ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

[773] この地球の何処かで〜金もちは辛い〜

ゆりりん2世 #1★2005.09/17(土)14:19
第1話〜それは、この日に始まった〜 

「ん…」
朝。小鳥がさえずる。窓から朝の光が差し込む。
「よく寝た…おはよう、エネコw」
少女は隣で寝ていたエネコの頭を撫で撫でした。
この少女は葉宮萌音。名門「私立帝都学園」中等部2年生だ。
「あ、今日は姉様、早く出発するんだっけ。」

隣の部屋で、ぐーすか寝ている女がいる。
「姉様、朝だよ!起きないと!今日は生徒会役員の選挙日だよ!」
「う゛ーん…」
こちらは葉宮絢華。中等部の3年生。お嬢様な名前の割にぐーたら娘だ。
「んもう…」
萌音は仕方なく絢華のモンスターボールを絢華のバッグに詰めている。
「用意はしといてあげたから…じゃね。」
パタン…萌音はそっとドアを閉めた。

「よっ、萌音!絢華は?」
「あ、唯。」
日野唯。同じクラスで、ひょうきん者だ。
「姉様はまた寝坊してるよ;もう…」
「またか;」
そこへ。
「唯!俺を置いて行くとは何だよ。」
「あっ…兄貴。」
こちらは唯の兄の日野帝。中等部3年生だ。
「兄貴も生徒会役員に立候補したんだろ?」
「…ああ…」
帝は一瞬うろたえたが、曖昧な返事を返した。
「生徒会の仕事と部活、両立できんのかよ?」
「馬鹿を言うな。お前なんか勉強すらマトモに…」
「それを言うなあぁあ〜;△;」
唯は期末テストで平均21点という、激悪な点なのだ。
それに比べて帝は、どの教科も90点代後半という、学園で1,2を争う成績だ。
「そいえば兄貴、部活は何だっけ?」
「ああ…超能力部。」
「そうだったな。」
この学園は金持ち学園な他に部活が豊富なことでも有名だ。
華道部、茶道部、将棋部、弓道部はもちろん、新体操部、シンクロ部、アニメーション部まである。
帝が所属している超能力部も、珍しい部活の一つだ。

「えー、では全校の皆さんに投票してもらいます。」
現生徒会長、矢野川柚梅が朝礼台で話す。
「では、一人ずつ立候補者は前へ出て、ポケモンの演技を見せて貰います。では前へ。」
一匹ずつ、ポケモンを持ち寄って、十数人の生徒が前へ出てきた。
「帝もいるよwあそこ!」
萌音がはしゃいでいる。
「本当だ、兄貴…あれ、絢華がいない…」
「え…本当だ、姉様いない!」

続く
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ゆりりん2世 #2★2005.09/16(金)23:21
第2話〜突然の不幸〜

「ちょッ…姉様がどうしていないの!?」
「こら、そこの女子!」
萌音は叫んだが、すぐに教師に注意された。
「くそ…絢華!」
絢華はぐーたらしているが、誰よりもポケモンを大事にする優しい子で、
生徒会役員になるのでは、と、一年生の頃から言われ続けていた。

「カラカラ、最後に骨ブーメランで決めろ!」
『カラーッ!』
帝のカラカラの骨ブーメランは見事に決まった。
体育館中に盛大な拍手が送られた。
「私日野君に投票しようっと!」
「俺も。アイツすげーよな。」
体育館から帰る途中、生徒が話している。
「じゃ、もう会長は帝君で決まりじゃない?」
萌音がにっこり笑った。
「ああ…」
分かっている。二人とも気持ちは通じていた。
絢華に出て欲しかったという気持ちは―…

「ただいま…」
萌音が学校から帰ってくると、ベッドに大量の血が。
「あれ…!?」
そしてその横には、絢華の残酷な遺体が…
「ねえさま?」
萌音は頭がパニック状態だ。
「これ…嘘…よね…?」
嘘に決まっている。
部屋の窓は割られていないし、特に何も盗まれてもいない。
なのにどうして―!?
知らぬ間に萌音の眼から涙が溢れ出した。
「姉様…ウック…」

涙も枯れた頃、とりあえず両親に連絡をしようと、携帯が置いてある机を見た。
「あれ…ない!」
いや、携帯はあるのだ。
何がないのかというと…写真だ。家族四人で幸せだった頃の。
写真たてに入れて、きちんと置いてあったのに、写真だけがない。
「何でよ…なんで…!?」
萌音は絶望のどん底に陥った。
『ニャー?』
エネコが萌音を心配してボールから出てきた。
『ニャーny…』
「うるさいわね!」
バシッ!
『ニャ…』
「ハッ…ごめん…ごめんねエネコ!心配してくれたのに…」
萌音はしっかりとエネコを抱きしめた。
「だけど…父様や母様…一体どうしてるのかな。」
心のどこかに不安を抱きながら、携帯のボタンを自宅の番号どおりに打ち始めた萌音…

続く
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ゆりりん2世 #3★2005.09/16(金)23:40
第3話〜美しかったあの頃〜

