内密にゲフェンを訪れた翌日、ファルへと自慢げに宝玉を渡せば当然のごとくいったいどうしたのかと驚かれ、ナルは不思議な剣士のことを素直に打ち明けた。
不思議な夜の体験はナルにとって特別な夜となり忘れられない冒険ともなったのだが、この日を境にナルはファルの側から片時も離れることを許されなくなってしまった。
「素生の知れない相手に、秘密を知られたらどうするんだい?」
兄はすこしだけ不機嫌そうにしながらそう言ったが、指摘されれば反論の余地もないほどその通りであると思ったナルは己の軽率さを反省し、兄の教えに従う日々を選択した。
特に魔法都市に近付くことは厳重に禁止され、ほかの地でアコライトとして修行に勤しむ日々が始まった。
修行は聖職者の魔法を扱えるものの負担の大きい毎日で、その忙しさからアスターのことはすっかりナルの中から抜け落ちるまでに儚い過去となっていた。
アコライトとなった事で大聖堂にて記録されていた兄妹の間柄は破棄され、自分の師となったファルの背中を追い掛ける日々。
しかしそれもあっという間に終わりを告げ、最短記録といっても過言でない勢いでナルはプリーストへと転職する試験日を迎えていた。
「兄さ…うぅん…お師匠様、試験場所に一緒に行くって本当ですか?」
「うん、あくまで補助という形だけどね、一緒に行くよ」
まだ抜け切らない敬称の間違いを言い直すナルを微笑ましく瞳に映し、師弟は転職試験であるプロンテラ大聖堂を訪れていた。
誘惑に屈しない為の試験だとファルから事前に説明されたナルに恐れも不安もなく、ただ心穏やかに試験官へプリースト試験への申請をする。
ファルの同行許可も無事に貰うと、二人は案内された試験を行う特別な部屋へ足を向けた。
階段を降れば見えてくるのは漆黒の扉であり、それをくぐった向こう側は欲望という名を冠する亡者の群れが迫る場所。
「ナルは下がってて、マグヌスエクソシズム!」
ナルの手を煩わせるまでもないと判断したファルの執行した退魔魔法は、瞬時におびただしい数の亡者を浄化してゆく。
(…これって、試験の意味あるのかなぁ…?)
先行するファルは亡者の群れは一掃してしまうし、さらなる扉の先に構える悪魔の囁きもどんどん跳ね除けてしまう。
転職者であるナルにとってこれほど退屈な時間はなく、なにかに焦るような素振りを窺わせる師に言い知れぬ疑問を抱きつつ足を進めていると、庭園のような開けた場所へと辿りついた。
「なんだよ、定位置にいないなんて聞いてないぞぅ…」
「定位置?」
ファルが唸りながら辺りを見回す。
「そう、試験用のモンスターの影がいるはずなんだけど…見当たらないな、うーん…」
どうやらファルが知っているはずの位置に試験用モンスターがいない事で探し出さなくては前に進めないらしい。
「師匠が私の代わりに全部やっちゃったから、試験続行不可になっちゃったんじゃないの?」
「ええ?ぼくのせいなのかなぁ…」
飽き飽きしていた不満をファルにぶつけつつ、二人は辺りに注意を向けるがそれらしき魔の流れは感じることができず、とうとう別行動にて探し始めることにした。
「いい?見つけたらぼくを呼びに来てね?勝手に試験始めちゃだめだよ?」
「えー?私の試験なのにぃ…」
「心配なんだよ、分かってほしいな…それじゃあ頼んだよ?」
ふにゃふにゃと頭を撫でられるのは悪くないもので、ナルはしぶしぶ了解すると辺りを捜索しはじめることにした。
先ほどのモンスターの影はデビルチであり、おそらく次も小さく愛くるしい悪魔の影に違いないと、そう思い込んでいたことこそナルの油断であった。
ぼんやりとした照明の光のなか、ふらふらと彷徨っていると人影が目に留まる。
(あれ、もしかして…?)
