キログラム
キログラム kilogram |
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国際キログラム原器 (CG画) |
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記号 | kg |
度量衡 | メートル法 |
系 | 国際単位系 (SI) |
種類 | 基本単位 |
量 | 質量 |
定義 | 国際キログラム原器の質量 |
由来 | 最大密度温度での1 Lの水の質量 |
語源 | ラテン語 gramma(書かれた物、わずかな重量) |
キログラム(瓩、記号:kg)は、国際単位系 (SI) における質量の基本単位である。国際キログラムともいう。
グラムはキログラムの1,000分の1として定義される。またメートル系トンはキログラムの1,000倍(1メガグラム)に等しいと定義される。
単位のkは小文字で書く(詳細はキロを参照)
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定義 [編集]
1キログラムの現在の定義は、「国際キログラム原器の質量」である。SIにおいて、今なお普遍的な物理量ではなく人工物に基づいて値が定義されているのはキログラムだけである。また、基本単位に接頭辞がついているのもキログラムだけである。
当初の定義 [編集]
1キログラムの当初の定義は「水1リットルの質量」である。当初案の定義では、「大気圧下で氷の溶けつつある温度(すなわち0度)における水」となっていたが、その後、水の体積は温度依存することが分かり、結果として定義は、1790年に「最大密度(=液温摂氏4度)における蒸留水1立方デシメートル(1リットル)の質量」と定義された。しかし、水の密度は気圧と温度に影響され、気圧にはその因子に質量が含まれている。すなわちこのキログラムの定義には循環依存が含まれていることになる。
現在の定義 [編集]
この問題を避けるため、キログラムは特定の温度・気圧における空気の溶けていない状態での蒸留水の質量として再定義された。1889年、キログラムは「国際キログラム原器の質量」と定義された。国際キログラム原器は1キログラムの質量を示すものとして1870年代に作成されたものであるが、これがキログラムの定義に使用されることとなった。
国際キログラム原器は直径・高さともに39mmの円柱形の、プラチナ(白金)90%、イリジウム10%からなる合金製の金属塊。フランス・パリ郊外セーヴルの国際度量衡局に、二重の気密容器で真空中に保護された状態で保管されている。国際キログラム原器の質量は“Le Grand Kilo”(ル・グラン・キロ)と呼ばれる。
国際キログラム原器を元に40個の複製が作られて各国に配布・保管されており、約10年ごとに特殊な天秤を用いて国際キログラム原器と比較されることになっている。1889年に日本には複製のうち6番が原器として配布され、1890年に到着。日本国内ではこの6番を「日本国キログラム原器」としてキログラムの基準に使用している。なお、30番と39番も副原器として日本に配布され、39番は1947年に韓国に譲渡しており、1963年にE59番を新造している[1]。現在、副原器を含めた3器は茨城県つくば市の独立行政法人産業技術総合研究所に保管されている。日本国キログラム原器は国際キログラム原器に比べて0.170mg重いことが分かっている。
国際キログラム原器の質量は、表面吸着などの影響により年々増加しており、その量は年に0.1µg程度と見られている。1980年代に42年ぶりに国際キログラム原器の洗浄が行われたが、これにより国際キログラム原器の質量は約60µg減少した。これは1キログラムの6×10−8倍に当たるので、現行の国際キログラム原器による定義の精度は8桁程度ということになる。
2007年9月、国際キログラム原器が50µg軽くなっている事が判明した。“50µg”とは指紋が付いた分に相当するという。同時に作られた複製品には異常がなく、また厳重保管されているのに、なぜこのような状態になったかは未だに不明。
普遍的な物理量による定義へ [編集]
他のSI基本単位は普遍的な物理量に基づく定義に改められているのに対し、キログラムだけが人工物に依存する単位として残ってしまった。人工物によ る定義では、経年変化により値が変化し、また、焼損や紛失のおそれもある。1970年代から、普遍的な物理量によるキログラムの定義が検討されてきた。