プルルル…何回かけても出ない。
「ハァ…」
ピッ。むしゃくしゃしていたのか、萌音は携帯の電源を切った。
「父様…母様…」

なんとか絢華の遺体を片付けた萌音は、翌日中々授業に集中できない。
ボーっとしている間に、もう4時間目だ。
「萌音、次は理科だぞ。きのみ観察…」
唯が誘うが、萌音は呆然としている。
「どしたんお前?昨日何があった?」
「あ…のね…」
ありのままに事実を話してみた。
思ったよりも口がすぅっと動いた…
「え…絢華が…!?」
「うん…」
そう、絢華は自害した以外には考えられない。
「なんで自殺したんかな、絢華は…」
「一つ、思い当たるんだ…」
「え…なんだ!?」
「実はね…」

―2年前。
萌音は初等部六年生、絢華は中等部へ進級したのだ。
「わあ、制服だ!」
絢華、あの頃、すごく嬉しそうだった…
あんなに嬉しそうだった絢華がなぜ、こんなになってしまったのか…

「絢華様。ご子息がお生まれにならない場合、跡継ぎは貴方ですよ。」
葉宮家に仕えている者から言い聞かされていた言葉だ。
だが、辛かったろうに、絢華はとてもいい子にしていた。
「今日はピアノのレッスン、明日は絵とヴァイオリン。」
絢華は毎日、スケジュールがすざましかった。
「私はいい子でいないと。
父様と母様は私に期待してくれてるんだ。望みをかけてくれてるんだから…」
部屋に戻るたびに、萌音はその言葉を聞いていた。
だが―…
「え…!?」
なんと、父・葉宮雅由から、養女にされると聞いたのだ。
「絢華、お前には負担をかけすぎた。すまなかった。
私は養子を引き取ることになった。
これからはアパートを用意した。萌音と二人で暮らしなさい。」
「…」
絢華の絶望は、その時どんなだっただろうか。
なんのために今まで頑張ってきたのか。誰のために必死で頑張ってきたのか…

続く
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ゆりりん2世 #4★2005.09/17(土)00:07
第4話〜日野家の秘密〜

「…それ、兄貴も言ってた。」
「…?」
「兄貴も、跡継ぎにと習い事を次々やらされていたんだ…」
誰もいない教室で、唯の声が響き渡る。
「そうだったんだ…」
「…って、もうとっくに授業始まってる;」
「ああっ!」
バタバタバタ…二人は急いで廊下を走っていった。

昼休み。
三人で絢華が亡くなったことを先生に報告に行った。
「あら、そうなの…」
「はい。」
ガラガラ…ピシャン。
「じゃあ、俺、初の生徒会の集まりなんだ。これから。」
「あ、そう。じゃあね。」
帝と別れたところで、唯と萌音は食堂へ向かった。
「今日は食事が終わり次第部活へGO→だな。」
「そうそう。今日は授業早く終わるんだよね。ってもう終わったか;」
焼きそばをほおばる唯に対し、萌音はスパゲッティをスプーンにぐるぐるに巻きつけている。
「…ぷは〜、じゃ、俺部活行くから。」
「あ、ちょっと唯!」

「こんにちは。…ん?」
部室の前まで来て、唯はナゾノクサを見かけた。
「これは、萌音のナゾノクサだ…ん?」
ナゾノクサの頭の草の間に、写真が挟まっていた。
「これは…」
写真を見てみると、見覚えのある男の人と女の人、そして…
「絢華と…萌音だ…」
そう、それは萌音の部屋から消えた写真…
「萌音に返さないと!」
その時。
『フィイィイ!』
「あっ…兄貴のバタフリー!」
と唯が言っている間に、バタフリーは写真を奪い取って生徒会室へ向かった。
「かっ…返せよ!」
バタフリーを追いかけて、唯は走り出した。

『フリィイ!』
「お、バタフリー。」
ガラッ。生徒会室のドアが開いて、帝が出てきた。
「サンキュ♪」
帝は写真を受け取ると、生徒会室に入った。
「待てよ兄貴ぃい〜!」
「おや、唯。」
余程疲れたのだろう。唯はハアハア息を切らしている。
「何しに来たんだ。」
「その写真…返せよ!」
「駄目だ。」
「何で!」
「この写真は…返せない。」
帝の眼がギラリと光った。
「うっ…!」
超能力部副部長の帝だ。にらまれただけで唯は全身が動けなくなった。
「厄介なものを見られてしまったもんだ…ま、次男の君だしいいけど。」
「なっ…」
「日野家の長男にだけ伝わる秘密を君は見たんだ…ま、見られたものは仕方ない。」
帝はまた眼を光らせた。
そのとたん唯はどさっと床に倒れこんだ。
「悪いね、我が弟よ。でも…」
帝は写真を手に、そっと生徒会室を出て行った。

続く
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ゆりりん2世 #5★2005.09/17(土)00:24
第5話〜黒幕の影〜

帝がたどり着いたのは新聞部室だ。
「会長…よくぞやりました。ではこれ。」
ジャラン。大金が渡された。
「すまない。ではこれ…」
帝は新聞部長に写真を渡した。
「これでいい記事が書ける。どうも。」
「ああ。」