そのシルエットに覚えのあるナルはファルに気付かれぬように駆け出すと声を掛けた。
「もしかして、アスター…?」
そこにはゲフェンにて一緒に特別な夜を過ごしたアスターが、ナルの反応に戸惑いの表情を浮かべていた。
冷静に考えればアコライトの転職試験に剣士が紛れ込める道理などないことは分かっていたはずなのに、彼と再会できた喜びと彼である確信をもって声を掛けてしまったのだ。
「…そなた、その魂は…?」
「魂?なにを言ってるの、アスター…?」
一方、誘惑するよりも先手をとったアコライト、彼女のその魂の輝きに剣士の男はなにかを察した。
「ああ、なるほど…そなたが真に求めるもの、それは我ではない…悠久の時を生きるゲフェニアの悪魔だ」
鮮明に蘇るゲフェンでの夜の出来事。
あの時の剣士は間違いなくアスターで、目の前にいる剣士も間違いなくアスターで。
「なに言ってるの…アスターが、ゲフェニアの…?」
「その名が意味することを我は知らぬが…そなたの魂がすべてを真実に導く、それは運命であり必然となろう」
「私の運命?」
声も容姿も、その全てがナルがあの日出会った不思議な剣士であった。
見間違えるはずがない、それほど記憶の中の彼と一致していたのだ。
「だめだナル!下がって!悪魔よ退け!」
しかし発された言葉は全くの別人を示すそれで、それを確かめる間もなくようやく追い付いた師により悪魔は姿を消してしまった。
「アスター…!」
「ナル、今のことは忘れなさい、さあ行くよ」
手を引いて先に進もうとする強引すぎるファルの様子に不信感はつのり、ゲフェンに近づくことを禁止していた兄が隠していた理由に触れてしまえば、暴かずにはいられない。
ナルは心にわだかまりを宿し、不満を抑えることはできなかった。
「…兄さま、私があの日に出会ったのがゲフェニアの悪魔だって知ってたの?」
ファルは口を噤んだまま先へと進むことをやめようとしない。
ナルはそんな兄の手を振りほどこうとすることで振り向かせるに至ったが、空色の瞳は感情を灯さず、ただ冷徹にナルを映していた。
「兄さま!なんで何も言わないの?!」
食ってかかるが相手にしていない様子で、ファルから口を開く気配はまったくなかった。
言葉を選んでいる様子に、また丸め込まれる予感を察し、いまだかつてこんなにも兄への不信感に煽られたことのないナルは衣服をたくし上げ、魔に傾く証である痣を露呈させた。
「ナルっ!?」
突然の行動に驚いたファルを逃すまいと、ナルはひときわ大きく息を吸い口を開く
「私が魔物の子だから、何も言えないの?!」
「ちがう、そうじゃない!!」
試験の洞窟に響くほどのファルの声量は互いに冷静さを目覚めさせるには充分で、息を押し殺すように浅く呼吸を繰り返すナルは身体を震わせていた。
「ちがうって…なにもちがくないじゃない…っ!」
不安に駆られた心は悲しみを宿し、真実を探せと自分を責め立てる。
それは経験したことのない、まったく行き場のない感情でもあった。
涙を浮かばせ震える身体を抱き締める姿はまるで子猫のようで、ファルは出来うる限りの言葉を選ぶと口を開く。
「あの悪魔はナルにとって危険なんだ、それはぼくにとっても同じなんだよ…」
震える唇はうまく返答出来ずにいたが、それでもナルはなんとか頷く事が出来た。
「ナルが彼を選ぶなら、ぼくとは一緒にいられない…そういうことになる」
「えら、ぶ?」
選ぶとはなにを指し示すことなのか、今のナルでは理解は出来なかった。
それでもファルからの試験をとにかく終えようという案を飲み込むと、ナルはとうとうプリーストとなるに至り、そして二人は渦中の魔法都市へと向かうことにしたのだった。
