2007年4月期・「華麗なる一族」関連受賞項目 補足

華麗なる「将軍の一族」


 「TBSが日9で『華麗なる一族』をやる」と発表された時、ラズスレ住人の中に「これは久々の大物来るか?」と思ったものも多かった。

 この枠での「金をかけた」「壮大な」「重厚な」ドラマはかつての逃亡者・輪舞曲を思い起こさせる上、主役となる万俵鉄平にキャスティングされた木村拓哉氏を中心にしたいわゆる『キムタクドラマ』を山崎豊子原作の有名テキストで行うことに対する違和感もそれに拍車をかけた。

 だが、放送が始まって我々が目にしたものは、そんな既存の概念を遥かに超越したネタ爆弾の数々だった。

 「華麗なる一族」という物語には欠かせない「万俵敬介」の肖像画である。

 話の展開上、敬介と鉄平は親子関係を疑われる存在でなければならないが、あまりにも似過ぎであり目立ち過ぎである。
 これでは家族はもちろん「鉄平」本人も気付くに違いない。

 ドラマ開始後すぐに「この肖像画の前で同じ方を向き、木村が敬愛する白洲次郎ばりにこしかける鉄平」の演出があり、スマスマコントを彷彿とさせる印象に拍車をかけた。

 制作者が語ったところ、「老けた木村のイメージ」でTBSの法廷画家に依頼したとのこと。

 「将軍」である。

 最初に断っておくが、静止画像ではその魅力を1%も伝えられないのがもどかしい。

 スタッフがネットで見つけて来たという(左上画像)鯉型ロボット。

 「鯉というにはあまりにも巨大な」と原作中に描写される黄金の鯉を再現するため、わざわざスタッフが1m級の鯉を本当に「釣ってきて」型を取り作成された。(左中画像)

 「一目見て本物以上の迫力に興奮した(石丸P)」と言わしめる存在ではあるが、よせばいいのにアップのシーンを延々と流したことと、いかにも不自然な・いつ止まるかわからないヨタヨタぶりがにせもの感をいや増す結果となり、人々の心を一気に鷲掴みした。

 その後も続く出演、世間やメディアまでをも巻きこんだ世評、徐々に明らかになる「キャスト扱い」「降板表」(左下画像)などのスタッフの思い入れなどから住人もますますヒートアップ。
 やがて「『将軍』に助演男優賞を!!」と真面目に訴える意見が続出した。

 非人間どころか非生物でもある「将軍」への『助演男優賞』に関しては異論も多かったが、最終的には華麗なる一族・最終回エンディングでのスタッフロールにおいて、『将軍』の死(通称:ぷか〜)でドラマを締めたこと(下画像)が決め手となり、助演男優賞はおろか数々の賞を獲得する原動力にもなった。

 これがために「『華麗なる一族』というドラマは、結局『将軍』に始まり『将軍』に終わるドラマだったんじゃないか」と語られている。

 なお、『将軍』が「鉄平に石を投げつけられる」・「鉄平の死と、万俵家の今後を暗示する形で死ぬ」という描写は今作オリジナルのもの。

 左画像は第三話、やはり華麗なる一族では外せない「猟銃」で「猪」を「狩猟」するシーン。

 「猪」は本物を使用しているのだが、そこは野性味溢れ思い通りにならないのが猪で、撮影は鎖を繋いだ状態、かつ撃たれて倒れるシーンはCGによる合成。
 仕方ないのかもしれないがその挙動は余りに不振でCGもチープさが満開だった。

 放映終了後Youtubeに件のシーンがアップされ、当然のようにスレ住人は盛り上がったのだが、その動画は数時間後に即効で削除された。

 撮影時に「本当に」猪が暴れ出して、スタッフがてんてこ舞いしたという逸話も残っている。

今回のビックリどっきりメカ                びゅーん
         //  /彡        ヽヽ
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             ヽ 三     , ‐'´ 三  
____    __ ヽ 三| /  三   _____
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           ̄` / ミ      /  ̄フ二二二二二‐ ̄
           /  ミ‐-、_ 二-‐´`ー'ニニニ二 ̄
       ! l  〈   ミ   ヾ ̄`ー∈      ̄
       ヽヽ ヾミ     `ー  ノノ  
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 CG製の「雉」まで登場し、それを受けて作られたAA。(画像募集)

 一目でその安っぽさが際立つ香ばしさであった。

 これら以外でも、ヤマザキパンとのコラボ(「カレーパン→華麗パン」発売)に代表される意味不明な企画・アイデアを導入し喜ぶプロデューサー、それを受けて「どうみても戦前にしか見えない街並み・時代考証やあきらかに「はめこみました」感のある高炉や新幹線の窓のCG」などなにかが違う・変な方向に行く造形・美術、最終的にできあがったもの・撮影したものにダメを出さなかった演出の図式はこのドラマに終始一貫流れていた。

 以上のように、やたらにこだわった小道具・大舞台・動物・CG・美術・造形などが却って安物感・違和感を増大してしまった結果について、

「金の使い方を、壮大なスケールで間違えている」
「なんで誰も止めなかったんだ」
「あいつらが出てくると、時間が止まったような異空間にいる感覚に陥る」
「こっちのほうが動物奇想天外じゃねぇか」
「合体してスーパーロボットになっても、俺は驚かない」

などと語られていた。


 以下は、メディアに答えた関係者および著名人のコメント。

  • 「コイをこれほどきちんと描いてくれたことはない」(原作者・山崎豊子)
  • 「お前『将軍』」(最終回放映前日「スマステーション」内で、『また華麗なる一族をやるとしたら』という話題に、香取に対して言った木村の一言)
  • 「万俵家の邸宅などを当時の規格で作ってしまうと、現代の感覚ではどうしてもこぢんまりしてしまう。郷愁ではなく、イキイキとした昭和40年代を表現するために、あえて時代考証とは合わない規格を使わざるを得なかった」(美術P・青木ゆかり)
  • 「もちろん狙ったものではないです(苦笑)視聴者の目線が高くなった分、これまでの感覚なら及第点な手作りのセットや小道具などが、かえって目立つ結果になったのかも知れません」(企画担当・瀬戸口P)
  • 「万俵家を中心としたあの世界観は、みな『おしゃレトロ』に映る」(マーケティングコンサルタント・西川りゅうじん)


引用画像レス番号、敬称等略