551−600

君の歌声が途切れた時に、僕は全ての終焉を悟る。
キミが流したナミダの意味を、履き違えて差し上げよう。
空を見上げた。君の声が、聞こえた気がした。
闇夜に咲いた彩りの華。君の横顔を染めてゆく。
悲しいのなら笑えばいいよ、嬉しいのなら泣けばいい。天の邪鬼にね。

ねぇ、僕は愚かだったろう? 問うても君は曖昧に笑うだけ。
あぁ、愛おしいね。当たり前のように、君は云った。
ねぇ君が好きだよ。本当に本当に、君だけが好き。
ご覧、月が出ているよ僕らを嘲っているよ。大地にも降り立てないくせに、ね。
凍えるほどに寒いから抱きしめて。貴方の腕の中で凍死するの。

手に手を取って逃避行。君を攫って、行けるとこまで。
ゆったりとした昼下がりに、心躍るような喝采を。
遠すぎる蒼よりもずっとずっと近くに、君の色が溢れているね。
憐れみを込めて抱きしめて。僕の中に、埋葬してあげるね。
零れていってしまいそう。あぁどうか、受け止めてくれ。

スタートラインはまだ遠い。
取られぬように閉じ込めた。綺麗で醜い、真実を。
哀しいかなしい、愛の歌。貴女の為に歌いましょう?
唇に乗せたのは魂鎮めのことのはと。消え逝くさだめと、嘆く歌声。
次の瞬間には消え失せているかもしれない感情を、言葉になんてしないで。

クールドライブ。感情で、火傷なんてしない。
贄になった少年の手向けにと、少女はぶつり花を千切った。
粉々に打ち砕いたら、きっとそれでも美しいから。
お願い。嘘を、嘘なのだと云って。云わないで。
明日が来るなら、早く来て。けれど、時間は止まってくれない。

やさしさで君が傷つくなら、そんなものは要らない。
手のひらで、ギチリと潰した君への想い。
ねぇ、笑ってよ。おねがいだから。
罅割れた隙間から、涙が零れてしまうから。気づかせないで。
大好きだよ、と君が云った。あんまりにも当然のような声をして。

グッドモーニング、お姫様。
君と僕と貴方とで作った曖昧な砂のお城は波に揺さぶられ続けているのに。
全てを奪ってくれるなら、この想いを捧げましょう。いつまでも、永遠に。
気が狂いそうなほどに好きだなんて馬鹿みたいと嘲ってくれ。
笑うな笑うな、そんな珍しい表情で。

陽射しよりも強いぬくもりで、溶かさないで。
君の笑顔が見られるなら、何かを見失うことも惜しくない。
間違えた、とは思わない。間違いだ、とは思ったけど。
僕の思い通りになってくれ。そうしたら、何処までも愛してあげられるのに。
アンタなんか大嫌い。だって、あたしを見てはくれないんだもの。

たったひとつ、貴方が与えてくれたのは。永遠と云う名の愛でした。
一緒に行ってもいいですか? 何処までもいつまでも、あなたを守りたいから。
空が渦を巻いて落ちてきたら、僕達はぐるぐるに混ざり合ってしまえるのかな。
貴方に尽くして死んだなら、きっと一度くらいは泣いてくれるでしょう?
あぁ君は泣いているんだね。まるで僕のシナリオ通りに。

ごめん、さよなら。これ以上踏み込んだら、きっと壊れてしまうから。
全てを過たずにいられたのなら、君を愛せていなかった。
君を見つけてみせるから、だからずっと、待っていて。
通り過ぎてきた自分の中で、君に愛おしんでもらえていたのは、誰だったろう。
僕が出会えたのが、君でよかった。

bacK