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龍泉寺へと続く裏道を江戸の町には似つかない洋服を来た少女が駆けていく。

隠れキリシタン−ーーーほのかだ。

先ほどまで降っていた雨のせいで道はぬかるみ、跳ねた泥が服へと跳びついてい
るのも気にせず、ただ少女は、ある人物に会いたい一心で走り続けた。
「龍斗様・・・」
この胸を焦がす想いに気付いたのは一体いつだったのだろうか?


(・・!見えた。龍泉寺・・・龍斗様!!)

目前に居る人物に胸の鼓動が早くなる。

「た、龍斗さ・・・」
「龍斗」

自分の声を遮った声は、よく耳にした事がある声だ。
「・・み、美里さん」
向こうは気付いていないようだが、あれは同じ仲間である美里だ。

「美里〜。おせぇーよ」
「ふふふ、ごめんなさい・・小鈴が団子が食べたいと言う事を聞かなくて・・」
「・・まあ、いいや!それよりさ、どこ行く?」


「!!??」
ほのかは龍斗達に近寄る足を止め、驚きの表情を浮かべた。
(た、龍斗様・・ど、どーして・・
今日は一緒に出掛けると言って下さったのに・・)


泣きだしそうになる衝動を押さえ顔を上げると龍斗と目があった。


「・・!?」



笑った・・龍斗はほのかの顔を見て不敵に笑ったのだ。


「主よ・・私は愛する者を一瞬でも酷いと思ってしまいました・・
あの方は私を導いてくださった方なのに・・どうか汚らわしい心を持った
私をお許しください・・・アーメン」

ほのかは礼拝堂へと足を運んでいた、否、正しく言えば逃げたも同然だった。
龍斗と美里を見ていると自分の想いは届かないのではないかと、
錯覚をしてしまうからである。

「龍斗様・・」
目じりが熱くなる、自分は強くなると誓ったはずなのに・・・。

だが目じりが熱くなると同時に今まで経験したことのない熱さが体を
襲った。下半身から異常な感覚が伝わる

「・・・っ!主よ・・私を解放したまえ・・」
恐怖心がほのかを襲う。こんな事は今まで一度も無かったからだ。

「ほのか」

遂には幻聴まで聞こえてくる・・。しかしその声は暖かく優しい
(ああ、龍斗様・・)

「だから、ほのかってば!」
「・・っ!!??」

肩に置かれた手は確かに本物の龍斗が目の前にいると分からせた。
しかし、それよりも驚く事実が判明した。

「はぁっ!!!??」
彼女は体全体が性感帯のように敏感になっていたのだ。

「ん?何だよ、ほのか・・。なにびくついてるんだよ?」
「た、龍斗様・・はぁっ///」

自分の体の変化に戸惑いつつも、先ほどの約束をすっぽかされた事を
思い出しなんだか気まずい気分になった。

「「・・・・・」」
二人がしばらく黙りあっていると、龍斗が先に口を開いた。

「ほのか、さっき俺が美里と歩いていくの見ただろ。」
「ご、ごめんなさい!」
なにも悪いことはしていない、むしろ龍斗が一方的に悪いのだが自分が
あたかも悪いかの様に言う龍斗に思わず謝ってしまった。

「美里がどうしてもって言うからさ・・俺抱いちゃった。」
「そ、そんな・・」
性行為を禁忌とするキリシタンのほのかには信じがたい事実を、愛しくて
堪らないとする龍斗から打ち明けられ、ほのかは微かに震えたった。

「あはは、何固まってるんだよー。美里も大胆だよなぁ、昼からなんて・・」

チラッとほのかを見る龍斗の好奇心と何かを企んでいる視線が、
戸惑い、ショックを受けているほのかの視線と交差する。

「ま、ほのかが悪いんだけどな」「・・えっ」
「だってさ・・ほのか、お前させてくれないんだもんな。」
                     ゾクッ
陰と陽二つの顔を持っているんじゃないかと思うぐらい、今の龍斗は普段の
優しい龍斗とは、別人だった。

「で、ですが龍斗様・・キリシタンでは性「また、それかよ。」

「ま、俺も女には困ってねーし。させてくれない奴なんかよりさせてくれる奴の方が当然良いしなw
って、事でサヨナラだな」
「龍斗様・・」

くるりと背を向けると教会の出口へと進んでいく。
もう、ほのかに悩んでいる時間なんてない。

「待って・・待ってください龍斗様!!私、わたしを・・私を抱いてください!!}
キリシタンとしての禁忌を破る声が教会にこだました。