唯は保健室で目を覚ました。
「うぁー…あれ?俺、なんでこんな所に?」
「生徒会室で倒れていたんだって?」
「え…」
ベッドの横に萌音が座っていた。
「帝が、ここまで運んでくれたんだって。お礼言っときなよ。」
「あ、ああ。」
唯はさっきの出来事を全て忘れてしまっていた。

「どうだ。うまくいったか。」
生徒会秘書・日野家の執事の育宮鳴門と帝は密談中だ。
「ああ。これは引き換えの大金だ。」
「そうか。良くやった。」
「…」
微笑みながらも、帝は鬱な表情を浮かべていた。
「日野家は、代々標的なる者を追い払いながら勢力を保っているんだ…」
そう、先祖代々の掟だ。そして今の標的は葉宮家なのだ。
帝は、家族を裏切りたくなかったため、秘密を守ったのだ。
「これは絶対に…明かしてはならぬ。」
「はい…」
実はあの時、絢華に金縛りを使って、起きられないように仕組んだのだ。
生徒会長になり、勢力を保つために…
「自分は自殺する」
と自己暗示をかけて、自殺させたのも帝だった…
これは日野家の長男に代々伝わる掟だ。

『亡くなった生徒会長―その真実は!?』
学園新聞の大記事の見出しだ。
「何…これ…」
萌音は愕然とした。こんな形で世間に知れ渡るなんて―!
しかも…
「え…これ…!?」
なんと、あの写真がそのまま印刷されて、記事と一緒に載っている。
「どうして…!?あの写真を新聞部員が…!?」

気力もなくなった萌音は、ふらつきながら家へ帰った。
「父様…ごめんなさいね。何の役にも立たない私で…」
萌音はベッドに潜り込んで眠った。

続く
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ゆりりん2世 #6★2005.09/17(土)01:08
第6話〜写真を取り返せ〜

『ポケモンレース大会』
掲示板の周りに人が集まっている。
「ああ、毎年恒例のね…」
唯がため息をついた。
『一人一匹ずつポケモンを持ち寄って、各競技に出場すること。
項目…◇水上レース 
   ◇スケートレース
   ◇陸上レース
   ◇飛行レース
※必ず、そのレースにふさわしいタイプのポケモンを連れてくること!
…生徒会役員』

「兄貴のやつ、張り切っちゃってんじゃんww」
唯は満足げに広告を見つめた。
「萌音もさ、気晴らしに出場しよーぜ!」
「うん…」
「俺はなあー、飛行にしようかな?俺の自慢のオニドリルでさ!」
「どうしようかな、私は…ジュゴンで水上レースにしようかな!」
萌音と唯で、学園の裏庭の湖で特訓することにした。
「キャー!早いよ!」
ジュゴンはすごい勢いで泳ぐため、萌音が吹っ飛ばされそうだ。
その時。
「こら!何してるの!」
「あ…」
見てみると、生徒会役員達だ。副会長の桜沢十路。会計の真方萌子。書記の片橋留緒。
「何やってまんねん!2−5のお二人はん!」
関西弁を話す十路。
「駄目よこんなところで…戻りなさい…」
幽霊のような萌子。
「戻らんと先公がうっさいよー。」
軽い調子で話す留緒。
「はーい☆つまんないの。」
萌音はジュゴンをボールに戻して、唯と二人で帰った。
「ちょっと待って、葉宮さん。」
「はい?」
「あのね…」
「何ですか?」
「私達…これから先協力することになるから…よろしく…」
「?あ、もう予鈴鳴りそう!では〜;」
萌音は急いで教室へ戻った。

「なんとかして、あの新聞部室から写真を取り返せないかしら…」
萌音はじいっと部室を眺めた。新聞部室は中央校舎の4階。鍵がないと入れない上、部活中も鍵はかかっている。
「萌音、どうするんだ?下手に手出したら…」
「分かってる。」
まず、中央校舎の4階まで登ることにした。
「そして…」
「あ、アレ見ろよ!」
「…あ!」
天井から行けそうなふたがある。
そこを通って、部室の天井の上辺りまで来て、隙間から見ることはできるかもしれない。
「あそこから…行ってみよう。唯じゃ狭すぎるからあたしが行くね。」
萌音は唯の肩に乗った。でないと高すぎて入れない。
「あー、やっぱ狭いよぉ…」
「お前重いな…。」
「それは余計だー!」
と言いながらもふたを外して中へ入った。
「じゃ。イトマル連れてくね。」
かなり狭い。萌音は匍匐前進するだけで精一杯だ。
「狭い…あ、ここら辺が部室の天井かな。」
萌音はぽつぽつと空いている丸い穴から下を見下ろした。
「やっぱり…あ!」
写真だ。写真があった。
「イトマル。」
『イトッ!』
イトマルは糸をはきだした。糸が穴から下へゆっくり降りて…
「よし、そのまま写真に糸を巻きつけるの。」
ぐるぐる…糸は見事に写真をつかんだ。
「そのままゆっくり引き上げて…」
スッ。写真は萌音の手元に戻ってきた。
「やった…!よかった、イトマル!」
萌音は元の位置に戻り、ふたを外して飛び降りた。
「やったよ唯!v」
「よかったな!」
そこへ…
「葉宮さんに日野君?」
「え?」
二人が振り返ると…見回りに来た生徒会役員がいた。