現在の定義に変わる新しい定義の候補として、アボガドロ定数やプランク定数などを用いた各種の提案がある。
その中で最も有力なのが、一定個数のケイ素 (Si) 原子の質量をキログラムとするという原子質量標準である。アボガドロ定数の値をより正確に求めることができれば、そこからケイ素1キログラムに含まれるケイ素原子の数を決定することができる。ケイ素が採用されたのは、ケイ素が不純物を含まない単結晶を作りやすいからである。現在、国際度量衡委員会 (CIPM) が中心となって、各国の研究機関でケイ素を用いてアボガドロ定数の不確かさを少しでも小さくするための研究が行われている。
現在のアボガドロ定数の値 NA = 6.022 141 29(27)×1023 mol-1(CODATA2010年推奨値。括弧内は標準不確かさ)には、8桁目に不確かさがある。現行の定義による精度は8桁なので、あと1桁精度を上げることができれば、キログラムの定義を原子質量標準に置き換えることに意味が出てくる。
他には以下のような提案がある。
- 静止エネルギーと質量の関係式 E=mc² を用いて、ある振動数 ν の光子のエネルギー (E = hν) と等しい静止エネルギーを持つ物体の質量を1キログラムと定義する。
- かつてプランク定数とキログラムを関連づけることでアンペアを定義するのに用いられたワット天秤を用いて定義する。
- 超伝導コイルで発生する磁場で超伝導体を浮揚することによってキログラムと電気量とを関連づけ、コイルに流れる電流により定義する。
- ジョセフソン定数 (KJ≡4.835 978 70(11)×1014 Hz/V) とフォン・クリッツィング定数 (RK≡2.581 280 744 34(84)×104Ω) を用いて定義する。すなわち、真空中に1メートルの間隔で平行に置かれた無限に小さい円形の断面を有する無限に長い2本の直線状導体のそれぞれに、1秒あたり6.241 509 629 152 65×1018の電荷による直流の電流が流れるとき、導体に2×10-7m/s²の加速度が生じたときの、その導体の1メートルあたりの質量を1キログラムと定義する。
- 金の原子を蓄積し、それを中性化するのに必要な電流によって定義する。
グラムとキログラム [編集]
グラム(gram, gramme, 記号:g)は質量の単位であり、SIにおいてはキログラムの1,000分の1 (10-3 kg) と定義されている。「キログラム」は、明らかにグラムに接頭辞キロをつけたものである。しかし、SIにおいては、グラムではなくキログラムが基本単位となっており、グラムはその分量単位の一つとされている。
グラムではなくキログラムがSI基本単位とされたのには、以下のような経緯がある。
フランスにおいて1790年当時フランス王ルイ16世の号令の元、新しい時代の度量衡としてメートル法を策定すべく、主に科学者達で構成された委員 会が結成された。当時その委員会において、質量単位のモデルとして1メートルの10分の1で構成された立方体の升に入った水の質量、すなわち1リットルの 大気圧下で氷の溶けつつある温度(0度)における水について、grave(グラーブ、記号G)と名称が与えられた質量単位を標準とする事が提案された。そ の語源はgravity(重力)から由来したものである。
当初はこのgrave(グラーブ)が質量の基本単位として原器が作られる予定であった。またこれを元として、1graveの1,000分の1を別の 質量単位名でgramme(グラム)ないしgravet(グラベト)、また1graveの1,000倍を別の質量単位名を用いてtonne(トン)ないし bar(バー)と称するように名称が考案されたりもした。そしてやがて来るフランス革命の波に襲われ、科学者達の研究は途中で中断するのだが、その後、新 しい革命政府が樹立されると再びメートル法が注目されるようになった。しかしそのフランス革命の後、質量の単位は大きな転機を迎える事となる。
1795年の(暫定)メートル法制定当初、革命後の共和政府が当初の質量の基本単位をgrave(グラーブ)から、その1,000分の1を表す gramme(グラム)へと変更したのである。理由は諸説あるが、有力な説の一つとして、1graveという大きさの質量が当時、メートル法以前の昔から 使われてきたいくつかの質量の旧単位と比較しても、大きな単位であるということがある。その為フランスの科学者達は、グラーブは日常的に使う質量単位とし ては大き過ぎるであろうと危惧し、フランス共和政府と共に、質量の基本単位は1グラーブの1,000分の1である1グラムを質量標準として使用すべきであ ると決定したという説があるが、真相は定かではない。
