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今度は恥ずかしさで一杯になる。どうしてサッサと前を歩いたくせに道間違えられるのかしら! ロゼもそう思ってるかな。ため息が出そうになる。 気持を落ち着かせれば、さっきの苛立ちもぶり返さずに一緒に収まっていく。憂鬱だけは残って、視線は下を向くばかり。交互に視界に入る足先を観察する。重そうでリズムが悪い。ふと視線を上げた。ロゼと少し距離が開いてしまっている。置いていかれて、こんな怖いところ一人になりたくない。モンスターが襲ってきたらどうしよう、前を行くロゼが、それに気付いてくれなかったら? そう考えたら一層怖くなって、走ってロゼに追い付いて、袖でも引きたかったのだけれど、最後のは勇気が出ずにやめた。 とぼとぼと着いていき、溜まったため息を吐きそうになったとき、肩になにかが触れた。立ち止まって考える。考えるほどのことではないけれど、前を歩いているんだからロゼはない。ユーリが追い付いた気配もなかった。また一度、肩を指で突かれたような感覚がある。 振り向くと誰もいない。気のせいかと思うとまた後ろから叩かれる。今度は左から振り向くと、また誰もいない。また肩を叩かれる。 「ね、ロゼロゼ…私の後ろに、誰かいる?」 「……? どうしたんだ? 「さっきから、肩叩かれるんだけど…」 「誰もいないけど…」 「ほんと? …! いやあああ!」 ロゼに飛び付く。居ないはずなのに、やっぱり誰かに触れられた。お化けだったら…そう思うとつむった目を開けられない。 「、大丈夫か?」 「そこっ、誰か居る?」 「もう居ないから大丈夫だ」 視線をやると、ただ空間があるだけでなにか居た様子もない。短剣を鞘に収めているのは、モンスターかなにかを追い払ってくれたのかしらん。 「ロゼ、ありがとう…」 「別に…」 抱き着いた腕、触れていることに安心感を覚える。今度は手をぎゅっと握ると、ロゼが驚いた様子で、そしてちょっと赤面した。女の子同士なのに恥ずかしがるのが可笑しくて笑ったのだけれど、ロゼもはにかんで手を握りかえしてくれた。 もう片方の手で彼女の髪を整えて、「行くか」とロゼの言葉で、並んで歩調を合わせた。 「ロゼ! トニ先生のレポート、単位とれたよ〜」 「へえ、よかったな」 「ありがとね」 別に、とむずかゆそうにする可愛い姿。 三日四日に一度は、ロゼは私の部屋に来る。三日四日に一度、私もロゼの部屋に行く。 朝早くや夜に、以前一人で過ごしていた時間は、彼女と会う時にかわった。 宿題を片付けたり、髪や顔を弄ってみたり、一緒に話したり、それぞれ勝手に過ごしたり。たまに意固地になるところが可愛くて、意地の張り合いになるときには憎らしいけど、初めて話したときの可愛らしさも変わらない。 「今日は編みこんでみようかな、ロゼ?」 「ん…、ああ、頼む」 |