※SUGARのIFで、もし早い段階で大野さんに自覚あったらの話
きみとおれが、放課後のわずかな時間を共有するようになってだいぶ経った。
でも、その小さな手で、おれを揺りおこしてくれるのが日常的になり、それで目を覚ますおれを満面の笑みで返してくれるきみを、これからもなくしたくないって思ったのは、いつからだった?
気づかないんですよね、先輩、と、休みの日おれの部屋に入り浸ってゲームするのが日課になっているニノが言った。おれのベッドを陣取りながら。おれは回転式のいすに座りながらハテナを浮かべる。
「??さんはすごく気配りのできる子だと思うけど」
「や、気配りはできますよすごく。じゃなくて、あの方鈍いじゃない?俺ね、先輩のこと、すきなんで、かなりアピールしてるつもりなんですけど、ぜんっぜんわかってないみたいなんですよねー」
「・・・、・・・ニノ、そーだったんだ」
「あなたも鈍かったですねそういえば。俺にとっちゃラッキーですけど」
「あんなぁ。――おれだって、さんのこと、すきなんだからな」
「なんだビンゴか。へえ、自分の気持ちには敏感だったんだ?まぁそうですよね、家族と俺以外じゃ起こせないあなたを、先輩はいとも簡単に起こしてみせたんですもんね」
ニノはDSに張りついたまま、おれの考えてることぜんぶが透けてるみたいに言う。昔からそうだ。おれのことは筒抜けだ。ニノの考えてることは、ニノから打ち明けられないとけっしてわからないけど。
「俺、これから本気出しますよ」
「・・・わざわざ、教えてくれんの?」
「たぶん俺負けないので、すこーしハンデあげてもいいかなと。俺優しいですから」
ぱこん、とDSのふたを閉じてニノが立ち上がる。帰んの、と聞くと、そーします、とニノは言った。
「ほら、明日から早起きしないとなんで。さんの家、俺の家から近いけど」
「まてっおま、お前の家から近いってことはおれとも近いってことだかんな!となりなんだからなおれら!」
「そうでしたねー。じゃーね」
階下におりてどーもおじゃましました、と母ちゃんに挨拶して出て行くニノ。さとしー、ニノちゃん帰るわよーーと下から聞こえるがおれはそんな余裕などない。ニノはきっと万人を落とすあの笑みで去っていったのだろう。あーーー朝とか!目覚まし何時にすればいいんだよ!!
きみと夕日が見たいのだ
(大野さん告白するとこまでもってこうと思ったけどここまで。誰エンドでもない / 121228 あい子)
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