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「望ちゃん、差し入れ」
「ありがとう、」
にっこり笑う望ちゃんが好き。羌族のご子息さまなのに、田を耕すだけの家の娘と気兼ねなしに話してくれる。洗濯とかの手際が悪いと母さんに怒られるのに、羊の誘導に失敗しても怒らないでコツを教えてくれて、はぐれた羊は楽しそうに駆けて追い立て群れに戻してくれる。負い目を軽く思わせてくれる。腰を落として粗肴の包みを広げる望ちゃんの向かいに座る。
「あとね、」
「うん」
「あのね、なにもあげられないんだけど・・誕生日おめでとう」
望ちゃんはふにゃりと笑むけど、なにも言わない。すこし見合っていても喋らないのに、気恥ずかしさと不安とで顔をそらした。プレゼントを持ってこなかったのはやっぱりよくないのかな。家に逃げ帰りたくなる。それで、帰ったら家中あさればあるかもしれない。これからに思案していると、
「、」
「望ちゃん、わたし、家から探してくる!」
「ううん、祝言だけで十分だよ」
「え? でも」
「村で祝われるよりもね、僕、嬉しいよ」
望ちゃんがにっこり、深く笑むから、釣られて顔が綻んだ。
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