続く
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ゆりりん2世 #7★2005.09/17(土)01:28
第7話〜真実〜

「あ…あの…その…」
萌音が言い訳を必死で考えているときだ。唯は何処かへ行ってしまっていた。
「あ、その写真返ってきたんかいな。」
「あっあっえ…ええと…」
「分かってるって。取り戻したんでしょ?」
留緒がさらっと言った。
「あ、そうな…んです」
「やっぱりね。会長、実はお金払って暗躍さしてんのよ。」
「え…!?」
「そうそう…新聞部員と、お金と引き換えに…」
役員達は、全員知っているのだ。
「そ…んな…」
留緒は、一部始終を全て話した。
「まあ、うちは同じ超能力部だからさ。結構知ってんだ。」
「へえ…」
「それにうち、会長の従兄弟だしさ。」
「ええっ!?」
「だから何でも知ってんの。」
「…。」

留緒は帝の従兄弟。それにクラブメイト。
だから何でも知っている…
だが、二人には重大な過去があった…。
「絢華…あんた、うちを置いて死んじゃったんだもんね…」

「ねえ、唯、それ本当?」
「本当さ。俺達と留緒は従兄弟だ。」
唯は陽だまりの気持ちいい中庭で寝そべっていた。
「絢華…」
萌音の年子の姉、絢華…世界に一人。たった一人。
簡単に死んでしまった…。

留緒は、小さな帳面を見ていた。
「絢華…あたしとあんた、親友だったよね。一番の。」
その帳面は、絢華としていた交換日記だ。
「あんたが最後にかいたこと…辛かったよ。
帝はね、一族が大事なんだ。自分の大切なものを失ってでも…
…一族を守りたかったの。許してやってよ、絢華。」
留緒は小さなため息をついた。
「帝に…言ってみようか。」
留緒は生徒会室まで足を運んだ。
「どうした?留緒。」
「あの…アンタ、おかしいよ…?」
「…何が。」
「自分の大切なもの、捨ててでも一族が大事なの?」
「…るさい…」
「アンタ、そんな奴じゃなかった!」
「ぅるさぃ…」
「戻ってよ!昔のアンタに…」
「うるさい…うるさい!」
ギン。帝は超能力を使おうとしたが、部長の留緒には敵わなかった。
「無駄よ…力任せにしても…」

続く
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ゆりりん2世 #8★2005.09/17(土)11:16
第8話〜崩壊〜

「何か嫌な予感がする…」
授業に集中できない萌音。5時間目は英語だった。
「A is a a Achamo…B is b b Bbi…?かな?」
萌音は英語のノートに単語をびっしり書き溜めている。
「P is p p Porigon…違うか。」
「違うよ。『Polygon』じゃないかなあ?」
「あ、そうか。」
唯は家でも様子がおかしい帝が心配になっている。
「俺の兄貴…最近変だよな…?思わねえ?」
「うん、めっちゃ思う…留緒さんが言ってたこと…」
「そうなんだ。アイツ、自分の家族が何より大事だからなあ…」

帝はもう気が気じゃなくなっていた。
「俺は一体…どうしてこんなことしてるんだろう…?」
愛ポケモンのスリープにもたれ掛かってうとうとしている。
(俺は…一体…絢華…)
帝はいつの間にか眠ってしまった。

―「あははは!木登りして遊ぼうよv」
初等部一年生のなりたての春。校庭には満開の桜だった。
「えー、絢、できんのかよー?」
帝がいたずらっぽい口調で話す。
「できるってばー;」
「桜の木はきれいだけど…毛虫がいたらいやだよぉ!」
萌音がもじもじしている。
「萌!さ、のぼろうよ。一緒だから大丈夫だって!」
「分かった。せーのでジャンプする。せーの!」
タン…
「あは…あー、キャタピーだ!」
「わ!」
ドッシーン。
「痛たたた…。」
「んもう、大丈夫?萌音。」
「うん!」
―…
「…幸せだった…ただ…し…」
「こら、日野!」
3−2担任・ウッキー先生のチョークが飛んできた。
「わ、出た;先生必殺『チョークブーメラン』!」
カーン。
「痛っ…」
「授業はしっかり聞いときなさい。」
「はい…。」

家に帰って、帝はそっと家を出た。ふらふらと、ある場所へ向かった。
『ピンポーン』
「はい。」
たどり着いたのは萌音の家だった。
「あれ、帝?どしたの?」
「…絢華は…何処にいる?教えてくれ!何処にいるんだ!?」
「え…?」
「絢華の眠る場所…教えてくれ!」

道路の向かって右側にうっそうと生い茂る森。何処までも何処までも深そうな森…
「ここよ…」
すると、帝はペタンと座り込んだ。
「ここにいたのか…絢…」
帝の眼からたちまち涙があふれ出た。萌音はどうしたらいいのか分からずにうろたえた。
「みかど!待って!」
萌音が止めるのも聞かず、帝は走り出した。ふらふら歩いて、森の奥のほうまでやってきた。
「…る…お?」
しばらく歩くと…留緒が立っていた。
「帝…逃げちゃ駄目。どんなことがあっても…」

続く
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ゆりりん2世 #9★2005.09/17(土)12:02
第9話〜自分の中に認めて〜

