「ねえ知らないの?」
 「なにを?」
にこにこ笑みを崩さない。いつもと同じ穏やかな微笑み。
 「貴方ねえ、今度の戦いで死んじゃうのよ、知らない?」
 「うん、聞いてないよ。でもが言うならそうなんだろうな」
私は普賢がきらい。たまに家に上がりこんでは勝手に茶を淹れて話しかけてくる。迷惑なひと。来てほしいとか頼んだこと一度もないのに。
 「本当は、もう死んでるかも知れないわね、普賢は」
 「ふふ、僕の頭を見て言ってるの?」
そうよ。答えると普賢は笑みを深くした。「これってなんなんだろうね、いつから付いているのか、わからないんだ。生まれたときからかもしれない。それに、さわれないんだよ、これ」ほら、と自分の手を輪を通すように何度か往復させた。手は易々とそれを通り抜ける。しとしとなる淡い光を放つそれは、天使の光輪。
 彼は、次の私の言葉に一層も二層も表情を深くする。愉快そうな、笑い。
 「あなた、死んだら羽根が生えるかもね、飛べちゃうわ」
 「そしたらを迎えにくるよ。君を独りにできないからね」

普賢がきらい。たまに家に上がり音では勝手に茶を淹れて話しかけてくる。迷惑なひと。あなたと居ることを望んだこと一度だって、ない。