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目的の書棚を見つけ本を選りすぐっているど、ユンが何かに反応した。 「どうしたんですか?」 「誰か来るようだ」 その見据える先に目をやって伺っていると、足音が聞こえてきた。音はだんだん大きく響き、人影を認めた。 「あれっ、ー!」 「ユーリ…?」 溌剌と駆け寄ってくるユーリ。 どうしてこんな所にいるのか解らず、戸惑った。 普通科はモンスター出現区域には原則入れない。だから私はユンを雇った。ユーリだって、まさか一人では来られないはずなのに…。 また足音が聞こえて、そちらを見ると、また数人の人影が現れた。薄暗い場所ながら、思い入れのある色が見えてしまった。 「ユーリ、あの人達と一緒だったの?」 「そうそう。レポート手伝ってくれるって! びっくりしちゃうくらい親切だよねえ」 心中ざわめきが収まらない。嫌な気持ちが沸いてきて、「そう」としか返事をしなかった。 「どうかした? 、なんかあった?」 「怒ってないよ」 「疲れちゃった?」 「大丈夫」 ユーリが悪いわけではないし、誰も悪いことはない。ただ私の感情コントロールに問題があるだけ。ユーリやロゼに腹を立てていても、実際二人が故意になにかしたわけではない。ただ私が、勝手なだけなのに。 一緒にいると八つ当たりしてしまう。そう思って、傍らに確保しておいた本を手にとる。 「私、先に戻るね」 「えっなんで? 一緒にレポート作らないの?」 「期日までまだあるし、自分でやってみる」 「えーでも、一緒に帰らないの?」 「うん、そうだね」 さっさと行きたいのに、面倒なくらいはぐらかさせる。より一層いらついてきて、無理矢理だとは感じたけれど、「あとでね」の一言で場を切り上げた。 ユンはさっきから、ユーリが連れて来た四人と話し込んでいるが、タイミングなんて図らず声をかけた。 「ユン。私帰ります」 「そうか、なら行こう」 「あら、あの子の友達なら、あなたの分も見てもいいわよ」 「お気遣いありがとうございます。でも大丈夫です」 有名なお嬢様の脇にはロゼがいる。 視界の端に映ってはいても、そっちを振り向く勇気はなかった。普段なら無視することも出来ないけれど、本当に苛立っていたから、私はツンとしたまま立ち去ろうとした。 「なあ」 「? ……」 「おい、呼ばれているぞ」 「あ…私か、なにかな」 「私が送っていく」 「え? でも、それは…」 「俺の仕事だ」 「その分あんたに払う。それならいいだろ」 「ふむ。よしみもあるからな。後は依頼主に聞いてくれ」 「」 視線を真っ直ぐ向けられるけれど、もとより面と向かえるような心情ではない。ツンとしたままでいると、お嬢様も止めていたのに、もう一度私に呼び掛けると、歩きだしてしまって、やむを得ずついていくことにした。 すぐ追い掛けはじめたはずなのに、小走りしても追いつけない。二三の角を曲がった時には腹が立って全力疾走した。来るときに倒してきたから数は少なくても、こんなモンスターが襲ってくるところを、送るって言ったのはロゼなのに! 背中を思い切り叩くと声を上げて痛がった。ロゼがこちらを振り向いたけれど、顔を合わせず早歩きで歩く。 ロゼは隣には並ばず、さっきよりも遅いスピードだけれど、私の後ろについているようだった。 怒りとか惨めさとか悔しさとか、ないまぜになって冷静ではなかった。実際のところ、知り合って間もない人に対して泣くなんていうのも恥ずかしいから、見せないよう一心に先を歩いた。 「っ、…そっちの道じゃないぞ」 「……あ…、うん」 「」 先を行く勢いを削がれて、私はスピードを緩め、ロゼと隣に並んだ。ロゼは、ちょっと言いよどんだまま、なにも言わない。どうしたのか、少し気になったけれど、私もやはり黙って歩いた。 淡藍色4 |