大寒波とやらが日本列島にやってきているらしい。
そのおかげで、寒いのに滅法弱いわたしは凍えそうだった。ひどい。まじで。しかも最悪なことに手袋を忘れました。
「馬鹿としかいいようがないなお前は。ほんとうに愚かだ。寒がりのくせに」
「そのとーりですよ・・・ぐすっ・・・言い換えて何度も言わなくても・・・」
「中学時代から僕が何度忠告しても今に至ってすらが忘れることを止めようとしないからだろう」
「・・・征ちゃんは手袋なくても平気なの?」
「僕は何ともない。みたいに極端に寒がることはないからな」
「羨ましいことでーっ」
手がかじかむのをまぎらわすように声のボリュームを上げて言った。征ちゃんはそんなわたしを一瞥して、ずんずん帰路を歩いていく。
なんで征ちゃんは平気なんだろう。
子ども体温だったりして?
ぱっともしかしてな考えが思いついたけど言えない。そんなこと口にしたらやられる。いろんな意味で。確実にトラウマになるくらい。
そうだ。
あったかいなら、ちょっとくらいわけてもらえたりしないかな。
半歩ほど距離をあけ、そーっと征ちゃんの意外と大きな手に指を近づけてみる。
気づかない。
次は長い指に。
・・・・・・気づかねえや。
「・・・征ちゃん鈍い・・・」
そうだったのか征ちゃん。なんだよー、そんなにいまあなたの頭の中は家に帰ることでいっぱいですか。片隅にくらい、彼女と歩いてるっていう意識があったりしないのですか。バカ!
「」
つらつら心の中で呟いていると前を向いていたはずの征ちゃんがわたしを呼んだ。しかし答えようとしたわたしの唇は停止する。
「は本当に馬鹿だな。僕が気づいていないとでも?」
いきなりキスなさったよ征ちゃん!!?聞こえてたん!?
うろたえているといつの間にかわたしの手はさっきまで恋い焦がれていたてのひらに握られていた。あれっすっごくあったかいよ。
「征ちゃん?」
「質問は認めない。行くぞ」
じゃあこの手から伝わるだろうか。ねぇ、子ども体温だからだけのあたたかさじゃ、ないって、思ってもいい?
つよくつよく、幸福をおもう
(クリスマスなのでちょっとイイ雰囲気のお話をひとつ。赤司くんと帰ろうシリーズになりそう title by capriccio/121225 あい子)
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