できる後輩・二宮くんがここのところアイドルビームを出しすぎだと思う。もはや王子様級だ。
わたしはそんな彼にくらくらきちゃうのだけれど、わたしなんかに出してもったいない!と思ってしまうので、ちょっとうれしい悩みができた感じである。女の子の視線が心なしか痛くなってきてるけど。


「せんぱーい」
「あっ二宮くん」
「ん?また大野先輩いないんですね」
「そうなの。自分で起きて帰ったみたい」
「えー。そんなことできんだあの人」
「ふはは、二宮くんってば」
「そうじゃないですかだって?」
「だねー」


実はこの一週間大野くんを起こしていなかった。大野くんが教室で眠らなくなったのだ。なにかあったのかと思うけど、毎日学校には来ているのでそういうわけでもなさそうだった。尋ねるのもなと考えてわたしは大野くんの行動の理由を知らずにいた。きらわれたのかなぁ、と二宮くんに相談したことがあったのだけど、それはないんじゃないですか、と言われたので、深く考えることをやめたのだ。大野くんと昔馴染みの二宮くんに言われたことなら信じようと思った。


ひさびさに今日は生徒会室に行く前まで大野くんは教室で寝ていたので、いるかな、と思っていたのだけど。
いつか自然に、大野くんが話してくれたらいいなと思う。


二宮くんが引き戸のそばで手招きをしている。


「ではでは、先輩」
「お待たせごめんごめん、・・・・・・えっええっ二宮くん!?」
「先輩の手小さいですよねー。俺の手でもほら、すっぽりですよ」


机の中を確認して教室を出ると二宮くんににんまりされながら手をつながれた。おまけにすっぽり、とかえええええええって動揺しなきゃなんなの!!?するよ!!??
しかもうちの教室にはいまは誰もいないがまだ他の教室には生徒がいて、続々と下校しようと教室から出て行く。イコールこれ見られてる。あのっあのーう!!


「に、二宮くん、」
先輩。お願いですから知っててくださいね、俺が、先輩のことすきな、男だってこと」


時が止まったような気がした。
唇があたっちゃうんじゃないかって思う距離であまいあまい言葉を注ぎ込まれたわたしの耳は発熱している。耳が心臓になったみたいにどくどくして、二宮くんの手の中にいるわたしの手は恥ずかしいくらい熱を発しているだろう。胸が破裂するかもしれない。


二宮くんは、甘いだけの男の子じゃないのだった。











生まれて消えて溶けて生まれて







(アイドルビームってどうよと思いつつ・・・。 舞台裏として二宮大野それぞれの一人語り話も更新します title by capriccio / 121227 あい子)