「留緒…お前…」
留緒は決して視線を合わせようとはしない。
「実は…一族の不正を全部…学園中にぶちまけたの。」
「なっ…!裏切ったのか!」
帝は感情的になっている。が、留緒は動こうとはしない。
「帝。いくらね、不本意だとしても…貴方が絢華を殺したのは変わりないのよ…?」
「…」
「自分の非を認めて、絢華に謝って…絢華は私の親友なのよ!」
親友なのよ。
その言葉を聞いたとたん、帝の脳裏に何かが浮かび上がった。
「しん…ゆ…う…」
留緒が見ている前で、帝は倒れこんだ。

―「俺達、親友だよな!」
「うん、帝は大事な友達だよ。」
初等部三年生だった帝。
超金持ちの息子だということで周りからは差別されていた。
そんな時、クラスで差別されている男の子・仙台統と出会った。
気が弱くて、クラスの仲間にも差別されていたようだ。
「ねえ、お前さ、俺と一緒にやらない?」
「え…いいの!?」
「うん!俺達親友になろうぜ!」
「しん…ゆう…?」
「うん!」

(統…今頃…どうしてる…?)
帝にとって唯一の男友達。それが統だった。
だが…父に反対され…統とは二度と会えなくなった―…

「ん…」
目を覚ますと、そこは…中等部の医務室だった。
「俺…」
太陽の光がまぶしい。帝は目をこすった。
「全部…夢…だったのか…?」
帝はカーテンをサーと開けてみた。すると、春の日差しが暖かい校庭が見えた。
あの頃みたいに、桜が満開だ。
「行って…みよう。」
ベッドを降りて、帝は校庭へ出た。
「見つけたぞ!」
「捕まえろ!」
「え…」
なんと、さっきの事は嘘ではなかった。不正は全てばれている。
「逃げないと…」

萌音達は、全クラス授業中止で、先生達は色々取調べ中だ。
「こんなに大沙汰になるなんて…」
「それより兄貴は…」
唯は学園中を走り回った。
「留緒…!」
「大丈夫よ。帝は…」
「なんで分かるんですか?」
「なんとなくね…」

続く
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ゆりりん2世 #10★2005.09/17(土)12:15
第10話〜帝の最後〜

帝は学園を抜け出し、さっきの森へたどり着いた。
「絢華…俺はもうわかってたんだよ。」
そう。分かってたんだ。分かっていたんだ。これだけは…
もう…あんな幸せな日々は永遠に返ってこないことだけは―…
「絢華…俺さ、お前と敵対なんてしたくなかったんだ。信じてくれ。絢華…」
帝は道路から左側の海を眺めた。

「帝、海はきらきら光って綺麗だね。」
いつぞや、四人で海へ遊びにきたっけ…。
「ああ。あれは日光が水面を反射するらしいんだ…」
「よく知ってるね、帝!」
萌音と絢華は海辺で夕日を眺めている。
「ああ、兄貴に絢と萌も一緒に泳がね?」
「あ、唯、海パン持ってきてたんだ!意外としっかりしてんじゃん。」
「余計なこというなって;」
「あ、唯、萌、絢。俺さ、こっから海へ降りてみるよ。」
「え、危ないよお!」
「大丈夫だってw水泳選手みたいにカッコよく飛び降りてみるよ。」
幼かった帝は岩場のほうへ行き、一番高い岩へ上った。
「あー、やっぱ怖いかも…」
「おーい、兄貴、大丈夫かー!?」
「う゛〜…」
すると、三人は浮き輪を持ってきた。
「この浮き輪があるから大丈夫よ!飛び降りて!」
「ほらほら、早く!」
「遅いぞ兄貴!」
「うん…」
バッシャーン!
「っぷ…あははは…」
浮き輪にうまくはまったものの、水しぶきを上げて帝はびしょ濡れになった。

「ここから…飛び降りてみようか…」
ここは道路だ。海から20メートルと離れた高さだ。
「やっぱり怖いな…怖いよぉ!」
まるで小さな子供のようにさわぐ帝。
「あれ…?」
ふと、海を見下ろすと…。
「帝、この浮き輪があるから大丈夫だよ!飛び降りて!」
「ほらほら、早く!」
「兄貴、遅いぞ!」
三人が浮き輪を持って待ってくれている。
(ああ…唯…絢華…萌音…そこに…いたのか…)
スッ…帝はゆっくりと20メートルの空間を飛び降りた。
『ザザン…』
一瞬、辺りに水しぶきが上がったが。

夕方の誰もいない海で後に残るものは、静かな波音だけだった…。

「じゃあ…死んだの…?帝…」
翌日、事情を聞かされた萌音と唯。
「そんな…くそ…兄貴ぃ!」
唯は耐えられなくなって涙を流し始めた。
「アイツをここまで追いやったのは…全て俺の一族だ!」
唯はなんとも言えない怒りがこみ上げてきたが、結局は従うしかなかった…
「兄貴…どうか安らかに…眠って…くれ…」

続く
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ゆりりん2世 #11★2005.09/17(土)12:40
第11話〜出会い〜

