君は相当だよね、とひばりくんが言った。 ごめんなさい、とわたしは言った。わたし、ばかで。 こなごなになって、ちかちかするかけら。わたしが割ってしまった立派な、応接室の花瓶だったもの。けっこうちらばってしまったけれど、このままじゃもしひばりくんが怪我をしたらたいへんだ。思って、箒とちりとりをさがそうとしてやめた。そういえば今日、草壁さんがここを掃除したあとにそのまま掃除セットをもってちがうところを掃除しに行ってしまったのだ。しかたないかな。かがんで、せめて大きい破片だけでもそうっとひろいあつめることにした。 「―――ほんとうに君はばかだ」 わたしが、にがにがしくつぶやいたひばりくんにまた謝ろうとするのと、そう言ったはずのひばりくんがにがい表情にかなしい感情をうかべたのは同時で、わたしがごめんなさいを言いおわるまえにひばりくんはわたしの手をとった。 わたしはてっきり怒られると思っていたので、ひばりくんのまさかの行為に面食らってしまって、ぱちくりしながらつかまれた手を見る。 あ、いつの間に。 ひばりくんがじいっとみているわたしのひとさし指から、血がでていた。 「がドジなのは見ててほんとバカだなって思うけど、いい加減慣れたよ。…でもそういうことはしないでくれる。こうなるってわかるだろ、ばか」 むす、とした怒った顔だけど、なんだか泣きそうな感じがしたので、わたしはまた、ごめんなさい、と言った。そうしたら、ひばりくんはわたしのあかくなっていく指に、かみつくみたいなキスをした。わたしはすこしおどろいて、あ、と声が出てしまう。 ひとさし指からは、ちり、と沁みていくいたみ。ひばりくんのまっくろな瞳が、わたしを捕える。 蕩けたい衝動
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