あの昔からの、いたずらっこな顔つきは残ったままなのに。加わっていた男のひとの表情が、私をくらくらさせる。
「」
逃げられない、と思った。いじわるな腕。
「・・・、も、もうくっつくなって言ったのは和ちゃんだよ」
これからは一緒にいられないのかななんて思うとすごく寂しくなった。ずっと近くにいたから。 少し遠くなった和ちゃんを、無意識に目線で追いかける日々が続き、それに自分で気がついたころのことだった。
「ばーか」
「ええっ」
「意識するようになってくれないと、俺的に困りますからね」
「・・・か、!」
もう十分です・・・!耳にときどきかかる息すらくすぐったくて、和ちゃんしかもう頭になくなってるのに。こんなのって!
「幼馴染って、乗り越えるの大変そうだったし。いろいろ順序があったの」
「か、ずちゃ、」
「・・・そろそろわかってくれます?」
これで気づけないはずあるの?
火照りすぎて溶けそうだった。和ちゃんの声と、体温。
「すきなわけですよ、さん」
言うまでもなくこの熱と鼓動が答えだ。至近距離にいる和ちゃんにこれが伝わってないはずはないのに。それでも和ちゃんは私が口をひらくのを、いたずらするときみたいな顔で待つ。
わかってるくせに!
「も、わ・・・、・・・・・・すきだよ」
すると、こてん、と和ちゃんのおでこが私の肩にのっかった。
「・・・和ちゃん?」
「・・・ん」
あいかわらず心臓は落ちついてくれないけど、かわいいなあ和ちゃん、なんて思っていると、
「え」
仕返しを されて しまった。
はじめてふれた唇は、ちっともおさななじみの和ちゃんではなかった。
おしえてあげる
(120901→150509加筆 あい子)
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