた。
冷感タイプでよく効くのだが、ものすごくしみる。ローは歯を食いしばった。
「キャプテンの血はきっとすごーく美味しいんだね」
「嬉しくない。蚊なんか養いたくない。むしろ絶滅させてやりたい」
乱暴な極論に困った様子で、サヤは残りの患部にも薬を塗ってくれた。
「むー……」
かぷ、と最後にサヤはローの首に噛み付いた。
「!!!!?」
予想だにしない行動に飛び上がりそうになったローに、サヤは「つい」と言い訳した。
「キャプテンの血は美味しいんだなぁと思ったら味見したくなって」
可愛いので押し倒した。
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