宿を取るころにはすっかり魔法都市は夕日に照らされ、二人は早めの夕食をとるべく近くのレストランへと足を向けていた。
店内でも特に落ち着ける個室をえらぶあたり、ファルの細かい気遣いを感じる。
(大事な話をするって言ってた…)
先刻の疑惑を生んだ大聖堂を後にするさい、ファルはすべてを打ち明けると宣言しナルをゲフェンへと連れ立ってきたのだ。
(アスターの事、きっとなにか知ってて…私にも関係すること…)
ゆらゆらと揺れる思考は、まるで泡のように浮かんでは消えを繰り返す。
ぼんやりとしていると好みを熟知しているファルがあっという間に注文を終え、ナルはその様子を眺めていた。
(私がアスターを選んだら、もう兄さまとは一緒にはいられない…)
まるで呪いのような言葉だった。
それは突き付けられた死刑宣告のようなもので、ナルはただ不安そうにファルの顔色を窺う。
「ん、どうしたの?」
いつも通りの笑顔、いつも通りの声色。
結局、場の流れはファルにあることに観念し、ナルは不満そうながらようやく訪れた機を逃すまいと口を開く。
「…師匠が言ってた選ぶって、どういうこと?」
「おや、せっかちさんだね?」
飄々とした態度にはぐらかしの予感を感じ、ナルは咳払いをしてから先手を打つ。
「ねえ、お兄ちゃんは私になにを隠しているの?」
甘い声と舌足らずな喋り方をすると、お堅い兄が仕方なく願いを聞き届けてくれることを、ナルは幼い頃からよく知っていた。
極めつけに幼少時の呼び方をすれば効果は抜群で、案の定、目を細めながら小さく唸るファルは打ち明ける決意をしてくれた様子だった。
「まずナルがアコライト転職の夜に会ったという剣士、アスターと言ったね?」
「うん、アスターがどうしたの?」
見るからに呼吸も早まり落ち着きない声色となる様子は、まるでおあずけをされる犬のようでファルは改めて確信する。
「おそらくナルの魂の持ち主なんだ、その彼は」
「!!」
あまりに衝撃的な言葉にナルは息を飲んだ。
(アスターが私の魂の持ち主…!)
それは例えるなら、まるで恋にでも落ちたような衝撃だった。
ずっと不可解であった気持ちは正体を明かし、疑いようのない真実は心の鎖をようやく外してくれたような感覚だった。
次の言葉を今かと待ち続けるナルの様子に、ファルは気乗りしないながらも言葉を続ける。
「魂の持ち主というのは、彼はナルの絶対支配者を示すんだ」
「支配者…?」
「うん、ナルは彼の眷族であるってことなんだけど、わかるかな…」
突然降って沸いた聞き慣れない言葉達に翻弄されるが、それでもナルはなんとか頷いてみせる。
「彼が魅力的に写るのは魂の主なんだから当然なのさ…ただ、それだと過去の二の舞なんだよ…」
「…過去?」
ナルの問いにファルは頷く。
「前世から続く呪縛だよ、まぁ…今の未来を選択したのはナルなんだけどね…」
ちょうど運ばれてきた料理のお陰でナルも考えを整理する時間となり、去来する思いの波に心を預ける。
(私が、アスターの…)
ファルの言うとおりだとすれば、前世の自分は悪魔の眷族であり、今生でもそうなるように生まれ変わったことになる。
にわかに信じ難い話であるが、アスターと出会った夜に感じた異変はたしかに尋常ではなかった。
(あれがやっぱり魂が引き寄せられたっていう、そういう事だったんだ…)
配膳を済ませた店員が退室したのを見届け、ナルは新たにファルに問う。
「アスターのことは分かった…でもなんで、師匠はそんなことを知ってるの?」
すべてをひっくるめて、ナルにとっていちばんの疑問を投げ掛けとファルは苦笑し、酒の空いたグラスをテーブルにそっと置く。
