Ludwig

ルートヴィッヒ

厳格、堅物、そんな言葉を体現したかのように伝統と規律を重んじる―それがルートヴィッヒという男である。体格も良くまた雰囲気からして厳めしい様は警察官という職業に就かなければ、どこかのマフィアに雇われそうな程であるものの、融通の利かない律儀で頑なな性質を鑑みれば、現在天職に就いていると言っても過言では無いだろう。警察大学へ在籍しながらも実戦を積みたいと所謂制服組とも肩を並べ現場へと出てきた彼を冷やかし半分揶揄い半分といった具合に見ていた人間すらも、襟も折らずネクタイも緩める事無くマニュアル通りに着こなし、飽く迄もルールに忠実であろうとする其の変わらずな態度に呆れ半分、感心半分へ意見を変える程。まるで旧制ドイツ人を絵に描いたかのような態度と優秀な成績から将来を有望視されているものの、曲がらない態度に上層部からは扱いにくいとのコメントも。性格を裏切らぬ相貌から年上に見られがちではあるものの、それは平常時のみ。一滴ビールを口に含めば忽ちにただの酒飲みへと変貌してしまう程のビール党で、普段の理性ある彼はどこへやら飲んで飲んで只管に飲むという、不器用にも程があるストレス発散方法を持っているその姿は、ある意味で年相応と言えなくもないだろうか。そんな彼が引き寄せるのか引き寄せられるのか―幸か不幸かどうにも周りには"振り回すタイプ"の人間が多く、案外苦労人である事は知る人ぞ知る事であり、第一印象からは想像し難いがそれなりに面倒見も人付き合いも良い事が伺えるだろう。ただ、心を開くにそれなりの時間を要するのは、妙なところで生真面目で照れ屋という手間のかかる面を持っている故か。