1−50

甚だしく、無情極まりない僕の。思い出なんてもの。
本音でしかない言葉。届いているのに無為なる言語。
云って笑った君の顔が。どうしてか嬉しげで何も云えない。
笑ってしまえばいいんだ。そうすれば、何もかもが終わるから。
らしくない笑顔で、冷めてゆく。素直でも純粋でもない嫌悪。

当たり前に為り得ない非日常。まるで、微温湯に浸かる感覚で。
君が僕に与える中で、嘲う声ほど優しいものは他にない。
あくまでも感情論。それはどうしようもなく不釣合で、仕方のないくらい。
嘘吐きで、偽りだらけの真実は。引き上げられる暗澹の自我。
冗談なんてわからない。そんなものは、ここでは通用しないから。

他の何者をも許容しない。自分自身もそうであるように、僕は。
それではいつか。地獄でお逢いいたしましょう。
トチ狂ったように彼は云った。ただ君が好きですと。馬鹿みたいに。
秘密めいた真意。素知らぬ笑顔。本当は何もかも。
押し付けがましいことだけど。僕と共に君も、まだこの生で在って。

単なる気紛れ、そうに決まってる。自分で自身に云い聞かせ。
いっそ束縛するみたいに。愛して、あいして、アイシテ?
云った笑顔のあどけなさと、為された行為の鏡面体。
云いたくて云いたくて、云ったけど。今更意味なんてないんです。
そうしたらこのまま僕たちは。少しは幸福に死ねたのに。

つまらない事柄と、切り捨てるほどに君は強くない。だから?
曝け出すような本音など、持ち合わせがございません。
幽遠の境目で足を止め、先と後ろで迷ってる。いつからか。
難しいことじゃない。すたすたすたと、足を進めるだけならば。
昔話をしよう。いつかどこかで、あったかもしれないこと。

振り向いてる暇などはない、前を向く暇すら。僕らに残る時間など。
貫き通せ、その意志を。僕はついていく、ただ君が信じるままに。
希望と絶望。どちらかを得る為の、最良的最終手段。
比例はしない可愛らしさ。けれど、否定もしない愛らしさ。
後ろを向いて歩いてみる。一歩二歩、必ず止まる三歩目は。

謳い笑うよなその声の。空虚さになんて気づかずに、未だ。
至極全う簡単なゲーム。アナタと私、どちらが消えるか。
痛むのはココロ? そんなもの、何処かに忘れてきたってのに。
願うのは自由だと、思うんです。例え叶わないと知っていても。
そして認めよう、僕の犯した罪の数々を。君が満足するのなら。

優しすぎる答えは要らない。どうせ一片、偽りの涙が落ちる。
深い深い眠りに誘って。自分はどうせ眠れない、君の傍では。
いつまでもどこまでも、愛しい君と手を繋ぎ。駆けて駈けて翔けて。
終わらない続き。続いていた終わり。いつまでも、止まらずに。
気紛れで君が救えるのなら、この腕は必要ない。捨て置こう。

どうか分けてはもらえませんか。その細い肩には重過ぎる。
きっと信じてもらえないから、君には本当のことを云っておこうか。
どうしようもないくらいの逃げ道を用意して。君を出迎えよう。
苛立ってしまうんだ。あんまりにも純粋すぎて、羨ましくて。
生きていることが魔法のようなこと。なんて、戯言です。

優しい言葉なんて、かけないでください。憎らしくなるのです。
本当にどうしようか、僕は。君がいないと何も出来ない。
やれるものならやってみろ。お前などにはこの心、渡せるものか。
けらり嗤った気楽さの、嗚呼。なんて、心地よい。
だから君が好きですってのは、云い訳でしょうか。

bacK