「それはもちろん前世でもナルの側にいたし、今のようにずっと守っていたからだよ」
今まで見せたことのない色っぽい声色でそう告げると、ファルは視線を料理に落とす。
「ナルにまた会う為に、ぼくも色々したんだ」
「色々って?」
「そうだねぇ…冥府の王のお世話をしたって言ったら、信じてくれるかい?」
「冥府の王って、死の神様?」
「そうそう、ヘル様に随分とお仕えしたんだよ」
心底参ったような表情を浮かべてこそいるが嘘を言っているようにも見えず、ただ話を信じるにはあまりに現実離れしている内容にナルは眉をひそめる。
たとえ信じられないと言ったところで、合いの子と呼ばれる自分も理解されない存在。
それを加味すればファルの言葉は信頼に値するもので、たとえ嘘だとしてもナルにとっては些細な問題であった。
それよりもと気になった部分に心の目を向け、これが最後の質問になるよう言葉を選ぶ。
「それで師匠と私、前世ではどんな関係だったの?」
「おっと、…本当に知りたいの?」
ファルの目の色が変わったのを見逃すほど鈍感ではなく、ナルはつよく頷き返す。
「魂の持ち主の話より、ぼくとしては重要なんだけど…本当に知りたいのかい?」
「そんなに言われたら気になっちゃうよ、教えて!」
「ふふ、よろしい…それでは…」
逸るナルの手を握りしめ、ファルは穏やかな瞳に愛弟子を映す。
感慨深い瞳の色香に、この一瞬を目に焼き付けようとしているようにも見え、ナルはその手を握り返した。
「師弟であり夫婦でもあり、とてもつよい絆で繋がっていた関係だよ」
「夫婦って…!」
「ああ、そこに関しては偽装夫婦だと思ってくれれば…」
夫婦という単語に驚きつつも事情を聞けば納得のできる内容で、それよりナルにとって師弟であったことは素直に納得できた、なぜならそれは。
「だから…転職したら師匠って呼んでって、あんなに何回もしつこく言ったの?」
「ん、そうだっけ?ぼく、そんなに言ったかなぁ…?」
「言ったよ!呼び間違ったら返事しないまで言った!」
「そうだったかなぁ?」
ファルはとぼけると料理を分け終えた皿を差し出し、ナルの頭を優しく撫でてやる。
ふにゃふにゃと不満を述べながらまんざらでもない様子を浮かべる姿は、野良猫のようだった。
「さあ食べよう、話はまたそれから、ね?」
その後、ファルは順を追って過去生でのことを話してくれた。
そのなかで今の自分は過去を思い出すことは出来ないこと。
アスターと名乗った悪魔は、今も自分に固執しているだろうということを知った。
(いや、でも…そんな…いきなりすぎて…)
そして食事を終える間際、ファルから伝えられたのは前世からずっと想い慕っているという話。
「ずっとナルを想ってる、たとえ運命に引き裂かれたとしてもね」
まるで嘘みたいな恋物語から飛び出した告白を向けられることが、こんなにも重く苦しいものである事をナルはようやく受け止めた。
そのせいで店を出る頃にはすっかりファルを異性として意識する自分と、幼き日から育ててくれた兄を敬愛する自分、そして頼れる退魔師として慕う自分がおり、心はとても不安定となり、ふらつく足は歩くのが精一杯だし、前を歩くファルの背中にぶつかるという失態をする始末。
「ちょっと…ナル、どうしたの?」
「や、あ…なんでもない、よっ」
「ふふ、色々あったからね…今日はきっと疲れてるんだよ」
目の端に皺を作りながら笑う兄は、やっぱりいつもの兄だった。
今日の日を迎えるまで、ずっと秘密を明かさず自分を守り続けてきたファルとの絆は、彼が言う前世よりも意味をもつことをナルは感じていた。
宿屋へ戻り、用意された部屋に足を踏み入れた途端、二人きりであることを認識した意志はとたんに身体をぎこちなくさせる。