現実は待ってくれない。もう帝が死んで1ヵ月半が過ぎた。
新聞部がうるさいが、二人とも答える気力もなかった。

「さ、明日はポケモンレース開催だから練習しようぜ。」
「うん。」
萌音はジュゴンに乗って、湖を一周している。
「おやおや、葉宮はん。わいも混ぜておくんなはれ。」
「私も…やっていい…?」
「あたしも混ぜてよ。」
「十路…萌子…留緒…うん、いいよ!一緒にやろう!ね、唯!」
「ああ、一緒にやろうぜ。」

翌日、いよいよレースが開催された。
『まずは水上レースです!』
生徒会企画係の松本智可がプログラムを発表する。

自分の番まで、二人は客席で見ていた。
「…なあ、俺達って、もう知り合って何年になるかな。」
「そうね…えっと…七年は経ってるわね。」
「忘れもしないあのとき…」

初等部一年生になる前の春休み…
「ねえ、四月九日から、いよいよ帝都学園に入れるんだね!僕。」
「そうだよ。俺は二年生だけど…」
家でポテトチップスをばりばり食べながら話す日野兄弟。
「あ、俺のクラスにすっごい可愛い子がいるんだ。」
「へえ。なんて名前の子なんだ?」
「葉宮絢華って子。名前からしてお嬢様だよなー。」
「うん。」
唯は一度その子に会ってみたいと思っていた…。

入学式。
「緊張するよぉ。お兄ちゃん…」
「大丈夫だって。俺の弟だから。」
その時。
「ちょっと、そこどいてくれない?」
「ン?」
同じ入学生の女の子だ。
何処にでも居そうで居ない芯の強そうな顔立ち。
緑色の輝く髪を二つに縛っていて、胸には『はみや もえね』と書いてある名札が。
「早くどいてって言ってるでしょ?人の迷惑を考えなさいよ。」
「っあ、はい…」
何だかよく分からなかったけど、唯はその女の子にとてつもなく惹かれた。
別に何処にでも居そうな普通の女の子。だけど、何処か違う。
「あの…ともだちになろうよ、もえねちゃん…」
「え?まあ、なってあげるわ。わたしのお姉ちゃんも仲良くするならね。」
「え、おねえちゃん?」
その時。
「もえね。何組だった?」
萌音に似ても似つかない少女。『葉宮絢華』の名札が光る。
こちらは漆黒の髪をふわふわパーマにして、少しとって一つに縛っている。
「まだだよー。それより、この男の子がね…」
この姉妹に、唯は何かを感じたのだ。何かを…
何処にでも居そうな普通の姉妹なのに…。

続く
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ゆりりん2世 #12★2005.09/17(土)14:17
第12話〜あの日あの時〜

それから、もう何年も経った。
萌音と唯は初等部五年生にもなっていた。帝と絢華は六年生・卒業生だ。
「さ、卒業式に向けて体育館は五年生が掃除しましょーww」
「えー!」
クラスメイトは不満がっている。
が、萌音と唯は違った。
「お姉様と帝が気持ちよく卒業できるように掃除頑張ろうよ!」
「ああ!頑張ろうぜ!」
萌音はモンスターボールを出した。
「手伝って、みんな!」
エネコ、ナゾノクサ…ポケモン達が一斉に出てきた。
「俺も!」
唯はオニドリルを出した。
「よし、力合わせて頑張ろう!」

翌日、体育館は保護者でいっぱいになった。
「楽しみだね、唯ww一生懸命掃除した甲斐があったねw」
「そうだなw兄貴、緊張しちまってたぜ。今朝…」
「こらそこ!お喋りしない!」
「はーいすみませーんww」

「体育館の両側に、花束あるよね?」
突然、萌音が言い出した。
「あ、ああ…それがどうした?」
「あれね、全校生徒の草タイプのポケモンが集まってるんだよw」
「そうなのか!萌音のナゾノクサも…?」
「もっちろん!」

卒業証書が授与される。
一人、二人…
ついに絢華の番になった。
「姉様、いよいよだ…w」
「葉宮 絢華!」
「はいっ!」
絢華はしゃきんとして台へ上った。
そのとたん!
『ナゾー!』
「あ、ナゾノクサ…!」
萌音のナゾノクサが、突然花瓶から出てきて台の方まで来た。
「なっ…」
『ナーゾーww』
パラ…体育館中に粉が舞った。
「う…眠…い…」
ばたん。会場中の人は眠ってしまった。ナゾノクサが眠り粉を使ったのだ。

数分後、皆起き上がったが、卒業式はめちゃくちゃだ。あれほど一生懸命本番のために練習したのに…
「…えー、では引き続き卒業証書を授与いたします。」
と、なんとか証書は貰ったが。ナゾノクサのせいで台無しだ。

続く
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ゆりりん2世 #13★2005.09/17(土)13:20
第13話〜抑えられない怒り〜

バシン!
家に帰って、案の定絢華は切れていた。
「アンタがちゃんとナゾノクサをし付けていれば…なのにあんた!」
バシン、バシン…
「姉様、ごめんなさい、ごめんなさい…」
顔中傷だらけで涙を流しながら謝る萌音。
「ごめんなさいじゃないわよ!一生に一度の、初等部最後の日だったのに…!」
絢華は叩くのをやめると、ベッドにすがり付いて泣き出した。
「ねえ…さま…」
たちまち、萌音の眼からも涙があふれた。

