青マリン

2022/06/22
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ポケモン



「よし行け、ナミナミ攻撃だ」
「アイアイ!」

 白ひげのおじいちゃんの指示に元気よく返事をし、ポケモン・サヤは攻撃をばっちり決めた。


「サヤ! ナミナミ攻撃ーー」

 ローの指示は途中で止まった。
 サヤは座って団子を頬張り、動く気配がなかった。

「今おやつ食べてるから後でもいい?」
「ああ。……それが終わったら、ナミナミ攻撃してくれるか?」

 ローは自分のポケモンであるサヤにおうかがいを立てた。

「いいよ!」

 サヤは元気に承諾してくれたが、おやつを食べると満腹で眠くなったようで、そのまま寝てしまった。
 3日後にローの指示を思い出し、

「ナミナミ攻撃する?」

 悪いことしたなぁと反省した様子で、ポケモン・サヤはローを上目遣いで見た。

「いや。もういいんだ」

 欲しかったポケモン(ベポ)は、ローが素手で捕獲していた。

「次はちゃんとするから! おやつの時間以外なら!」

 サヤにはやる気があったが、ローがサヤに頑張ってほしいとき、サヤはだいたい忙しかった。


ーーーーーーーーー

「キャプテン、ポケモンもうやらないの?」

 放置されているゲーム機を見てサヤは声をかけた。ローが途中でやめるなんて珍しい。

「なんか……ポケモンが指示を全部聞いてくれるのがリアリティないなと思って」
「えー。キャプテン、逆らってほしいの?」

 おかしそうにサヤは笑った。

「お願い聞いてもらうために、あれこれするほうが楽しい」
「ギャルゲーが向いてるのかな?」

 それはあんまり興味ないな、とローは苦笑した。

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