しかしながら質量標準を1グラムとすると非常に使い勝手が悪く、とりわけ1グラムを定義した原器を作るにはあまりにも小さすぎた。そこで共和政府は 基本単位とした1グラムの1,000倍、即ち当初の予定通り1graveの質量原器を作る事を決めた訳であるが、その名称が使われる事はなくグラムの 1,000倍を表す為に接頭辞のキロ (k) をつけた名称、"キログラム (kg)"の名前を冠した原器を作る事と決めた。これはあくまでも質量の基本単位をグラムにした事に起因する。こうして当初の質量単位grave(グラー ブ)の名称は姿を消すのである。
これが後の1799年に作成された"確定キログラム原器"となった。こうしてメートル法制 定当初、長さの単位をm(メートル)、質量の単位をg(グラム)とした基本単位が出来上がった。しかし、メートルとグラムとではその規模が異なる。すなわ ち、グラムで量られる質量を持つものはセンチメートル台の大きさであることが多く、逆にメートルで測られる大きさを持つものはキログラム台の質量を持つこ とが多い。そのため、メートルの代わりにセンチメートルを採用し、センチメートル・グラム・秒を基本単位とする単位系が構築されるようになった。これがCGS単位系である。
しかし、電磁気学の発展に伴い、CGS単位系では不都合が生じるようになった。CGS単位系を元に電磁気学の単位を作ると、値が大きくなってしま う。これは、電磁気学の現象を記述するには、センチメートル・グラムでは小さすぎるということである。そのため、科学で使われる単位系の主流はメートル・ キログラム・秒を基本単位とするMKS単位系へと移行した。また上記に記された1889年のキログラムの新定義により、それ以降のメートル法において質量の基本単位としての礎を築いた。MKS単位系を更に発展させた国際単位系 (SI) においても、キログラムが基本単位として引き継がれている。
キログラムの分量・倍量単位の接頭辞は、キログラムではなくグラムを基準にしてつけられる。これは、SIでは二重に接頭辞をつけることを禁じている ためである。そこで、キログラムを基準として接頭辞がつけられるように、キログラムに代わる新たな単位名称をつけようという提案が何度かなされている。 quilo(記号:q)やkilon(記号:k)といったものが提案されているが、正式に議論にかけられたものは、現時点ではない。
重量との関係 [編集]
最近は重量を示す単位の変遷期と言える。ある物体の重さが単に「キログラム」で示されたとき、それが「キログラム」(kg)で与えられるているのか重量キログラム(kgf, kgw, キログラム重)で与えられているのか、そこには10倍程度の差が生じるがそれが重要な場合は確認が必要である。 地球表面(の特定の場所)において1キログラムの質量を持つ物体には約9.80665ニュートン(力のSI単位)の重力が働く。980.665 cm/s²(この値が定義されたときはCGS単位系が主として使われていた)という値は、グラム重を定義するために第3回国際度量衡総会 (CGPM) で定められた協定値であるということに注意する必要がある。重力加速度は緯度や高度、場所によって異なるので、この値が定められるまではグラム重という単位は値が不明確な単位であった。
分量・倍量単位 [編集]
接頭辞は歴史的な理由により、キログラムではなくグラムに対してつけられる。例えば1キログラムの100万分の1の質量は、1「マイクロキログラム」ではなく1ミリグラム(1,000分の1グラム)となる。
キログラムの1,000倍の質量は、本来ならば1メガグラムと呼ばなければならないが、この名前が用いられることはなく一般にはトンが使われる。さらにはトンの倍量単位に対し、トンにSI接頭辞が付されることも多い。(とくにキロトン(kt)やメガトン(Mt))。他に、マイクログラムもよく用いられる。マイクログラムは「µg」と書くのが正しいが、「µ」の文字を表示できない場合に「ug」と書かれることもある[2]。
- ヨタグラム(Yg) -- 1024 g (1021 kg, 1018t(1 Et))
- ゼタグラム(Zg) -- 1021 g (1018 kg, 1015t(1 Pt))
- エクサグラム(Eg) -- 1018 g (1015 kg, 1012t(1 Tt))
- ペタグラム(Pg) -- 1015 g (1012 kg, 109t(1 Gt))
- テラグラム(Tg) -- 1012 g (109 kg, 106t(1 Mt))