二人きりの空間はなぜか居心地が悪く、ナルは自然にファルから離れるように壁に背中を預けてうつむくとため息をもらす。
「大丈夫かい?」
普段からは考えられない様子を心配したファルは、ナルの前に跪くと額に手を伸ばす。
「や、やだ…!」
思わず振りほどいてしまったが、熱でもありはしないかと案じてくれていることは分かっていた。
それでもファルの顔すら見れず、ナルは手で顔を覆うとちいさくごめんなさいとつぶやくのが精いっぱいだった。
「ふふ…これはダメそうだ、すこしお話しようか?」
「う、うん…」
そのままではさすがにとソファに腰掛けるように促され、ナルは素直にそのまま従うと向かいに座ったファルから視線を逸らそうと意識する。
それを見たファルは苦笑し、穏やかないつもの声色で声を掛けた。
「ぼくが好きだなんて仄めかしたから、居心地悪くなってしまったんだね、ごめんよ」
「ち、ちがうの!」
反射的に否定したが、やはり体は正直なものでナルは視線を上げることすらできず、自分の頬が紅潮してゆく様を感じていた。
まるで見透かしたようにファルは笑い声をあげ、視線をあわせることもできない弟子を愛らしく思っていた。
「ふふ!でもぼくの気持ちに答える義務はないとも言ったよ、安心して?」
「で、でも…前は…その…夫婦だったなんて…」
どうにもそれが最大の足枷のようで、関係性の名前でしばるつもりのないファルはふたたび苦笑する。
別に夫婦でもなくとも師弟でなくたっていい、ただ、今生ではせめてナルには人間らしく生きてほしかった。
ナルが自然の摂理に導かれる、それだけを傍らで導き、守りたい。
それがファルにとっての幸せであり願いでもあることを、今のナルはまだ理解するに至っていないことは分かっていた。
「ぼくとも夫婦でいたけれど、ナルはゲフェニアの悪魔とも夫婦のような関係だったんだよ?」
「う、考え…られない…」
「だから関係の名称なんて都合のいいことに縛られてはいけないんだよ、わかるかい?」
問い掛けに肩をすくめる様子は、やはり理解するのに難しいことを示している。
「前は前、今は今…そうでしょう?」
「う、うん…」
人生の岐路に迷う姿は前世の再来のようで揺さぶられるものはあるものの、すっかり怯えてしまった弟子の姿はいかんともしがたい。
(そりゃあ、ぼくに傾いてくれたら喜んで受け入れるけどさ…)
彼女を妹として受け入れることを決意したとき、恐らく過去生のような奇跡は起きないだろうこと、またそのような関係にはなれないだろうことをファルはすでに受け入れていた。
これも冥府王の導きなのだろうと思えば胃が痛くなるものの、いちばん傍にいられる特等席は代え難いものだとファルは思う。
「ナルの運命はナルが決めればいい、誰も責めたりしないんだからね?」
「……」
言葉に詰まるナルを見て、ファルは気乗りしないがひとつの選択肢を与えるべく、優しく問い掛けをはじめることにした。
「なるほど、どうしてもぼくが信じられないみたいだね?」
「ご、ごめんなさい…」
ふにゃふにゃと縮こまる姿は前世の彼女を思い起こさせ、どこか懐かしい。
ファルは弟子の謝罪を笑い飛ばすと、空色の瞳を輝かせる。
「謝らなくたっていいよ、それじゃあナルの魂を試してみようか」
「試す?」
「そう、ぼくはアイツに負けるつもりないし、これからもナルのいちばんで在り続ける自信があるからね」
「な、なんの話…?」
ナルが首をかしげたところで、ファルは大きな賭けに出る。
「つまり推奨する気はないけどアスターにまた会ってみたらどうかな、ナルがいま感じている何かがすこし変わるかもしれないよ?」