※高校生パロディ。







と悟浄は、幼馴染みだ。親同士仲がよく、同じ年に生を授かったその子供は、家族のように兄妹のように育てられてきた。小さい頃は、家族なのにどうして同じ家に住まないのか、なんて聞いて親を笑わせたこともある。悟浄の母も父も、第に第二の両親と言ってもには不思議じゃなかったし、現在では法律上の事実だ。

「悟浄、パパ、おはよう」
「おはよう、
「おはよう」
「ママー、おはよー」
「はい、おはよう、ちゃん」

パタパタと、鍋を持って台所から出てくる母が、返したお碗に味噌汁を注いでいく。その間に、は炊飯器からご飯をよそう。全部済んだところで、みんな手を合わせて言った。

「いただきます」



の両親は一年前、亡くなった。親族とは絶縁状態での引き取りを渋ったため、悟浄の両親が養子縁組をして身元を引き受けることとなった。
悟浄もも、17才になり、生活も落ち着いている。両親も養子として迎えることに不安や懸念が強かったが、生まれてからの付き合いもあり養父母としてうまくやれている実感を持てる時が、たしかにある。


土曜日であっても仕事に出る父に時間を合わせて、食卓を揃える。一週間の定時はほとんど変わらないが、時計を確認したり深呼吸を始めたりする悟浄が日常のなかで浮いていた。どうしたんだ、と父にきかれてむせかえる。時計を何度も確認したり、箸を止めて何かを思案したりしていた。父も母も怪しく感じている。が隣の母に理由を耳打ちすると、両目を丸くして、悟浄を凝視していた。

父を見送って、一休みしたあとはそれぞれ家事を分担して、10時半、悟浄も出掛けていった。





母は、気が気ではなかった。本当ならば、息子とを結ばせたかったし、の両親ともそんな話に夢をみていた。二人ともまっすぐ育ってくれたし、互いにかけがえのない存在となったと思っていた。それは介入せずとも恋愛に繋がると思っていたものが、違っていたなんて。

「悟浄、今日はデートなんだよ」

朝食で聞いたときは信じられなかった。混乱して、息子がなにを考えているのかわからなくなってしまった。悟浄が浮き足立ちながら出掛けてから家に残ったを見ても、気にしているといえば気にしているが、家族として関心を持っているように感じられる。寧ろデート相手を紹介するほどで、母の抱いていた期待も打ち砕けてしまいそうだった。
養子縁組をしても、息子たちの結婚は可能だと知って安心していたのに……。落胆が襲ってくる。親同士の勝手な理想であったとしか言えないが、の両親に顔向けのできない心地であった。





夕方、悟浄が夕食前に帰宅した。
部屋に上がる後を着いて、一緒に部屋に入る。悟浄は気持ちが高ぶったままで、まとわりついていることを気にもせず今日あったことについて話し出す。
厳密にはデートではなく、先日きた転校生に町を紹介に回っただけだった。しかしその転校生の女の子は可愛らしく、振る舞いも整っていて注目を浴びている。そのなかで悟浄だけ特別彼女と一日を過ごせたというのは、単に悟浄の心優しい気遣いがもたらした幸運だった。
の目には、悟浄が彼女に、なんとなしでも好意を抱いたのがわかったし、もっと彼女を好きになる予感がした。悟浄の想いが届けばいいと、願うことにした。

兄妹では決して結ばれることのない想いなら、いっそ本当に手を出そうなどと図らない遠いところへいって欲しい。そうすればきっと諦められるし、自分自身も新しい恋へ進めるはず。

そんな風に思い込んで、は悟浄の話へ耳を傾けるのだった。