青マリン

2022/11/08
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半分こ



 病院の近くのケーキ屋がテレビで紹介された。
 動物の形をした可愛らしいケーキが特徴で、同僚から写真を見せてもらったが、サヤが好きそうだった。

 だが買って帰ろうにもテレビの効果で連日売り切れで、そのうち忘れてしまった。

 ある日たまたま店の前を通ったら、一個だけ残っていて、土産としてサヤに買って帰った。

 彼女は狂喜乱舞で何枚も写真を撮り、その後「半分こしようね」と大きいほうを俺にくれた。

「サヤのが甘いもの好きだろ」
「キャプテンのほうが大きいんだからいっぱい食べなきゃダメだよ」

 ニコニコしながらそう言って、「美味しいね」って彼女は笑った。



 テレビ効果も落ち着いて、今では普通にそれぞれの分を買えるが、あの時ほどおいしくはない。

 時々違う種類をわざと一個ずつ買って帰る。

「好きなほう選んでいい」なんて言いながら、サヤが「半分こ」を言い出すのを待ってるのは秘密だ。

半分こ
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