それから三年経った今でも、あのことは忘れられない。
「それに…中等部の卒業式にも出れないまま姉様は…」
「…」
萌音は哀しい。けど、絢華の哀しみはその何十倍も大きいだろう。
自分だけが哀しいんじゃない。分かっているのに、
人間とは自分勝手なもので、自分の哀しみだけを人に分かって貰おうとする。
「人間って不思議ね。何処から来て何処へ行くのかも分からない。
人生は複雑な森よね。でも、選択の連続でもあるわ。
今日、どの服を着るのか、食堂で何を食べるのかとか、そんなささいなことから、
誰と生きるのか、どう生きていくのかと、人生にかかわることまで…」
「そうだなあ…」
人間関係はとても複雑だ。
自分の希望を叶えながら、相手の欲求も受け入れながら生きていくのだから…
「生まれてすぐに死んでしまった子…いるよね。」
「?ああ…この前テレビでやってた…」
「その子って、何も経験しないまま無に還されるなんてあんまりよね。誰にも、何にも出会えないまま…」
「…」
「何も選べないまま、せっかくこの世に生を受けたのに…」
唯は返す言葉が見つからなかった。
「姉様、言ってたなあ。誰かが死ぬとき、流れ星が一つ流れるって…」
「そうか…」
もう辺りはすっかり夜だ。
今日は結局レースには出られなかったが、明日か明後日あたりには出られるそうだ。
『キラン…』
「あ、流れ星…」
すうっと、一筋の流れ星が夜空を舞った。
瞬く間の出来事だったが、その眼にははっきり流れ星が見えた。
「ああ、今夜、誰かが神様に召されるのね…」
「こうやって…俺達が話している間に、何処かで人が死んでいってるんだ…」
「どうして人は、人を傷つけて喜ぶんだろう。
どうして人を苦しめて楽しいんだろう。人を殺して何が得られるのかな…」
萌音は寂しそうに夜空を見上げた。

続く
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ゆりりん2世 #14★2005.09/17(土)13:41
第14話〜どうして魚は跳ねるの?〜

幼いとき、両親とキャンプへ行った。
その時、川で魚が跳ねたんだ。
俺は疑問に思った。
「どうして魚は跳ねるの?」と…
しょうもない質問だけど…それが何を意味するのか。
「どうして魚は跳ねるの」=「どうして人は息をしているの」
と言っているのと同じだ。
それを言っていたらきりがない。
だが、両親は何も答えてくれなかった…

けど…後で絢華と萌音に聞いたんだ…同じことを。
「なんでって言われても…敵から身を守る習性…とか?」
これが絢華の答えだ。なるほど、科学的な考えをする。
だが…萌音の答えに俺はかなりの違和感を覚えた。
「なんでって…魚が跳ねたかったからよ。」
単純な一言。とっても単純な言葉だ。
だが…それを置き換えるととても重大な言葉になる。
絢華は必死で結論を探しているが、萌音はパッと答えた。
ピチャン…また魚が跳ねた。
そうか。分かった。跳ねたいからだ。魚が跳ねたかったからだ。
跳ねたいから跳ねる。魚は単純にそうできるけど、人の場合はそうはいかない。
カレーがいいから毎日カレーを食べる。それだと栄養がバランスよく取れない。
この服がいいからそれを毎日着る。それだと汗臭くなってしまう。
人生、そううまくはいかない。思い通りにならないことなんて山ほどある。
そんな中で、人は生きていくんだ―…

「絢華と帝、今頃どうしてるだろう…。」
「どうか…安らかに眠って欲しいな…」
レースバトル中だからといって、授業がないわけではない。
きちんと授業も受けなければならない。
そして、ただ今萌音と唯は社会の授業中だ。
内容は「トレーナーの歴史」の「若人時代のトレーナー一揆」。
「身分差別が激しい時代、ついに一歩踏み出した若者がいた。その名は都輪葺 大吾。」
教科書にはそう書かれてある。
「この大吾って人、勇気があったんだなー。萌音。」
「そうね…身分差別で苦しんでる人たちのために一人で自ら訴えるなんて。」
その時、萌音の横からグカー…といびきの音が。
「あ、松谷君寝てる;」
「起きろー;」
唯は社会の教科書を丸めると…
『スパーン!』
「あ痛ててて…;」
「何寝てんだよ貴様;ま、社会は教科書見て覚えるだけだからいいけどさ。」
「いいんかい;」
こうやって、平穏な日々を少しずつ、少しずつ取り戻して行こう―…