- ギガグラム(Gg) -- 109 g (106 kg, 103t(1kt))
- メガグラム(Mg) -- 106 g (103 kg, 1t)
- キログラム(kg) -- 103 g (1 kg)
- グラム(g) -- 100 g (10-3 kg)
- センチグラム(cg) -- 10-2 g (10-5 kg)
- ミリグラム(mg) -- 10-3 g (10-6 kg)
- 1立方ミリメートルの水の質量は1ミリグラムである。
- 砂粒はだいたい1ミリグラム程度である。
- マイクログラム(µg) (mcg)-- 10-6 g (10-9 kg)
- ナノグラム(ng) -- 10-9 g (10-12 kg)
- ピコグラム(pg) -- 10-12 g (10-15 kg)
- フェムトグラム(fg) -- 10-15 g (10-18 kg)
- アトグラム(ag) -- 10-18 g (10-21 kg)
- ゼプトグラム(zg) -- 10-21 g (10-24 kg)
- ヨクトグラム(yg) -- 10-24 g (10-27 kg)
表記 [編集]
漢字ではグラムが「瓦蘭姆」と音訳され、ここから「瓦」一字だけでグラムの意味を表すようになった。日本では明治時代、中央気象台(現気象庁) が「瓦」をその中に含む以下のような倍量・分量単位の漢字を作り、1891年から各気象台で気象観測の月報などに使用して、一般にも広まった(第二次大戦 中に敵性語を使わないようにするために作られた、と書いている書物もあるが、これは誤りである。メートル法はフランス起源であるから、大戦末期(明号作戦以降)を除いて敵性扱いされることもあり得ない)。一部は中国でも取り入れられている。
- マイクログラム(µg) -- {瓦少}
- ミリグラム(mg) -- 瓱
- センチグラム(cg) -- 甅
- デシグラム(dg) -- 瓰
- デカグラム(dag) -- 瓧
- ヘクトグラム(hg) -- 瓸
- キログラム(kg) -- 瓩(中国では、日本と独立にキロワットの意味の文字として作られている)
- ミリアグラム(104 g) -- {瓦万}
- トン(t, 103 kg) -- 瓲 (略して 屯 とも表記される)
注釈、出典 [編集]
- ^ “計量のはなし…《質量・キログラム・㎏》編 (PDF)”. 秋田県計量検定所. 2010年6月7日閲覧。
- ^ 京都精華大学環境ソリューション研究機構 環境キーワード:マイクロ
関連項目 [編集]
外部リンク [編集]
- BIPM - International prototype of the kilogram - 国際度量衡局の国際キログラム原器に関するWebページ
キログラム (SI単位) |
グレーン | 常用オンス | 常用ポンド | 匁 | 斤 | 貫 | |
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1 kg | = 1 | ~= 15432 | ~= 35.274 | ~= 2.2046 | ~= 266.67 | ~= 1.6667 | ~= 0.26667 |
1 gr | = 0.00006479891 | = 1 | ~= 0.0022857 | ~= 0.00014285 | ~= 0.0172797 | ~= 0.000107998 | ~= 0.0000172797 |
1 oz | = 0.028349523125 | = 437.5 | = 1 | = 0.0625 | ~= 7.5599 | ~= 0.047249 | ~= 0.0075599 |
1 lb | = 0.45359237 | = 7000 | = 16 | = 1 | ~= 120.96 | ~= 0.75599 | ~= 0.12096 |
1 匁 | = 0.00375 | ~= 57.871 | ~= 0.13228 | ~= 0.082673 | = 1 | = 0.00625 | = 0.001 |
1 斤 | = 0.6 | ~= 9259.4 | ~= 21.164 | ~= 1.3228 | = 160 | = 1 | = 0.16 |
1 貫 | = 3.75 | ~= 57871 | ~= 132.28 | ~= 8.2673 | = 1000 | = 6.25 | = 1 |
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