「さん俺今日用事があるんだけど残りの仕事お願いしていいかな」
「ふざけないで郭くん私貴方の事情なんて知らないわ最後までやってって」
郭くんは不意をを突かれたような顔をしてそれを少し顰めた。睨んでやるとはぁーあ、と態とらしい溜息をついて鞄を机に乗せた。当たり前のことを言ったのに私が身を縮めるなんて。彼こそ間違った進言に気付かなきゃ駄目でしょう。そうわたしは気付いたの。人ごみ、向かってくる人に気を使うとかちょっとの失敗で弱気になって頭を下げるとか遠慮とか謙遜とかくだらないって。正しいのは私よ。他人がなに言おうと口を挟もうとお節介だって一刀両断してやるの。
ペンが行き詰って、後ろを振り返ろうとして一旦顔を上げ た。
「黒板、消してなかった?」
「もう終った、…ほら。早く書いて」
「ああ、ねえ三時間目なにした?」
「いいよもう、貸して」
「あっ、ちょっと」
字下手がばれてしまう。でも別に構わないか。どういう付き合いをしようってわけでもないんだから。郭くんのは上手くはないけれど几帳面そうな字だ。私を比べると、というと書き方自体が違うからどちらがマシだともつけにくい。あ、走り書きになってきた。
「さん、ってさ、大分変わったよね。前は、恐縮げだった」
咽喉が詰まった。唾を飲むと必要以上にごくんと音がして絶対郭くんにも聞こえた、かもしれない。郭くんは日誌を見つめてペンを走らせる。突然目のやり場に困って窓の方をむいた。「そう?」
「よくへこへこ下手に出てた。頼んだら大抵は断らないで、これだって普通に受けてくれるって予想してたから聞いたんだけど、驚いたよ。・・・最近一人でいることが多かった? よく木村さんについてたのに。いじめかなにか? まさかさんがとは思ってるんだけど、あんなに人当たりがよかったからね。誰にでもにこにこして。(好きだったのにな)」
こい に じゃっく ないふ