続く
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ゆりりん2世 #15★2005.09/17(土)14:07
地球は、回っている。幾つもの惑星と共に、太陽の周りを…
その中で、地球だけが生命を伴えた…。
同じ星に生まれて、同じ国に生まれて、同じ地方に生まれて、
同じ町に生まれて、同じ学校へ通って、同じクラスになって…
こんなに広い地球の中で、同じ学校へ通えたことだけでも奇跡だ。
そもそも、自分がここに誕生したこと自体が奇跡だ。
その奇跡に感謝もせず、自殺をする人間もいる…
そんな人は、自分の幸せが分からないのだろうか?
そんな人は、自分を支えてくれる人たちの存在を忘れているのだろうか?
そんな人は、自分を育ててくれた人たちへの感謝を忘れているのだろうか?
いや、どれもきっと分かっている。きっと…
だけど、絶望に陥ると、目の前が真っ暗になってしまう。
けど…
そのときは…夜の地球を明るく照らしてくれる月を探してごらん。
月明かりが、君を光の世界へと導いてくれるから…
月は、時点と公転の関係で、表側しか見えない。
傷を隠して、輝く月。なんて美しいだろうか。
地球が真っ暗にならないのは…月のおかげだ。
だから貴方の心も…光に変わる。きっと…


最終話〜この地球の何処かで〜

さあ、レース大会二日目だ…
「今日も俺等出番ないし;」
「うっそお;」
またもや、客席で見ることになった。
「萌音…」
「何?唯。」
「人は皆、いつかは離れて行くんだよな…」
「そうね。どんなに好きになっても、いつかは別々の道を歩いて行くんだ…」
「うん。俺の兄貴も、絢華も…いつかは離れる運命…だよな。それがたまたま早かっただけ…」
唯はつぶやいた。
「だけど…皆、皆、歩いていく道は違うんだ。」
「でも…道は違うけど…見上げている空はいつだって一緒。」
その時。
「おーい!葉宮さん、日野君、臨時で出場することになったんだ!早くきて!」
「あ…はーい!」

唯と萌音はモンスターボールを手に、会場へ走り出した。
フワ…穏やかな風が吹いた。頬に風が当たって気持ちいい。
(頑張って生きていくからね…見ていて、絢華、帝…)
萌音は空を見上げて微笑んだ。
「萌音…」
ふと、声が聞こえた。
(あれ…?今、空の上で誰かが微笑ってくれたような気がする…)
「葉宮さーん早く!」
「早くしろよ萌音!」
「あっ…ごめんごめん!」
萌音はすぐに向き直り、会場へ向かった。
「よおし、頑張るぞおー!!」

…人は、それぞれ別の道を歩いていく。
その道は、人によってきっと違う。
だけど…見上げている空はいつだって同じ。
そう、いつも同じ空見上げているから…また遭おう。
この地球の何処かで…

終わり
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ゆりりん2世 #16★2005.09/17(土)14:08
ここには番外編などがかかれるかもしれません。
運次第です…
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ゆりりん2世 #17★2005.09/17(土)14:09
ふう…だいぶスペース余っちゃったなあ…
何かこうか考え中。
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ゆりりん2世 #18★2005.09/13(火)20:16
歩いていく道はーきっと違うけれどー
同じ空見上げてーいーるからー
このー地球のどこかでー♪

…いい歌ですよね〜
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ゆりりん2世 #19★2005.09/13(火)20:18
白い光の中にー山並みは萌えてー
はるかな空の果てまでもー君は飛び立つー♪

…卒業式で歌う方も多かろうと思われる「旅立ちの日に」
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ゆりりん2世 #20★2005.09/13(火)20:21
○○○○におうー○○のー
○○○に○○○なり
○○○集うー○○のー♪
○○の誇り○○○に○○の○○○○にー♪
その名ぞ○○ おお○○
我らが○○ 我が母校♪

…校歌でし。
プライバシー保護のため字は伏せてあります。
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ゆりりん2世 #21★2005.09/01(木)14:01
おわび&番外編。

>おわび
えっと。
何度も何度も修正ゴメンナサイ。
でも理由はあるので分かってください。
でも、こちらの方が出来栄えはいいと思っています。
ので、多分もう大幅な修正はしないと思います。
何度も本当にごめんなさいね。

番外編〜美術室の謎〜

「日野、あんたの初のまともな仕事よ(爆)よく聞いて。」
放課後、部長から依頼を出された唯。
「なんですか?部長。」
「最近、美術室で『肖像画消失事件』が発生しているの。」
「…はい…。」
「それで、ついこの間、美術の天才と言われた3−5の米川真衣が殺害されたわね。」
部長はせかせか話す。
「あの時、側に落ちていたナイフがこれ。」
部長はナイフをハンカチから出した。
「これを手がかりに、犯人を捜してちょうだい。できれば、肖像画消失事件との関係も。」
「はいっ!」
「それともう一つ。犯人は窓ガラスを割って侵入したっぽく、辺りには血が飛び散ってたわ。」
「はい。」
「この血を医術部に持っていって血液型を調べてちょうだい、いいわね。」
「はい!」

この話の公開は終了となりました。
160091.146210.hyogo.h555.net
ゆりりん2世 #22★2005.09/01(木)14:02
ここも↑の番外編の続きですが公開終了。
ご了承くださいね〜
160091.146210.hyogo.h555.net
ゆりりん2世 #23★2005.09/01(木)14:03
ここも公開終了〜。
容量のためにも公開期間を決めることにしました。
ご了承を。
160091.146210.hyogo.h555.net
ゆりりん2世 #24★2005.09/03(土)11:33
ここに書いてあった番外編も公開終了いたしました。
ご了承くださいね〜
246091.146210.hyogo.h555.net
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ぴくの〜ほかんこ